AIツール2026年10月更新

Tencent Hy3 Preview(Hunyuan 3.0)とは?元OpenAI Yao Shunyu主導・295B MoE・256Kの仕様と正式版Hy3との違い

公開日: 2026/05/02
更新日: 2026/10/22
Tencent Hy3 Preview(Hunyuan 3.0)とは?元OpenAI Yao Shunyu主導・295B MoE・256Kの仕様と正式版Hy3との違い

この記事のポイント

Tencent Hy3 previewは2026年4月に公開された295B MoE・21B active・256Kコンテキストのオープンモデルで、7月に正式版Hy3、8月に後継のHy4 previewが出ています。previewの仕様・ライセンスの制限・料金・正式版との違い・移行の手順・Yao Shunyu体制の経緯を2026年10月時点の公式情報で整理します。

Hy3 previewは、テンセント(Tencent)が2026年4月23日に公開したオープンウェイトの大規模言語モデルで、総パラメータ295B・アクティブ21BのMoE構成と256Kトークンのコンテキストを持ちます。元OpenAIの研究者Yao Shunyu(姚顺雨)の体制で作り直した最初のモデルですが、2026年7月6日に正式版「Hy3」がApache 2.0で公開されたため、これから使うなら正式版のHy3を選ぶのが基本です。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • Hy3 previewの仕様(295B MoE/21B active/256K)と、正式版Hy3・後継Hy4 previewとの違い
  • previewのライセンス(Tencent Hy Community License)にある地域制限などの注意点
  • 2026年10月時点の料金(OpenRouter・Tencent Cloud TokenHub)と、previewから正式版へ移る手順
  • Yao Shunyuの経歴と、テンセントのAI体制が作り直された経緯

対象は、中国発のオープンモデルを調べているエンジニア・研究者・企業のAI担当者と、Hy3 previewをすでに使っていて「このまま使い続けてよいか」を判断したい方です。

Tencent Hy3 previewのHugging Face公式モデルページ

出典: Hugging Face – tencent/Hy3-preview


Hy3 Previewとは?Yao Shunyu体制で約3か月で作り直したテンセントの推論AI

Tencent Hy3 previewの公式GitHubリポジトリ(295B A21Bの推論・エージェントモデル)

出典: GitHub – Tencent-Hunyuan/Hy3-preview

Hy3 previewは、テンセントのHy Team(旧Hunyuan Team)が開発し、Hugging Face・ModelScope・GitCodeで重みを公開したテキスト専用の推論モデルです。「Hunyuan 3.0」「混元3.0」は通称で、海外では2026年から「Hy」、中国国内では「混元(Hunyuan)」の名前が使われています。

名前のとおりプレビュー版であり、その後に次の2つが出ています。

  • 2026年7月6日: 正式版「Hy3」。構成と規模はpreviewと同じ(295B/21B)で、性能を上げ、ライセンスをApache 2.0に変更
  • 2026年8月28日: 後継「Hy4 preview」。770B総/49B active、1Mトークンのコンテキスト

正式版Hy3の機能や使い方は「Tencent Hy3(Hunyuan 3.0/混元)とは」で詳しく扱っています。この記事ではpreview版そのものと、previewから移るべきかの判断に絞って整理します。

基本情報まとめ

項目

内容

正式名称

Hy3 preview(通称: Hunyuan 3.0/混元3.0)

開発元

Tencent Hy Team

公開日

2026年4月23日

アーキテクチャ

Mixture-of-Experts(MoE)

総パラメータ数

295B(公称。Hugging Faceの表示は299B)

アクティブパラメータ数

21B

コンテキスト長

256K トークン(262,144 tokens)

入出力

テキストのみ

ライセンス

Tencent Hy Community License(地域制限あり。正式版HyはApache 2.0)

重みの配布

Hugging Face/ModelScope/GitCode(BF16。Base版も公開)

API

OpenRouter(tencent/hy3-preview。提供元は2026年10月時点でGMICloudの1社のみ)

現在の後継

正式版Hy3(2026年7月)、Hy4 preview(2026年8月)

Hugging Face上のパラメータ数が299Bと表示されるのは、MTP層(3.8B)を含めた数え方の違いと見られます。この記事ではテンセントの公称値295Bを使います。

なぜ「90日再構築」が話題なのか

一般に「90日でゼロから作り直した」と紹介されますが、日数の数え方には幅があります。テンセント公式は「2026年1月下旬にインフラを作り直し、6か月未満でモデル開発の流れを完成させた」と説明しています。学習の開始(1月下旬)から公開(4月23日)までは約3か月です。China AI Dispatchが書いた「88日」は、1月26日の社内の年次会議から公開までの日数です。

話題になった理由は、OpenAIでAIエージェント研究の中心にいたYao Shunyuが2025年12月にチーフAIサイエンティストへ任命され、その体制で出した最初のモデルが短期間で公開されたことにあります。中国のAI各社の動きは「中国AIモデルの台頭」で整理しています。


Hy3 Preview・正式版Hy3・Hy4 previewの違い

正式版Tencent Hy3のHugging Face公式モデルページ

出典: Hugging Face – tencent/Hy3

preview版は正式版Hy3より高く、性能が低く、ライセンスの制限が多いため、新しく使う理由はほとんどありません。256Kで足りて安さを重視するなら正式版Hy3、1Mトークンの長さや最高性能が必要ならHy4 previewが候補です。

比較項目

Hy3 preview

Hy3(正式版)

Hy4 preview

公開日

2026年4月23日

2026年7月6日

2026年8月28日

構成

MoE 295B/21B active

MoE 295B/21B active

MoE 770B/49B active

コンテキスト

256K

256K

1M

ライセンス

Tencent Hy Community License(地域制限あり)

Apache 2.0

Apache 2.0

配布形式

BF16

BF16・FP8

BF16・FP8

推論モードの既定

no_think

no_think

high

OpenRouter価格(入力/出力、100万トークンあたり)

$0.18/$0.60

$0.132〜/$0.528〜

$0.834/$2.501

TokenHub価格(入力/出力、100万トークンあたり)

価格ページに掲載なし

1元/4元

6元/18元

GPQA Diamond

87.2

90.4

92.3

SWE-bench Verified

74.4

78

非公表

Terminal-Bench

54.4(v2.0)

71.7(v2.1)

85.4(v2.1)

主な用途

過去の検証の再現・研究

汎用・コーディング・エージェントを安く

長大な文書・高難度のコーディング

※価格は2026年10月22日時点。OpenRouterは提供元ごとに価格が違うため、最安値から表記しています。ベンチマークはすべてテンセントの自社発表値です。Terminal-Benchはpreviewがv2.0、正式版とHy4 previewがv2.1で、そのまま比べられません。

正式版Hy3でpreviewから変わった点

テンセントは正式版で、強化学習の規模を広げ、学習データの質と多様さを高め、安定性とコスト効率を改善したと説明しています。社内指標では、ハルシネーション率が12.5%から5.4%、常識の誤りが25.4%から12.7%、複数回のやり取りでの問題の発生率が17.4%から7.9%に下がったとされます(比較元がpreviewかどうかは明記されていません)。

利用量も大きく伸びました。テンセントによると、正式版は公開時点でpreviewの約20倍のトークンが1日に使われ、8月には週間の利用量がpreview比で68倍以上になったと報じられています。

Hy4 previewはどんなモデルか

Hy4 previewは規模を約2.6倍に広げた後継で、1Mトークンのコンテキストと、Gated DSAと呼ばれるスパースなアテンションを採用しています。既定の推論モードがhighで、公式は「複雑なタスクで必要以上に長く考える」「自分の作業を過剰に見直す」ことを既知の問題として挙げています。比較相手として公式が出しているのはKimi K3とGLM-5.3で、203件の開発タスクを使った社内のブラインド評価でHy4 previewが2.99点、Kimi K3が2.94点、GLM 5.3が2.92点でした。


Hy3 Previewでできること

Hy3 previewはテキスト専用のモデルで、コーディング、数学・科学の推論、エージェント的なツール利用、長い文書の読み込みを得意分野として公開されました。いずれも正式版Hy3が同じ領域でより高いスコアを出しているため、新規に使う場合の目安として読んでください。

1. STEM推論・数学

科学系の難問を集めたGPQA Diamondで87.2を公表しています(正式版は90.4)。Base版の事前学習ベンチマークではMATH 76.28、GSM8K 95.37です。

2. コーディング・ソフトウェアエンジニアリング

実際のGitHubのissueを解かせるSWE-bench Verifiedで74.4%、ターミナル操作を評価するTerminal-Bench 2.0で54.4%を公表しています。正式版ではSWE-bench Verifiedが78%に上がり、SWE-bench Pro(57.9%)なども公表されました。

3. エージェント・Web操作

Function Callingに対応し、Web検索や情報収集を伴うエージェントのタスクに使えます。公式のチャートではBrowseComp 67.1%、WideSearch 70.2%が示されています。ClawEval・WildClawBenchといったエージェント向けの評価も公表されました。AIエージェントの仕組みは「AIエージェントとは」で解説しています。

4. 長文コンテキスト理解

256K(262,144)トークンまで入力でき、長い技術文書やコードベースをまとめて読ませる使い方ができます。1Mトークンが必要ならHy4 previewが対象になります。

5. 多言語対応(特に英語・中国語)

Base版の評価でMMMLU(多言語)80.15、C-Eval(中国語)89.80、CMMLU 89.61を公表しています。日本語単体のベンチマークは、preview・正式版・Hy4 previewのいずれも公表されていません。日本語の業務で使う場合は、自社のデータで試してから判断する必要があります。

6. 推論モードの切り替え

reasoning_effortの指定で、すぐ答えるモードと深く考えるモードを切り替えられます。推奨のサンプリング設定はtemperature 0.9、top_p 1.0です。

モード

用途

no_think(既定)

定型的な質問、FAQ対応、速く返したいチャット

low

一般的なコード生成、要約、中くらいの分析

high

数学の証明、複雑なデバッグ、長い推論が必要なタスク


アーキテクチャ詳細:295B MoE・21Bアクティブ・256Kコンテキストの仕組み

Hy3 previewは、295Bのパラメータを持ちながら1トークンの処理には約21B(約7%)しか使わないMoE構成です。正式版Hy3も同じ構成のため、ここで説明する仕組みは正式版にもそのまま当てはまります。

MoE(Mixture-of-Experts)とは

MoEは、多数の「エキスパート」と呼ばれる小さなネットワークを用意し、入力ごとに一部だけを動かす仕組みです。すべてのパラメータを毎回使う密なモデル(dense)に比べて、同じ規模でも推論の計算量を抑えられます。Hy3 previewでは192個のエキスパートから8個を選んで使います。

技術的仕様

仕様

値

総パラメータ

295B

アクティブパラメータ

21B

MTPレイヤーのパラメータ

3.8B

Transformer層数

80層+MTP 1層

アテンション

GQA(64ヘッド、KVヘッド8)

エキスパート数

192(top-8)

コンテキスト長

256K トークン

語彙サイズ

120,832

配布精度

BF16(正式版はFP8も配布)

MTP(Multi-Token Prediction)層は、次の複数トークンを先読みして推論を速める投機的デコードに使われます。vLLMやSGLangでのセルフホスト時に、この層を使った高速化の手順が公式に用意されています。

エキスパートの大きさを変える設計とP-Penalty Loss

Hugging Face上で公開された解説記事では、エキスパートの大きさをそろえず、難しいトークンと易しいトークンを容量の異なるエキスパートに振り分ける設計と、大きなエキスパートに処理が偏らないようにする損失関数(P-Penalty Loss)が紹介されています。少ないアクティブパラメータで性能を出すための工夫ですが、効果の大きさは開発側の説明にもとづくもので、第三者による検証は見当たりません。

Hy3 previewのSTEM推論ベンチマーク比較チャート

出典: Hugging Face – tencent/Hy3-preview(公式ベンチマーク)


ベンチマーク:SWE-bench 74.4%・BrowseComp 67.1%の実力

Hy3 previewは公開時点のオープンモデルとして上位の数字を出しましたが、2026年10月時点では、両方が数字を出している指標ではすべて正式版Hy3とHy4 previewが上回っています。数字はいずれもテンセントの自社発表値です。

主要ベンチマーク比較表

ベンチマーク

Hy3 preview

Hy3(正式版)

Hy4 preview

GPQA Diamond(科学推論)

87.2

90.4

92.3

SWE-bench Verified(コーディング)

74.4%

78%

非公表

SWE-bench Pro

非公表

57.9%

65.7%

Terminal-Bench

54.4%(v2.0)

71.7%(v2.1)

85.4%(v2.1)

SkillsBench V1.1

非公表

55.3

62.9

BrowseComp(Web閲覧エージェント)

67.1%(公式チャートの値)

—

—

WideSearch(広域検索)

70.2%(公式チャートの値)

—

—

HLE(Humanity's Last Exam)

30

—

—

Base版同士の事前学習ベンチマーク(Kimi-K2・DeepSeek-V3・GLM-4.5のBase版と比較)では、MATH 76.28、GSM8K 95.37、LiveCodeBench-v6 34.86、MMMLU 80.15、C-Eval 89.80などが公表されています。これはBase版の比較で、対話用に調整したモデル同士の比較ではありません。

第三者の評価

Artificial Analysisの独立評価(Intelligence Index v4.3.2、2026年10月確認)では、正式版Hy3が25、Hy3 preview(推論モード)が23(推定値)です。旧版の指数(v4.1)ではHy3が41〜42、preview(推論モード)が34でした。指数の版が変わると数字が大きく動くため、比べるときは版と確認日をそろえてください。

日本や韓国のメディアでは「オープンモデルとしては同等の水準だが、トップのクローズドモデルとは差がある」という見方が多く出ています。36Krの論評も「Hy3だけではテンセントが追いついた証明にはならない」としています。

Hy3 previewのエージェント系ベンチマーク比較チャート

出典: Hugging Face – tencent/Hy3-preview(公式ベンチマーク)


料金・利用形態:OpenRouter・TokenHub・セルフホスト

OpenRouterに掲載されたHy3 previewの料金とコンテキスト長

出典: OpenRouter – Hy3 preview

2026年10月時点で、Hy3 previewをAPIで使える主な経路はOpenRouter(提供元はGMICloudの1社)だけです。価格は入力$0.18/出力$0.60(100万トークンあたり)で、正式版Hy3($0.132〜/$0.528〜)より高くなっています。

料金比較表

利用形態

入力(100万トークン)

出力(100万トークン)

備考

OpenRouter tencent/hy3-preview

$0.18

$0.60

キャッシュ読み$0.06。提供元はGMICloudのみ

OpenRouter tencent/hy3(正式版)

$0.132〜$0.20

$0.528〜$0.80

Tencent・Novita・GMICloud・Phala・AtlasCloudなど複数

OpenRouter tencent/hy4-preview

$0.834

$2.501

コンテキスト1M

TokenHub Hy3(正式版、中国サイト)

1元

4元

キャッシュ0.25元、バッチは半額

TokenHub Hy4 preview(中国サイト)

6元

18元

キャッシュ0.3元

TokenHub Hy3 preview

—

—

2026年10月時点の価格ページに掲載なし

セルフホスト

0

0

重みは無料。GPUの費用は別

※2026年10月22日にOpenRouterとTencent Cloud TokenHubの価格ページで確認した値です。

料金表に載らない変化もあります。

  • previewの公開当時のTokenHub価格は、入力1.2元/出力4元/キャッシュ0.4元(入力0〜16Kの帯)でした。正式版では入力1元、キャッシュ0.25元に下がっています
  • OpenRouterの無料版(tencent/hy3-preview:free)は、現在のモデル一覧にありません。公開直後にあった無料枠はすでに終わっています
  • OpenRouterのTencent直営の提供元には時間帯割引があります。UTC 16:00〜24:00(日本時間の深夜1時〜朝9時)は、Hy3が$0.0825/$0.33、Hy4 previewが$0.7506/$2.2509です。previewは対象外です

無料で試す経路としては、テンセントのWorkBuddyでHy3が2026年8月31日(米太平洋時間)まで全世界で無料提供され、Hy4 previewの公開時に延長が報じられました。10月時点の無料提供の有無は確認できていないため、利用前に公式の案内を確認してください。

セルフホスト要件

  • 推奨GPU構成: H20-3eなど大容量メモリのGPUを8枚(テンソル並列8)
  • 推論フレームワーク: vLLM(MTPによる投機的デコード、hy_v3パーサ)、SGLang(EAGLE)。previewをSGLangで動かす場合はtransformers 5.6.0以上が必要
  • その他: Docker Model Runnerに対応。量子化はAngelSlimやコミュニティ版、微調整はLLaMA-Factory・DeepSpeedの手順がある

GPU 8枚の構成は個人や小さなチームには負担が大きく、試すだけならAPIのほうが現実的です。


使い方:OpenRouterで今すぐ試す手順

Hy3系を手軽に試すならOpenRouter経由のAPIが簡単です。ただし新しく組み込むなら、モデルIDはtencent/hy3-previewではなく正式版のtencent/hy3を指定するのがおすすめです。OpenRouter自体の仕組みは「OpenRouterとは」で解説しています。

Step 1: OpenRouterアカウントの作成

  1. openrouter.ai にアクセス
  2. メールアドレスまたはGoogleアカウントで登録
  3. クレジットを購入し、APIキーを発行

Step 2: モデルを選択

モデルID

使いどころ

tencent/hy3

新しく使うならこれ(正式版、Apache 2.0、previewより安い)

tencent/hy4-preview

1Mトークンの長さや高い性能が必要な場合

tencent/hy3-preview

previewでの過去の結果を再現したい場合に限る

Step 3: APIリクエストの送信

from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    base_url="https://openrouter.ai/api/v1",
    api_key="<OpenRouter APIキー>",
)

response = client.chat.completions.create(
    model="tencent/hy3",  # previewを使う場合は "tencent/hy3-preview"
    messages=[
        {"role": "user", "content": "SWE-benchとはどのようなベンチマークですか?"}
    ],
    temperature=0.9,
    top_p=1.0,
)
print(response.choices[0].message.content)

推論の深さ(no_think/low/high)を指定するパラメータの名前や渡し方は、OpenRouterの提供元やセルフホストの推論サーバーによって異なります。OpenRouterのモデルページで対応するパラメータを確認してから指定してください。

previewから正式版Hy3へ移る手順

すでにHy3 previewを使っているなら、次の順で移行できます。

  1. モデルIDを書き換える: OpenRouterならtencent/hy3-previewをtencent/hy3に変える。セルフホストならHugging Faceのtencent/Hy3(またはFP8版のHy3-FP8)に置き換える
  2. プロンプトと出力を比べる: 構成は同じでも学習が違うため、出力の傾向は変わる。主要なプロンプトで回答を並べて確認する
  3. ライセンスの扱いを更新する: 正式版はApache 2.0のため、previewのコミュニティライセンスにあった地域制限や出力の学習利用禁止は外れる。社内の利用規程や法務の記録を更新する
  4. 提供元を選び直す: 正式版は提供元が複数あるため、価格・量子化(fp8など)・データの扱いを見て選ぶ。OpenRouterでは提供元の指定や除外ができる

このツールを自社のシステムや業務にどう組み込むか、ご提案します

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他モデルとの比較:正式版Hy3・Hy4 preview・中国系オープンモデル

Hy3 previewを他社モデルと比べる意味は、2026年10月時点では小さくなっています。テンセント自身が比較相手に選んでいるのも、正式版HyではGLM-5.1、Hy4 previewではKimi K3・GLM 5.3です。

オープンソースモデル内での位置づけ

比較項目

Hy3 preview

Hy3(正式版)

Hy4 preview

公式の比較相手

Kimi-K2・DeepSeek-V3・GLM-4.5(Base版の比較)

GLM-5.1(専門家270人のブラインド評価で2.67対2.51)

Kimi K3・GLM 5.3(社内ブラインド評価)

アクティブパラメータ

21B

21B

49B

コンテキスト

256K

256K

1M

ライセンス

地域制限ありのコミュニティライセンス

Apache 2.0

Apache 2.0

日本語の公式評価

なし

なし

なし

比較相手のモデルの詳細は、GLM-5.1、DeepSeek V4、Qwen3.8の各記事で解説しています。他社モデルの最新の価格やスコアは各社の公式情報で確認してください。

最先端のクローズドモデルとの比較

previewの公開時、テンセントはClaude Opus 4.6やGPT-5.4と比較したチャートを出しましたが、どちらもすでに後継モデルに置き換わっています。2026年10月時点の位置づけは次のとおりです。

  • 性能は、各社の最上位のクローズドモデルとの差が残っているという評価が多い
  • 価格は、正式版Hy3なら100万トークンあたり入力$0.132〜と安い
  • 重みが公開されているため、自社のサーバーで動かしてデータを外に出さない運用ができる

ChatGPT・Claude・Geminiなど主要なクローズドモデルも含めて選ぶなら、「生成AIツールおすすめ比較」が参考になります。重みを公開するモデルとそうでないモデルの考え方の違いは「Anthropicのオープンウェイトに対する立場」で取り上げています。

Hy3 previewのコンテキスト学習・指示追従ベンチマーク比較チャート

出典: Hugging Face – tencent/Hy3-preview(公式ベンチマーク)


Yao Shunyu(姚顺雨)とは?ReAct・SWE-benchを生んだAIエージェント研究者

Yao Shunyuは、LLMが考えながら外部ツールを使う「ReAct」や、コーディングエージェントの標準的な評価「SWE-bench」を生んだ研究者です。2025年12月17日にテンセントのチーフAIサイエンティストへの任命が報じられ、Hy3 preview以降のモデル開発を率いています。

経歴で確かなのは、清華大学の「姚班(姚期智が主宰する計算機科学の実験クラス)」を経てプリンストン大学でPhD(指導教員はKarthik Narasimhan)を取得し、OpenAIでOperatorやDeep Researchに関わったことです。年齢(27歳・28歳)やOpenAIでの在籍期間は報道によって食い違いがあります。テンセントは任命の発表時に中国名や経歴を公表していません。

主要研究業績(OpenAI・Princeton在籍時)

研究

発表

意義

ReAct

ICLR 2023

推論と行動(ツール利用)を交互に行わせる手法。現在のAIエージェントの土台

Tree of Thoughts

NeurIPS 2023

考えを木構造で分岐・評価しながら探索する推論手法

SWE-bench

ICLR 2024

実際のGitHubのissueを解かせるコーディングの評価

SWE-agent

NeurIPS 2024

ソフトウェア開発タスク用のエージェントと操作インターフェース

Deep Research

OpenAI製品

Webを自律的に調べてレポートにまとめる調査エージェント

SWE-benchを作った本人が率いるチームのモデルが、そのSWE-benchで高い数字を出している点には注意が必要です。ベンチマークに合わせすぎていないかは、自社のタスクで試して確かめるのが確実です。

テンセントの新体制の経緯

時期

出来事

2025年12月17日

チーフAIサイエンティストへの任命が社内通知で報じられる。CEO室に所属し、劉熾平(Martin Lau)総裁に報告。AI Infra部門と大規模言語モデル部門のトップを兼任

2026年1月26日

年次会議で劉熾平総裁がAIの取り組みの失敗を認めたと報じられる

2026年1月下旬

インフラを作り直し、Hy3 previewの学習を開始(テンセント公式)

2026年3月

Tencent AI Labが解散し、研究者は大規模言語モデル部門へ移ったと報じられる

2026年4月23日

Hy3 previewを公開

2026年7月6日

正式版Hy3を公開(Apache 2.0)

2026年8月5日

Hy3の海外展開を発表(日本ではMetelix、韓国ではCafe24と提携)

2026年8月28日

Hy4 previewを公開。36KrはYaoが主導したと報道

入社の時期は「2025年9月」「2025年中」と報道が割れており、確かなのは12月17日の任命の報道です。同じ時期に、元OpenAIのTian Yonglongが大規模言語モデル部門に加わり、視覚言語モデルを担当していると報じられています(36Kr、2026年7月)。

SWE-benchが評価するソフトウェア開発タスクのイメージ:GitHubのissueを自律的に解くコーディングエージェント

Hy3 Previewの弱みと制約

いちばん大きな制約は、すでに正式版が出ている「preview」であることです。提供元が1社しかなく、価格も正式版より高く、ライセンスの制限も残っています。

技術的な制約

制約

内容

マルチモーダル非対応

テキストのみ。画像・音声・動画の入出力はできない(正式版・Hy4 previewも同じ)

APIの提供元が少ない

OpenRouterではGMICloudの1社だけ。障害時に切り替える先がない

TokenHubの価格ページに掲載がない

テンセント公式のAPIで今後も使えるかは確認できない

セルフホストに大規模GPUが必要

大容量GPU 8枚の構成が推奨。個人や小さなチームには重い

サンプリング設定の影響

推奨値(temperature 0.9、top_p 1.0)から外すと出力が変わるため、用途に合わせた確認が必要

性能面の制約

  • 両方が数字を出している自社発表の指標では、すべて正式版Hy3とHy4 previewがpreviewを上回っている
  • 日本語単体のベンチマークは公表されていない
  • ベンチマークはほぼ自社発表値で、第三者の評価(Artificial Analysis)では正式版より低い

"preview" という名称について

previewは「改善途中の先行公開版」という意味で、2026年7月6日に正式版Hy3が出たことで役目を終えています。今もpreviewを本番で使っているなら、正式版への移行を検討してください。


データプライバシーとセキュリティの注意点

Hy3 previewを使うときは、ライセンスの条件とデータの送り先の2つを確認します。とくにpreviewのライセンスは利用地域を限っており、正式版のApache 2.0とは条件が大きく違います。

Hy3 previewのライセンス(Tencent Hy Community License)の主な条件

条項

内容

利用できる地域

EU・英国・韓国を除く全世界。地域外での利用・複製・改変・配布や出力の利用は禁止

大規模サービス

自社の全製品の月間アクティブユーザーが合計1億を超える場合は、テンセントに別途ライセンスを申請する必要がある

出力の利用

出力を他のAIモデルの改善に使うことは禁止(Tencent Hy系の派生モデルを除く)

再配布

所定の表記(Noticeファイル)と、改変したファイルの明示が必要

第三者向けサービス

実際の提供者を明示し、テンセントの提携・推奨ではないことを示す

禁止用途

軍事目的、法執行・医療・与信などの重大な自動判断、資格のない専門業務(金融・法律・医療)、AI生成と明示しない公開など

正式版Hy3とHy4 previewはApache 2.0で公開されたため、地域制限・1億MAUの条項・出力を学習に使うことの禁止はなくなりました。previewを使い続ける理由がほとんどない最大の根拠がこのライセンスの違いです。ライセンス全文はHugging FaceのLICENSEで確認できます。

利用形態別のリスク比較

利用形態

データの行き先

企業での使いやすさ

セルフホスト(自社インフラ)

自社内。テンセントには送られない

高い(GPUの用意が前提)

OpenRouter経由

OpenRouterと実際の推論を行う提供元(previewはGMICloud)

中程度。提供元のデータポリシーを確認する

Tencent Cloud TokenHub

中国本土サイトは中国の法令の下、国際サイトはシンガポール地域

機密データには慎重に。規約と保存場所を確認する

Tencent Cloud API使用時の注意点

TokenHubの中国本土サイトを使う場合、データは中国の法令(国家情報法やデータセキュリティ法など)の下で扱われます。次のようなデータは、セルフホストにするか、送る前に匿名化することを検討してください。

  • 氏名・住所・医療情報などの個人情報
  • 企業の機密情報や営業秘密
  • 医療・法務・金融など規制のある業種のデータ
  • 公共機関や政府に関わるデータ

企業で安全に使うためのリスク軽減策

  1. 正式版Hy3に切り替える: ライセンスの地域制限や出力の利用制限をなくせる
  2. セルフホストで運用する: 重みを自社のサーバーやプライベートクラウドで動かし、外部との通信を絞る
  3. API経由なら提供元を指定する: OpenRouterでは提供元を選んだり除外したりできる
  4. 送る前にデータを匿名化する: 個人情報は仮名に置き換えてから送る
  5. 法務の確認を残す: どのモデル・どのライセンスで使っているかを記録しておく

社内のシステムにHy3のような新しいモデルを組み込む場合は、APIで呼ぶかセルフホストするかで構成も費用も大きく変わります。開発の進め方と見積の内訳は「AI開発の費用相場」で整理しています。

ライセンスや商用利用の問い合わせ先は hunyuan_opensource@tencent.com です。


こんな人・用途におすすめ

2026年10月時点でHy3 previewをあえて選ぶ場面は限られます。多くの人には正式版Hy3、長いコンテキストが必要な人にはHy4 previewが合っています。

目的別のおすすめ

やりたいこと

おすすめ

安く、コーディングやエージェントに使いたい

正式版Hy3(tencent/hy3)

1Mトークンの長い文書を扱いたい/最高性能が欲しい

Hy4 preview(価格はHy3の約6倍、preview段階)

データを外に出さずに自社のサーバーで動かしたい

正式版Hy3のセルフホスト(FP8版も選べる)

previewで出した研究や評価の結果を再現したい

Hy3 preview

previewとBase版を使った事前学習の研究をしたい

Hy3 preview-Base

Hy3 Previewを今も使うのがおすすめのケース

  • previewで得た過去の検証結果を再現・比較したい研究者: 同じ重みでないと結果を比べられない
  • Base版を使った研究や追加学習の比較をしたいチーム: preview-Baseの事前学習ベンチマークが公開されている
  • previewからの改善幅を自社のタスクで測りたい開発者: 正式版と並べて評価する材料として使える

Hy3 Previewをおすすめしないケース

  • これから新しく組み込む人: 正式版Hy3のほうが安く、性能も高く、Apache 2.0で使える
  • EU・英国・韓国で使う、またはその地域の利用者に提供する人: previewのライセンスでは利用できない
  • 出力を自社の別のモデルの学習に使いたい人: previewのライセンスで禁止されている
  • 本番で安定した提供が必要な人: OpenRouterの提供元が1社しかない
  • 画像・音声・動画を扱いたい人: テキスト専用
  • 日本語の精度を最優先する人: 日本語の公式評価がなく、事前の検証が欠かせない

よくある質問(FAQ)

Q1. Hy3 previewとHunyuan 3.0(混元3.0)は同じモデルですか?

「Hunyuan 3.0」は通称で、2026年4月の時点ではHy3 previewを指していました。7月に正式版Hy3が出てからは、正式版を含めてこの名前で呼ばれることが多く、どちらを指しているかは文脈で判断する必要があります。

Q2. 無料で使えますか?

重みはHugging FaceやModelScopeから無料でダウンロードできますが、動かすにはGPUが必要です。OpenRouterにあった無料版(tencent/hy3-preview:free)は現在のモデル一覧にありません。WorkBuddyでの正式版Hy3の無料提供は、10月時点の状況を公式の案内で確認してください。

Q3. 日本語には対応していますか?

日本語の入出力はできますが、日本語だけを測ったベンチマークはpreview・正式版・Hy4 previewのいずれも公表されていません。日本語の業務に使う場合は、実際の文書や問い合わせで精度を確かめてから導入するのが安全です。

Q4. Hy3 previewと正式版Hy3では、何がいちばん違いますか?

実務で影響が大きいのはライセンスです。previewは地域制限や出力の学習利用の禁止があるコミュニティライセンス、正式版はApache 2.0です。構成(295B/21B)とコンテキスト(256K)は同じで、正式版のほうが性能が高く、APIの価格も安くなっています。

Q5. セルフホストは個人でもできますか?

推奨は大容量GPU 8枚の構成で、個人が実運用するのは費用の面で難しいのが実情です。量子化版を使えば必要なメモリは減りますが、精度への影響は自分で確かめる必要があります。試すだけならOpenRouterで十分です。

Q6. ライセンスは商用利用に対応していますか?

previewのTencent Hy Community Licenseでも商用利用はできますが、EU・英国・韓国では使えず、月間アクティブユーザーが1億を超える場合は別途申請が必要です。商用で使うなら、Apache 2.0の正式版Hy3に切り替えるほうが条件はずっと単純です。

Q7. "preview" とはどういう意味ですか?正式版はいつ出ますか?

正式版の「Hy3」は2026年7月6日に公開されました。previewは正式版の前に出た先行版で、後継としてさらに大きいHy4 previewも8月28日に出ています。Hy4の正式版の時期は、10月22日時点で公式に確認できていません。


まとめと関連記事

Hy3 previewは、テンセントがYao Shunyuの新体制で作り直した最初のモデルで、295B MoE・21B active・256Kの構成は正式版Hy3にそのまま引き継がれています。ただし2026年10月時点では、正式版Hy3のほうが安く(OpenRouterで入力$0.132〜)、性能が高く、Apache 2.0で地域制限もないため、previewを新しく選ぶ理由はほとんどありません。

  • これから使う: 正式版Hy3(tencent/hy3)
  • 1Mトークンや最高性能が必要: Hy4 preview
  • previewを使っている: モデルIDをtencent/hy3に替え、出力を比べてからライセンスの記録を更新する

日本語の公式評価がないことと、API経由でのデータの行き先は、どのモデルを選んでも確認が必要です。

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参考・出典:

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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