在宅24回が回らない小規模薬局へ|地域支援体制加算を外部リソースで補う方法【2026年改定対応】

この記事のポイント
在宅24回に届かない小規模・一人薬剤師薬局が、地域支援・医薬品供給対応体制加算(旧・地域支援体制加算)の在宅要件を外部リソースで補う4つの手段を、コスト・法規制・実績カウント可否で比較。2026年6月改定の新名称・新点数・在宅協力薬局連携も整理します。
在宅24回に届かない小規模薬局は、外部リソースで実績を補えます。取り得る手段は主に4つ、①パート・常用派遣で人を増やす、②在宅協力薬局として他法人と連携する、③在宅業務を業務委託する、④スポット(単発)で一部だけ補完する、です。ただし薬剤師派遣には30日ルールや医療機関派遣禁止といった法規制があり、連携のカウントにも「同一グループは除外」という落とし穴があります。
⚠️ 名称が変わっています。 2026年6月1日施行の令和8年度調剤報酬改定で、「地域支援体制加算」は 「地域支援・医薬品供給対応体制加算」 に再編されました。本記事では検索されている旧名称「地域支援体制加算」も併記しつつ、現行制度に沿って解説します。
この記事でわかること
- 「在宅24回」の正確な中身と数え方(緩和特例を含む)
- 2026年6月改定後の点数区分(加算1〜5)
- 24回を外部リソースで補う4つの手段と、その法規制・カウント可否
- 外部リソース活用で失敗しやすいコンプラ上の注意点
こんな方に向けた記事です:常勤薬剤師が1〜2名の小規模薬局・一人薬剤師薬局の管理薬剤師や経営者で、「在宅をやりたい/続けたいが24回が回らない」と悩んでいる方。
在宅24回を補う4つの手段の早見表
在宅24回に届かない薬局が取り得る手段は、大きく4つです。人を「雇う」方向と、実績を「連携で積む」方向、業務そのものを「外に出す」方向に分かれます。それぞれコスト構造と法規制、実績カウントの扱いが異なるため、まず全体像を押さえてください。
手段 | 概要 | コスト感 | 法規制の注意 | 24回の実績カウント |
|---|---|---|---|---|
①パート・常用派遣で人を増やす | 定期的に働く薬剤師を採用・派遣で確保 | 中〜高(人件費が固定化) | 常用派遣は可。単発の短期派遣は原則不可 | 自局の実績として計上できる |
②在宅協力薬局として他法人と連携 | 基幹薬局+協力薬局の枠組みで在宅を分担 | 低〜中 | 契約・同意・文書提供など実務要件あり | 他法人連携は計上可。同一グループは除外 |
③在宅業務を業務委託 | 在宅の訪問・管理を受託会社等に委託 | 中 | 派遣ではなく請負・委任として契約設計 | 契約形態次第。届出前に要確認 |
④スポット(単発)で一部補完 | 必要な日だけ薬剤師を確保して穴埋め | 低(変動費) | 単発の短期派遣は原則禁止。業務委託・在宅協力連携に切り分け | 契約形態と実施主体次第 |

ポイントは、「単発で穴だけ埋める」という発想がそのままでは法的にグレーになりやすいことです。薬剤師の単発(30日以内)派遣は原則禁止されているため、実際には②在宅協力薬局連携か③業務委託という形に落とし込む必要があります。以降で各手段と制度の中身を順に解説します。
なお、薬局全体の業務効率化やICTの活用については、薬局のAI活用で幅広く整理しています。あわせて参考にしてください。
「在宅24回」とは何か|地域支援・医薬品供給対応体制加算の実績要件
「在宅24回」とは、地域支援・医薬品供給対応体制加算(旧・地域支援体制加算)の実績要件の1つを指す俗称です。直近1年間の在宅関連の算定回数が合計24回以上あることを求めるもので、加算区分によって「必須」か「選べる項目の1つ」かが変わります。
2026年6月改定後の点数区分(加算1〜5)
令和8年6月からの区分と点数は次のとおりです。従来の後発医薬品調剤体制加算の考え方が取り込まれ、後発医薬品の数量割合85%以上などが基礎要件に組み込まれました。
区分 | 対象薬局 | 点数 | 主な必須要件(概略) |
|---|---|---|---|
加算1【新設】 | 全区分共通 | 27点 | 基礎要件(後発品85%等)のみ。医薬品の安定供給体制を独立評価する入口区分 |
加算2 | 調剤基本料1 | 59点 | 基礎要件+9項目中3項目以上(かかりつけ薬剤師指導料を含む) |
加算3 | 調剤基本料1 | 67点 | 基礎要件+9項目中7項目以上 |
加算4 | 調剤基本料1以外 | 37点 | 基礎要件+9項目中3項目以上(かかりつけ・在宅を含む) |
加算5 | 調剤基本料1以外 | 59点 | 基礎要件+9項目中7項目以上 |
点数・要件は実務メディア間で旧年度値との混在が見られます。届出前には必ず厚生労働省の告示・点数表原文と最新の疑義解釈(事務連絡)で最終確認してください。特別調剤基本料Aを算定する薬局は、上記点数の10%相当となります。
在宅は、加算2では「9項目のうちから選べる項目の1つ」ですが、加算4(調剤基本料1以外)では在宅が実質的に必須の位置づけです。つまり自局の基本料区分によって、在宅24回が「必須か否か」が変わる点に注意してください。
24回にカウントされる算定と、除外されるもの
24回にカウントできるのは、直近1年間の以下の算定回数の合計です。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 居宅療養管理指導費
- 介護予防居宅療養管理指導費
一方で、オンライン(情報通信機器を使用した訪問)は24回の実績にカウントされません。実対面での訪問実績が求められる点は、外部リソースの使い方を考えるうえで重要です。居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費が対象に含まれるとおり、この要件は介護領域と密接に関わります。介護現場でのICT・AI活用は介護のAI活用でも整理しています。

24回の数え方と、小規模薬局向けの緩和特例
24回のカウントは、原則として「単一建物診療患者が1人の場合」の算定回数で数えます。ここで、小規模薬局にとって有利になる緩和特例が用意されています。
- 建築物の戸数が 20戸未満 で、その薬局が訪問管理指導を算定する患者が 2人以下 の場合 → 「単一建物診療患者1人」として扱える
- 単一の建築物で、算定患者数がその建物の戸数の 10%以下 の場合も同様に扱える
これは「在宅を実際に行っている薬局が有利にカウントできる」緩和であって、24回そのものを免除する規定ではありません。それでも、集合住宅を回るケースが多い薬局では、この特例を正しく使うだけで実質的なハードルが下がります。届出前に最新の疑義解釈で適用条件を確認しておきましょう。
なぜ小規模・一人薬剤師薬局で24回が回らないのか
在宅24回が回らない最大の理由は、外来調剤を止めなければ訪問に出られないという構造にあります。常勤薬剤師が1名だけの薬局では、訪問時間帯に薬局を空けることが難しく、そもそも訪問に割ける人的余力がありません。
現場でよく聞かれる悩みは次のようなものです。
- 訪問に出ると外来が止まる(機会損失が発生する)
- 訪問できる日が限られ、年間24回に届かない
- 急な在宅依頼や単発の訪問に対応できる薬剤師がいない
- 在宅対応できる薬剤師の採用が難しい(人件費リスクも大きい)
- 訪問チームを組むほどの規模がない
- 薬歴・報告書などの事務負担が重く、続けられない
つまり「意欲はあるのに体制が組めない」ために加算を諦める薬局が多いのが実情です。ここを外部リソースで補うのが本記事の主題です。
手段①在宅協力薬局として他法人と連携する(制度上の正攻法)
2026年度改定は、薬局の在宅対応を「単独対応」から「連携モデル」へ大きく舵を切りました。基幹薬局と在宅協力薬局が枠組みを組み、協力薬局が緊急時などに代行訪問する仕組みが整備されています。小規模薬局にとっては、最も制度に沿った正攻法です。
在宅協力薬局とは、いわば「在宅基幹薬局の代行訪問パートナー」です。連携の実務上のポイントは次のとおりです。
- 訪問薬剤管理指導料は原則 基幹薬局が算定 し、協力薬局は調剤技術料・薬剤料を算定する形が基本
- 在宅の実績回数には、在宅協力薬局として連携した場合も含められる
- ただしカウントできるのは 他法人との連携のみ。同一グループ薬局への実施は除外される
連携を利用する際は、患者・家族の事前同意、薬学的管理計画の共有、初回訪問時に協力薬局の名称・住所・電話番号を文書で提供すること、レセプト摘要欄に協力薬局名・訪問日等を記載することなどが求められます。「個」の薬局から「面」の連携へ、という改定の方向性を踏まえると、地域の他法人薬局との連携づくりは今後の在宅対応の必須インフラといえます。
手段②③④スポット・業務委託・派遣で補う|法規制の切り分けが要
「必要な日だけ薬剤師を確保して穴を埋めたい」というニーズは強いですが、ここは薬剤師派遣の法規制を正しく理解しないと危険です。単発(30日以内)の短期派遣は原則禁止されているため、実務では業務委託や在宅協力薬局連携に切り分ける必要があります。
薬剤師派遣で押さえるべき法規制
- 30日以内の短期(単発)派遣は原則禁止(2012年の労働者派遣法改正による)
- 病院・診療所への薬剤師派遣は原則禁止(へき地・離島、産休育休代替等は例外)
- 調剤薬局・ドラッグストアへの派遣は可能(ただし単発の短期は上記のとおり原則不可)
つまり「単発スポット派遣で在宅の穴だけ埋める」という発想は、契約形態によっては法的にグレー〜不可になります。実際には、常用的な派遣・パート採用(手段①)か、業務委託契約(手段③)か、在宅協力薬局連携(手段②)に振り分けて設計してください。
スポット・業務委託マッチングの実際
薬剤師の単発・スポットの時給相場は、おおむね2,500〜3,500円で、人手不足の地域ほど高時給になる傾向があります(地方 > 都市部)。マッチングの例としては、地方薬局と都市部の薬剤師をつなぐ「旅する薬剤師」のようなジョブマッチングや、派遣会社のスポット求人があります。日本調剤・アイセイ薬局・なの花薬局などの大手が展開する在宅(薬剤師訪問)サービスのスキームも、連携・受託の設計を考えるうえで参考になります。

出典:日本調剤株式会社 公式サイト(www.nicho.co.jp)
補完手段を選ぶときは、「派遣か・業務委託か」「期間が30日超か」「実施主体(誰が訪問し、誰が算定するか)」を必ず整理してください。この3点が曖昧なまま契約すると、算定・コンプラ上の返還リスクにつながります。
4つの手段の選び分け|自局の状況別の判断
どの手段を選ぶべきかは、自局の基本料区分・在宅の現状・地域の連携相手の有無で変わります。以下を目安にしてください。
自局の状況 | 推奨する手段 | 理由 |
|---|---|---|
在宅をこれから始めたい/実績ゼロ | ②在宅協力薬局連携 or ④スポット補完 | 固定費を抑えつつ小さく始められる |
すでに在宅をしているが人手が足りない | ①パート・常用派遣 or ③業務委託 | 継続的な訪問量を安定確保できる |
近隣に連携できる他法人薬局がある | ②在宅協力薬局連携 | 制度に沿った正攻法。カウントも可能 |
グループ内薬局しか連携先がない | ①④など連携以外 | 同一グループはカウント除外のため |
急な依頼への即応体制を作りたい | ②連携+③業務委託の併用 | 代行訪問と受託でリスク分散できる |
「人を増やす(①)」は実績を自局に積める一方で人件費が固定化します。「連携(②)」はコストを抑えられますが相手探しと実務要件の整備が必要です。自局が単独で完結させようとせず、地域で分担する発想に切り替えることが、無理なく24回を満たす近道です。
外部リソース活用でやりがちな失敗と注意点
外部リソースの活用は有効ですが、算定・コンプライアンス上のミスは返還リスクに直結します。特に次の点に注意してください。
- 実績の水増し・不適切なカウントは返還リスク。疑義解釈(厚労省の事務連絡)で細部が随時補足されるため、届出前に最新の内容を確認する
- 同一グループ内の連携はカウント外。他法人との連携のみが実績に組み入れられる
- 派遣で在宅業務を担わせる場合は、派遣先が「薬局」であること・契約形態(派遣か業務委託か)・期間(30日超か)を必ず確認する
- オンライン訪問は24回にカウントされないため、実対面の訪問計画を別に立てる
とりわけ「在宅訪問薬剤管理指導の実務を、派遣や委託でどこまで担えるか」の細部は、契約形態と実施主体によって扱いが変わります。断定せず、契約前に社会保険労務士・行政書士や地域の薬剤師会、地方厚生局に確認するのが安全です。
外部リソースを「回る体制」にするための運用設計
外部リソースで人を呼べても、それだけでは在宅は安定して回りません。依頼の受付、日程調整、患者情報の受け渡し、薬歴・報告の統一、緊急時の連絡、実績の集計と届出に耐える記録管理——これらが属人化していると、人を確保するたびに確認作業が増え、現場負担が上がって継続が難しくなります。だからこそ、人材の手当てと同時に、業務を「再現性のある手順」に整えることが欠かせません。
ここはICT・システム化が効く領域です。最初から大規模な刷新をするのではなく、在宅の「依頼〜情報共有〜実績管理」のうち詰まりやすい部分だけを小さく整備し、効果を見ながら段階的に拡張する進め方が現実的です。薬局業務全般のデジタル化の考え方は薬局のAI活用で、中小事業者が身の丈で進めるAI・業務自動化の始め方は中小企業のAI活用・自動化で整理しているので、体制づくりの参考にしてください。

外部リソースの活用と、運用設計・システム整備をセットで進めることで、在宅24回を「単発の達成」ではなく「毎年安定して満たせる体制」へと変えていけます。医療・介護の多職種連携を含めたデジタル化の全体像は医療のAI活用も参考になります。
こんな薬局に向いている/向いていない
外部リソースでの在宅補完は万能ではありません。自局の状況に合うかを見極めてください。
向いている薬局
- 常勤薬剤師が1〜2名で、外来を止めずに在宅を回したい
- 在宅の実績があと少しで24回に届く
- 近隣に連携できる他法人薬局がある
- 急な訪問依頼への即応体制を、固定費を抑えて作りたい
- 休業・欠員時のリスク対策を用意しておきたい
向いていない・慎重に検討すべき薬局
- 連携相手が同一グループの薬局しかない(カウント除外のため実績にならない)
- 単発の短期派遣だけで穴埋めしようとしている(法規制に抵触しうる)
- 患者情報の共有体制・記録管理が整っておらず、外部の人が入るとかえって混乱する
- そもそも在宅ニーズが地域にほとんどなく、無理に実績を作ろうとしている
まずは自局の基本料区分・現在の在宅実績・連携相手の有無を棚卸ししたうえで、②連携を軸に、③業務委託や①採用を組み合わせるのが現実的です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「地域支援体制加算」で検索しましたが、名称が違うのはなぜですか?
2026年6月1日施行の令和8年度改定で「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に再編されたためです。旧名称で検索されるケースが多いため本記事では併記していますが、届出・算定は現行名称・現行要件で行います。
Q. オンライン服薬指導での訪問は24回に数えられますか?
現時点では、情報通信機器を使用した訪問は24回の実績にカウントされません。実対面での訪問実績が必要です。
Q. 同じグループの別店舗と連携すれば実績を積めますか?
いいえ。在宅協力薬局連携で実績にカウントできるのは他法人との連携のみで、同一グループへの実施は除外されます。
Q. 単発の派遣薬剤師に在宅訪問だけ頼むことはできますか?
薬剤師の30日以内の短期(単発)派遣は原則禁止されています。実務では業務委託契約や在宅協力薬局連携に切り分ける必要があり、契約形態・期間・実施主体を事前に確認してください。
Q. 点数は記事の数値をそのまま使ってよいですか?
参考値としてください。実務メディア間で旧年度値との混在が見られるため、届出前に厚生労働省の告示・点数表原文と最新の疑義解釈で必ず裏取りしてください。
在宅24回が回らないという課題は、「自局だけで完結させようとする」ことに原因があるケースが少なくありません。②在宅協力薬局として他法人と連携する制度上の正攻法を軸に、③業務委託や①採用・常用派遣を組み合わせ、④スポットは法規制に配慮して補助的に使う——この設計に、情報共有と記録管理の仕組み化を重ねれば、在宅を無理なく続けられる体制に近づきます。まずは自局の基本料区分と現在の在宅実績を棚卸しするところから始めてみてください。
この記事の著者

AI革命
編集部
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