Sakana Marlinとは?日本発Ultra Deep Research AI・8時間自律調査・料金・ChatGPTとの違いを解説【2026年10月】

この記事のポイント
Sakana Marlinは、Sakana AIが提供する法人向けの自律型リサーチAIで、最大約8時間かけて出典付きの戦略レポートとスライドを作ります。9月追加のInteractive Reading・PowerPoint出力、プラン別の1回あたり単価、ChatGPTのdeep researchとの違い、向かない調査までまとめました。
Sakana Marlin(サカナ・マーリン)は、東京のSakana AIが2026年6月15日に提供を始めた法人向けの自律型リサーチAIです。テーマを渡すと最大約8時間、人の手を借りずに調べ続け、出典付きの戦略レポートと経営層向けスライドを作ります。
この記事では次のことがわかります。
- Marlinでできること・できないこと(公式FAQで「向かない」とされる調査を含む)
- 2026年9月16日のアップデート(Interactive Reading・PowerPoint出力)の中身
- プラン別の1回あたり単価と、どの回数からProやTeamが得になるか
- ChatGPTやGeminiのDeep Researchとの違いと使い分け
- 導入前に情シス・法務と確認しておきたいデータの扱い
経営企画・事業企画、コンサルティング、金融機関、シンクタンクなどで、Marlinを試すか迷っている人に向けて書いています。料金と機能は2026年10月26日時点で公式サイトを確認した内容です。

Sakana Marlinとは:半日かけて深く調べきる法人向けリサーチAI
Sakana Marlinは「半日かけて深く調べきる」ことに特化した、Sakana AI初の商用プロダクトです。
- 法人向けの自律型リサーチエージェント。2026年4月のクローズドベータ(専門家約300名が参加)を経て、6月15日に正式提供を開始した。英語版の公式ページでは「Your Virtual CSO(仮想の最高戦略責任者)」と紹介されている
- 最大約8時間の自律実行で、仮説立案→Web上の情報収集→矛盾の解消→統合を繰り返し、出典付きのレポート(公式日本語では「数十ページ」、英語版では最大100ページ)とスライドを出力する
- 基盤になっているのは同社の推論技術 AB-MCTS(製品ページではNeurIPS 2025 Spotlightと記載)。複数のAIモデルを使い分けながら、長い時間をかけて答えを磨く設計になっている
2026年9月16日のアップデートで、レポートについてチャットで質問できる「Interactive Reading」と、編集できるPowerPointスライドの出力が加わりました。数十ページのレポートを「読み解く時間」まで短くする方向に進んでいます。
ChatGPTやGeminiのDeep Researchとは役割が違います。Deep Researchが数分〜30分ほどで結果を返すのに対し、Marlinは数時間かけて意思決定の材料となる論点整理まで行います。そのぶん1回あたりの費用は約6,700〜9,800円と高く、用途も絞られます。
開発元:Sakana AIとは

出典: Sakana AI 公式サイト
Marlinを作ったのは、東京を拠点とするAI研究スタートアップのSakana AIです。元Googleの研究者らが共同で創業し、大きなモデルを一つ作り込むよりも、複数のモデルを組み合わせる「集合知」や進化的な手法の研究で知られています。
項目 | 内容 |
|---|---|
企業名 | Sakana AI株式会社 |
拠点 | 日本・東京 |
主な研究成果 | The AI Scientist(Nature掲載)、AB-MCTS、ALE-Agent など |
Marlinの位置づけ | 同社初の商用プロダクト |
ベータ | 2026年4月にクローズドベータ開始(専門家約300名) |
提供開始 | 2026年6月15日 |
提供形態 | Webアプリ(SaaS)。カード登録で即日利用できる |
対象 | 法人向け(金融機関、事業会社の経営企画・事業企画、コンサル、シンクタンク、調査会社など) |
Marlinは、自律的に研究を進める「The AI Scientist」や、複数モデルを協調させるAB-MCTSといった研究を、ビジネス向けの調査に落とし込んだ製品です。
Sakana AIは2026年6月以降、Marlin以外の製品も相次いで出しています。複数のAIを束ねて動かすSakana Fugu、日本語に特化したLLM APIのSakana Namazuなどです。10月23日にはAIエージェント基盤「Sakana Aquarium」も発表しましたが、現時点でMarlinとの関係は公式に示されていません。
長い時間をかけて自律的に作業するAIの全体像は、AIエージェントとは何かを解説した記事を読むと理解しやすくなります。
Sakana Marlinでできること
Marlinの役割は、人が数日〜数週間かける戦略リサーチを、AIが半日ほどで自律的にこなすことです。主な機能は次のとおりです。

- 最大約8時間の自律実行:最初に短い対話で調査の方針を決めると、その後は人の介入なしで「仮説を立てる→情報を集める→矛盾を見つけて解消する→まとめる」を繰り返します。公式FAQでは「目安は約8時間。テーマの複雑さや探索の深さで変動」とされています。
- 出典付きのレポート:戦略レポート本体に加え、付録・参考文献、経営層向けのスライドを出力します。ページ数は公式日本語で「数十ページ」、英語版リリースで「最大100ページ」です。
- 戦略オプションの整理:ビジネス環境の因果関係を図式化し、取り得る戦略の選択肢を並べて示します。単なる要約ではなく、意思決定のための材料をそろえる設計です。
- Interactive Reading(2026年9月追加):レポートについてチャットで質問・議論でき、答えに対応する箇所へ移動できます。引用をクリックすると出典が開き、根拠の箇所が示されます。
- PowerPoint出力(2026年9月追加):文字・図形・表やグラフのデータと書式まで編集できるスライドを出力します。各スライドに出典URLが入り、自社や顧客のテンプレートも使えます。
公式が想定する用途は、戦略立案、市場・競合分析、技術トレンドの評価、規制変化の影響、リスク分析、事業機会の整理などです。公開サンプルには「ステーブルコイン・トークン化決済が日本市場に与える影響」「エンタープライズAIエージェント市場マップ」「なぜ日本でクマが人里に出没するのか」といったテーマがあります。
使い方の流れ
アカウント作成からレポートの受け取りまでは、次のように進みます。
- サインアップページでアカウントを作り、調査テーマ・目的・前提条件を入力する
- Marlinと短く対話し、調査の範囲と方針を決める(公式のワークフロー表記は「Plan → Deep & Multi Research → AI Report」)
- 自律リサーチの実行を待つ(最大約8時間)。途中でキャンセルはできるが、クレジットは消費される
- 完成したレポートとスライドを受け取り、Interactive Readingで疑問点を確かめながら、人がファクトチェックをして判断する
方針を決めるのは最初の対話だけです。VentureBeatは、Geminiでは調査計画(アウトライン)を共同で編集できるのに対し、Marlinは最初の短い対話で範囲を決める点が違うと伝えています。依頼する前に、調べたい論点や前提条件を書き出しておくと、狙いから外れにくくなります。

2026年9月のアップデート:Interactive ReadingとPowerPoint出力

出典: Sakana AI 公式ブログ(Marlinアップデート)
2026年9月16日のアップデートは、「AIが調べ終わったあと、人が読み解いて資料にする時間」を短くするためのものです。公式の告知記事には、ベータ利用者から「網羅性は評価できるが、数十ページを読み解くのが大変で、調査時間があまり減っていない」という声があったと書かれています。
機能 | できること | 実務での使いどころ |
|---|---|---|
Interactive Reading | レポートについてチャットで質問・議論する。該当箇所へ移動し、引用から出典の根拠箇所を開く | 長いレポートから必要な結論だけを拾う。数字や主張の裏取りをする |
PowerPoint出力 | 文字・図形・表/グラフまで編集できるスライドを出す。各スライドに出典URL。任意のテンプレートに対応 | 自社や顧客の書式で会議資料のたたき台を作る |
同じ告知で無料トライアルの案内も始まりました。2026年10月26日時点では、9月16日以降にMarlin関連の公式発表はなく、料金も6月の提供開始時と変わっていません。
Marlinの歩み
時期 | 出来事 |
|---|---|
2026年4月 | クローズドベータ開始(金融・事業会社・コンサル・シンクタンクの専門家約300名) |
2026年6月15日 | 正式提供開始。従量課金・Pro・Team・Enterpriseの4区分 |
2026年9月16日 | Interactive Reading、PowerPoint出力を追加。無料トライアルを案内 |
技術基盤:AB-MCTSの仕組みをやさしく解説

Marlinの「深さ」を支えているのは、Sakana AIが開発した推論時スケーリングの技術 AB-MCTS(Adaptive Branching Monte Carlo Tree Search) です。製品ページではNeurIPS 2025 Spotlightの研究として紹介されています。
AB-MCTSは、答えを探すときに次の2つの動きを状況に応じて選びます。
- 深く探す:いま手元にある有望な答えを、少しずつ直して磨き上げる
- 広く探す:いったん白紙に戻し、別の角度から新しい答えを作る
どちらを選ぶかは、トンプソンサンプリングという確率的な手法で決めます。優秀なリサーチャーが「この線をもう少し掘るか、視点を変えるか」を判断する作業を、木探索のアルゴリズムで自動化したものと考えるとわかりやすいでしょう。
発展版の Multi-LLM AB-MCTS では、「直すか・作り直すか」に加えて「どのAIモデルに任せるか」も選びます。研究ではo4-mini、Gemini 2.5 Pro、DeepSeek-R1を組み合わせました。
ARC-AGI-2という難しいベンチマーク(公開評価用の120問)での結果は次のとおりです。いずれも250回まで試して1回でも正解すれば正解とする条件(Pass@250)です。
方法 | 正答率 |
|---|---|
o4-mini を単純に繰り返し試行 | 23% |
o4-mini + AB-MCTS | 27.5% |
Multi-LLM AB-MCTS(複数モデルの組み合わせ) | 30%超 |
1つのモデルでも探し方を変えれば成績が上がり、複数のモデルを組み合わせるとさらに上がる、という結果です。なお、答えを2つに絞って提出する条件(Pass@2)では19.2%でした。AB-MCTSの実装は「TreeQuest」としてオープンソース(Apache 2.0)で公開されています。
注意したいのは、Marlinが実際にどのモデルを使っているかは公表されていない点です。公式は「複数のAIモデル」とだけ説明しており、研究で使われたo4-miniなどがMarlinの中身だとは言えません。複数のAIを連携させる仕組みそのものは、マルチエージェントの解説記事が参考になります。
Sakana Marlinの料金・プラン
Marlinの料金は1回の実行=100クレジットが共通の単位で、従量課金とPro・Team・Enterpriseの月額プランがあります。2026年10月26日時点で公式サイトを確認した内容は次のとおりで、6月の提供開始時から変わっていません。
プラン | 月額 | 付与クレジット | 追加クレジット単価 | 1回あたりの目安(当編集部の計算) | 想定利用者 |
|---|---|---|---|---|---|
従量課金(Pay as you go) | なし(都度購入) | なし | 98円 | 約9,800円 | お試し・単発の調査 |
Pro | 150,000円 | 2,000/月(20回分) | 90円 | 7,500円 | 個人〜小さなチーム |
Team | 400,000円 | 6,000/月(60回分) | 85円 | 約6,667円 | 部門での利用 |
Enterprise | 個別見積もり | 個別に設定 | 割引あり | ― | 大企業・専任サポートが必要な組織 |
「1回あたりの目安」は月額を付与クレジットの回数で割った当編集部の計算で、公式の表記ではありません。
契約まわりで押さえておきたい点は次のとおりです。
- 無料トライアル:9月16日の公式告知に「無料トライアルもご用意しています」とあります。回数や条件は公式サイトに書かれておらず、gihyo.jpは6月時点で「審査のうえ無料トライアルあり」と報じています
- 決済と請求:Stripeによるカード決済で、インボイス制度(適格請求書)に対応しています
- 解約・プラン変更:アカウント設定からいつでも自分で手続きできます
- 実行のキャンセル:実行中いつでも止められますが、クレジットは消費されます
- 確認できていない点:税込か税抜か、使い切れなかったクレジットの繰り越し、Teamプランの席数は公式サイトで確認できませんでした。契約前に問い合わせてください
料金は変わることがあります。契約前にSakana Marlin 公式サイトで最新の金額を確認してください。
月の実行回数で変わる得なプラン
月に何回使うかで、得になるプランが変わります。従量課金の1回約9,800円を基準に計算すると、目安は次のとおりです(当編集部の計算)。
月の実行回数 | 安くなるプラン | 理由 |
|---|---|---|
15回以下 | 従量課金 | 15回で147,000円。Proの150,000円より安い |
16〜47回 | Pro | 16回で従量なら156,800円。Proは20回まで15万円、超えた分は1回9,000円 |
48回以上 | Team | Proで48回なら150,000円+28回×9,000円=402,000円。Teamは60回まで40万円 |
1本の本格リサーチに約6,700〜9,800円かかる道具なので、気軽に何度も回すより、人の調査工数と比べて割に合うかで判断するのが現実的です。アナリストが数日かける調査の「たたき台」が半日・1万円弱で手に入るなら割安、と考えられるかが分かれ目になります。
ChatGPT / Gemini Deep Researchとの違い
MarlinはChatGPTやGeminiのDeep Researchと同じ土俵で争う道具ではなく、もっと重い調査を受け持つ道具です。違いを表にまとめます。
比較項目 | ChatGPT deep research / Gemini Deep Research | Sakana Marlin |
|---|---|---|
実行時間 | 数分〜30分ほど(VentureBeatによれば3〜30分) | 最大約8時間 |
出力 | チャット内のレポート | 出典付きの数十ページ(英語版公式では最大100ページ)のレポート+スライド |
方針の決め方 | Geminiは調査計画を共同で編集できる | 最初の短い対話で範囲を決める |
読み返し | 同じチャットで追加質問できる | Interactive Readingで質問し、該当箇所・出典へ移動 |
スライド出力 | 標準の主機能ではない | 編集できるPowerPointを出力(テンプレート対応) |
対象ユーザー | 個人〜法人(一般消費者も使える) | 法人向け |
料金の仕組み | 月額サブスクの範囲内(回数に上限あり) | 1回約6,667〜9,800円、月額15万円〜 |
強み | 速さ・手軽さ | 深さ・網羅性・意思決定の材料づくり |
ChatGPTとGeminiの回数上限や価格はプランごとに違い、改定も多いため、この表には数値を載せていません。Geminiの上位機能はDeep Research Maxの解説記事とGemini Deep Thinkの解説記事にまとめています。
使い分けの基本は、速さを取るか、深さを取るかです。
- すぐに概要をつかみたい、日常的に何度も調べたい:ChatGPTやGeminiのDeep Research、またはPerplexityが向いています。数分で結果が出て、追加費用もかかりません。
- 半日かけてでも、経営会議に出せる深さと網羅性がほしい:Marlinの出番です。事業戦略や市場参入の判断のような重い調査が対象です。
実務では「Deep Researchで当たりをつけ、本格的に検討するテーマだけMarlinに回す」二段構えが現実的です。リサーチ用途を含むツール全般の比較は、生成AIツールおすすめ比較も参考にしてください。
Sakana Marlinの弱み・注意点
Marlinには、公式FAQで「現状適していない」と明記されている調査があります。導入前に、自社の調べたいテーマがここに当たらないかを確かめてください。
公式が「向かない」としている調査
- 公開情報が少ないニッチな領域:Web上の情報を集めて組み立てる仕組みのため、材料が少ないと深掘りできません
- 秒単位で追う必要があるリアルタイムの情報:1回に数時間かかるため、相場の監視や速報の追跡には使えません
- 社内の非公開データだけで完結する調査:ファイルのアップロードや社内システムとの連携は、公式サイトに記載がありません(できないと明言されているわけではなく、現時点で確認できない状態です)
そのほかの注意点
- 一般消費者向けではない:法人向けの製品で、ちょっとした質問や会話には向きません
- 即答できない:1回の実行に最大約8時間かかります
- 費用が高い:1回あたり約6,667〜9,800円です。途中でキャンセルしてもクレジットは戻りません
- EU・EEA加盟国では使えない:日本国外からも利用できますが、EU・EEA加盟国には提供していません。ネットワークや現地の規制で使えない地域もあるとされています
- 基盤モデルが非公開:どのAIモデルを使っているか公表されていないため、モデル単位での評価や社内審査はできません
- APIが確認できない:Webアプリとしての提供で、APIやモバイルアプリは現時点で確認できません
AIの誤りを見落とすリスク
数十ページのレポートには、気づきにくい誤りが混ざる可能性があります。出典付きとはいえ、人がファクトチェックする前提で使う必要があります。
参考になるのが、フランスのメディアHorizon IAによる実機テストです。SEO戦略の調査を依頼したところ、翌日に約100ページのレポートと付録・引用一覧、30〜40枚のスライドが届きました。競合分析・キーワード整理・コンテンツ計画は強い一方で、技術的なSEO監査や実データとの連携はなく、被リンクの提案は一般論にとどまったと評価しています。結論は「検証できる戦略のたたき台を作るには優秀だが、ベテランの判断の代わりにはならない」というものでした。一つの事例ですが、期待値の目安になります。
「80ページのレポート」「参照ソース60〜80件」といった数字が出回っていますが、公式の表現ではありません。公式日本語は「数十ページ」、英語版リリースは「最大100ページ」です。ソース数の数字は海外メディアのデモ記事が出どころで、公式には確認できません。
セキュリティ・データガバナンス上の注意点
機密性の高い戦略情報を入力する道具なので、データの扱いは導入判断の大事なポイントです。公式FAQに書かれている方針は次のとおりです。
- Sakana AIと、Sakana AIが利用する外部AIサービスのどちらでも、利用者が明示的に同意(オプトイン)しない限り、入力データをモデルの学習・再学習に使わない
- 同意した場合でも、品質改善に使う前に個人を特定できる情報を取り除く
公式が「外部AIサービスを利用する」と明言している点は見落とせません。入力した内容が外部のAI事業者にも送られうる前提で、社内審査を進める必要があります。導入前に情シス・法務と確認したい項目をまとめました。
確認項目 | 2026年10月時点の公式情報 | 社内での確認ポイント |
|---|---|---|
学習への利用 | オプトインしない限り使わない | 同意の設定を誰が管理するか |
外部AIサービス | 利用していると明記。事業者名は非公開 | 機密情報や顧客情報を入力してよいか |
セキュリティ認証 | ISMS・SOC 2などの記載なし | 取引先の審査基準を満たすか、問い合わせが必要か |
提供地域 | EU・EEA加盟国は利用不可 | 海外拠点の社員が使う予定があるか |
規約類 | プライバシーポリシーを公開 | NDAや社内規程と矛盾しないか |
請求 | インボイス制度に対応 | 経理処理の流れに乗るか |
Marlinは公開情報を調べる道具なので、自社の非公開データと組み合わせた分析や、調査結果を社内システムに取り込む仕組みが必要なら、別途作り込むことになります。新しいモデルや機能を自社の業務システムに組み込む方法と費用の目安は、AI開発の費用相場【2026年10月】AI受託開発の改修・PoC・本開発の価格と見積の内訳で整理しています。
AIエージェントを業務に入れるときのセキュリティ全般は、AIエージェントのセキュリティガイドにまとめています。
こんな企業・人におすすめ
Marlinは向き不向きがはっきりした道具です。
おすすめできる企業・人
- 金融機関、コンサルティングファーム、シンクタンク、調査会社など、深い戦略リサーチを日常的に必要とする組織
- 経営企画・事業企画・新規事業の部門で、市場分析や競合調査に人手と時間をかけている担当者
- 会議資料を自社や顧客のテンプレートで作ることが多く、PowerPoint出力でたたき台を作りたいチーム
- 月に16回以上こうした調査を回す見込みがあり、Pro以上で1回あたりの単価を下げられる組織
- 出力をうのみにせず、人がレビューする体制を組める企業
おすすめしない企業・人
- 個人で気軽に、すぐ答えがほしい人(ChatGPTやGeminiのDeep Research、Perplexityが向いています)
- 公開情報が少ない専門分野や、社内データだけで完結する分析をしたい人
- 相場や速報をリアルタイムで追いたい人
- EU・EEA加盟国の拠点で使う予定がある組織
- 調査結果をチェックせずにそのまま使いたい組織(誤りを見落とす危険が高い)
自律型のAIエージェントを比べて選びたい場合は、AIエージェントのおすすめ比較記事や、汎用の自律エージェントを扱ったManus解説記事も判断材料になります。
導入を判断するためのチェックフロー
迷ったら、次の順に確かめると判断しやすくなります。
- 調べたいテーマは、公開情報で調べられる重い戦略課題か? → ニッチすぎる、リアルタイム性が必要、社内データだけで完結する、のどれかに当たるならMarlinは向きません
- 半日待てるか? → すぐ答えが必要なら通常のDeep Researchで十分です
- 1回約6,700〜9,800円の費用が、人の調査工数と比べて割に合うか? → わからなければ無料トライアルか従量課金で試します
- 出力を人がレビューする体制があるか? → なければ誤りを見落とす危険が高くなります
- 外部AIサービスを通る前提で、入力する情報の範囲を社内で決められるか? → 決まっていなければ情シス・法務に確認します
- すべて満たすなら、まず無料トライアルか従量課金で1〜2本試し、月16回以上使う見込みが立ったらProに切り替えるのが安全です
よくある質問(FAQ)
Q. Sakana Marlinは無料で使えますか?
A. 2026年9月16日の公式告知で無料トライアルが案内されています。ただし回数や条件は公式サイトに書かれておらず、6月時点の報道では審査制とされています。トライアル後は、月額なしの従量課金(1回約9,800円)か、月額15万円からのプランを選ぶ形です。
Q. なぜ1回の調査に8時間もかかるのですか?
A. 即答するのではなく、仮説を立て、調べ、矛盾を直し、まとめる作業を何度も繰り返すからです。AB-MCTSの研究では、試行の回数や探し方を工夫するほど正答率が上がることが示されており、時間をかけること自体が品質につながる設計です。8時間は目安で、テーマによって短くも長くもなります。
Q. 出力されたレポートはそのまま使えますか?
A. そのまま意思決定に使うのはおすすめしません。出典は付いていますが、海外メディアの実機テストでも「戦略のたたき台としては優秀だが、ベテランの判断の代わりにはならない」と評価されています。Interactive Readingで引用元の根拠箇所を開き、重要な数字は人が確認してください。
Q. 社内の資料を読み込ませて分析できますか?
A. 公式FAQでは、社内の非公開データだけで完結する調査は「現状適していない」とされています。ファイルのアップロードや社内システムとの連携も、2026年10月時点で公式サイトに記載がありません。公開情報の調査に使い、社内データとの突き合わせは人が行う使い方が現実的です。
Q. 個人でも使えますか?
A. 法人向けの製品で、公式の想定利用者は金融機関や事業会社の企画部門、コンサル、シンクタンクなどです。カード登録で使い始められますが、1回の費用を考えると個人の手軽な調べものには向きません。個人のリサーチなら、PerplexityとChatGPTの比較記事を参考に別のツールを選ぶのが現実的です。
Q. 海外拠点からも使えますか?
A. 日本国外からも利用できますが、EU・EEA加盟国には提供されていません。そのほかにも、ネットワークや現地の規制で使えない地域があるとされています。
Q. ChatGPTのDeep Researchと併用すべきですか?
A. 併用すると効率的です。日々の下調べはDeep Researchで済ませ、経営判断に関わる重いテーマだけをMarlinに回すと、費用を抑えつつ深い調査を必要な場面に絞れます。
まとめ
Sakana Marlinは、Sakana AIが2026年6月に商用化した法人向けの自律型リサーチAIです。最大約8時間かけて調べ、出典付きの数十ページ(英語版公式では最大100ページ)のレポートとスライドを作ります。9月のアップデートでInteractive ReadingとPowerPoint出力が加わり、調べたあとに読み解いて資料にする手間も減らせるようになりました。
一方で、1回約6,667〜9,800円の費用、数時間の待ち時間、人によるファクトチェックの必要性は変わりません。ニッチな領域・リアルタイムの情報・社内データだけの調査には向かない、と公式も明言しています。まずは無料トライアルか従量課金で1〜2本試し、月に何回使うか、人の調査工数と比べて割に合うかを確かめてから、ProやTeamに進むのがおすすめです。
Sakana AIのほかの製品では、Sakana AIの翻訳サービスの解説も公開しています。生成AI全体の活用像をつかみたい方は、生成AIとは何かの基礎解説もあわせてご覧ください。
依頼範囲と費用の目安を30分で整理します
この記事の著者

AI革命
編集部
AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
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