AIコーディング2026年10月更新

Docker Gordonとは?機能・料金・セキュリティ・使い方を完全ガイド【2026年5月正式リリース・10月最新版】

公開日: 2026/06/11
更新日: 2026/10/25
Docker Gordonとは?機能・料金・セキュリティ・使い方を完全ガイド【2026年5月正式リリース・10月最新版】

この記事のポイント

Docker Gordonは、Docker環境を読み取ってコンテナの不具合調査やDockerfile作成を手伝うDocker公式のAIエージェントです。2026年10月時点の機能、無料Baseと有料プランの質問数の上限、データの扱い、安全な設定、Cursor・Claude Codeとの使い分けを公式情報をもとに整理します。

Docker Gordonは、Docker社が提供するDocker専用のAIエージェントです。コンテナのログやイメージ、composeファイルを自分で読み、原因の調査やDockerfileの修正を提案し、ユーザーが許可したときだけコマンドを実行します。2026年5月19日(Docker Desktop 4.74)に正式リリース(GA)され、無料のDockerアカウントでも使えます。

この記事では、2026年10月時点(Docker Desktop 4.96系)の機能、無料のBaseと有料プランの違い、質問数の上限と日本時間でのリセット時刻、データの扱い、業務で使うときの安全な設定、Cursor・GitHub Copilot・Claude Codeとの使い分けを、公式ドキュメントとリリースノートをもとに整理します。

Dockerのエラー調査に時間を取られている開発者、DevOps・インフラ担当者、会社でGordonを使ってよいか判断したい管理者の方に向けた記事です。

Docker Gordonが活躍するコンテナ技術の開発環境イメージ

Docker Gordonとは?3つのポイントで整理する

Docker公式ブログのGordon紹介記事に使われているDockerロゴ画像

出典: Docker 公式ブログ

Docker Gordonは、Docker環境の今の状態を読んだうえで動くAIエージェントです。公式ドキュメントは「Docker のワークフローで実際に操作するAIアシスタント」と説明しています。汎用のAIチャットにエラー文を貼り付けて聞く使い方とは違い、Gordonは実行中・停止中のコンテナ、ログ、イメージ、ボリューム、ネットワーク、ビルドキャッシュを自分で確かめてから答えます。

  • Docker専用: コンテナの不具合調査、Dockerfile・composeファイルの作成と修正、イメージやボリュームの整理を受け持つ
  • 環境を自分で読む: ログやコンテナの状態を手でコピーして説明しなくてよい
  • 承認制: シェルでのコマンド実行、ファイルの作成・変更、インターネットからの取得は、既定ではユーザーの許可が必要

Docker の公式ブログは役割分担を「コーディングアシスタントはコードを書くのを手伝い、Gordon はそれを出荷するのを手伝う」と表現しています。アプリのロジックはCursorやClaude Code、Docker・コンテナ・インフラまわりはGordon、という分け方です。

使える場所は4つ

入口

できること

条件

Docker Desktop

サイドバーのGordonから開く。4.90.0以降は右側のドロワーでも開ける

Docker Desktop 4.74以降・サインイン

CLI(docker ai)

ターミナルで対話する画面(TUI)が開く

Docker Desktopに同梱

Docker Hub

リポジトリページのGordonアイコンから、イメージやタグについて質問する。操作が必要ならDocker Desktopへ引き継ぐ

無料・アカウント不要

docs.docker.com

公式ドキュメントのどのページからでも質問できる

無料・アカウント不要

Docker Hub版とドキュメント版は全員で共有する上限があり、ユーザーのDocker環境には触れません。コンテナの調査や修正までさせたいなら、Docker Desktop版かCLI版を使います。

名前の変遷

ベータ期は「Ask Gordon」と呼ばれ、製品内には「Docker AI」という表記もありました。Docker Desktop 4.63.0(2026年3月)で製品内の表記が「Gordon」にそろいましたが、公式ドキュメントの画面説明には今も「Ask Gordon」の文字が残っています。検索するときはどちらの名前でも同じ機能を指しています。

なお、Gordonは2026年2月の刷新からDockerのエージェント基盤(旧cagent、現在のDocker Agent)の上で動いています。ただし公式ドキュメントはDocker AgentをGordonとは別の製品として扱っています。AIエージェントという仕組みそのものについては、AIエージェントとは?仕組み・種類・活用事例で解説しています。

正式リリースまでの経緯

Docker公式サイトのトップページ画像

出典: Docker 公式サイト

Gordonは2025年1月のオプトイン・ベータから始まり、約1年4か月のベータ期間を経て2026年5月にGAになりました。GAのあとも毎週のDocker Desktop更新で機能が足されています。公式リリースノートで確かめられた主な変化をまとめます。

GAまで

時期

バージョン

内容

2025年1月

Docker Desktop 4.37

オプトインのベータとして提供開始

2025年1月30日

4.38.0

ベータのまま、より広いユーザーに提供

2025年3月5日

4.39.0

イメージ・コンテナ・ボリュームの文脈をより深く読めるように

2025年6月4日

4.42.0

MCP Toolkitと統合し、100以上のMCPサーバーを使えるように

2025年11月6日

4.50.0

すべてのMCPツールの実行前に確認を求めるよう変更。プロンプトインジェクション対策

2026年2月23日

4.61

エージェント型に刷新したベータ(シェル・ファイル操作・承認制)

2026年3月2日

4.63.0

「Docker AI」の表記を「Gordon」に変更

2026年3月16日

4.65.0

docker build / docker run / docker compose の失敗時にGordonのヒントを表示

2026年4月7日

4.68.0

セッションをまたいで覚える永続ローカルメモリ

2026年5月19日

4.74.0

GA。Gordon Plus / Max / Ultra の有料プランも開始

GAのあとに入った主な機能(2026年6〜10月)

バージョン(日付)

内容

4.78.0(6月15日)

ツール実行の出力をリアルタイム表示。モデルを選ぶ画面。VPN・プロキシの確認を促すネットワークエラー表示

4.81.0(7月6日)

権限確認のダイアログを、チャット内の承認カードに変更

4.83.0(7月20日)

権限画面に「Custom rules」タブ。Plan modeのボタン

4.85.0(8月3日)

Plan modeが途中で通常モードに戻る不具合を修正。「Clean up Docker」が整理の計画を示して確認を待つように

4.86.0(8月10日)

安全モード3段階(Strict / Balanced / Autonomous)を追加

4.90.0(9月7日)

右側のドロワーで開けるように。問題のある行に「Ask Gordon」マーク

4.92.0(9月21日)

セッションが関係するプロジェクトのディレクトリから始まるように

4.96.0(10月19日)

セッション削除まわりの不具合修正

2026年10月25日時点の最新版はDocker Desktop 4.96.3(10月22日)です。9〜10月の更新は不具合の修正が中心で、大きな変化は8月の安全モードと9月のドロワー化です。

Docker Gordonでできること

Gordonが得意なのは、コンテナが動かない原因を環境から突き止めることと、Dockerfileやcomposeファイルをベストプラクティスに沿って直すことです。公式ドキュメントが挙げる機能と、GAブログの使用例をもとに整理します。

1. コンテナの不具合調査

止まり続けるコンテナや起動しないコンテナについて、Gordonはログ、メモリ上限、プロセスを確かめて原因と直し方を示します。Dockerの公式ブログには、コンテナが終了コード137で止まったとき、汎用のAIチャットは「OOM(メモリ不足)です」と意味を説明するだけだが、Gordonは実際のメモリ上限とログを見て修正まで進める、という例があります。

  • 起動直後に終了する(終了コード1、137など)
  • ポートの競合
  • ネットワークやボリュームの設定ミス

4.65.0からは、docker build・docker run・docker compose が失敗したときにターミナルにGordonのヒントが出ます。4.90.0からは、Docker Desktopの画面で問題が見つかった行に「Ask Gordon」マークが付き、その場で質問できます。

2. Dockerfileの作成と最適化

プロジェクトを読み、Dockerfileを新しく書いたり、今あるものを直したりします。GAブログが挙げている改善の例は次のとおりです。

  • マルチステージビルドへの書き換え
  • キャッシュが効く順にレイヤーを並べ替える
  • 軽いベースイメージへの変更
  • ヘルスチェックの追加

3. composeファイルの作成

アプリをコンテナ化し、PostgreSQLなどを含むdocker-compose.ymlを書く作業も頼めます。サービス間の依存や環境変数もまとめて扱います。

4. イメージ・コンテナ・ボリュームの整理

使っていないイメージやボリュームの削除、コンテナの停止など、日々の管理も任せられます。4.85.0からは「Clean up Docker」を頼むと、まず整理の計画を示してユーザーの確認を待つようになりました。

5. Dockerの概念を自分の環境に沿って説明

ボリュームとバインドマウントの違いなど、Dockerの概念を手元の環境を例に説明します。Dockerの公式ドキュメントを検索する仕組み(RAG)とWeb検索を持っているため、一般的な説明より具体的な答えが返りやすいのが特徴です。

6. MCPとの連携

Docker DesktopのMCP Toolkit(ベータ表記)と連携し、GitHubなど外部のツールをGordonから使えます。CLIでは作業ディレクトリに置いた gordon-mcp.yml(Compose形式)で使うMCPサーバーを指定できます。4.77.0からはMCPのOAuth認証ボタンも動くようになりました。MCPの仕組みはMCPとは、GitHubとつなぐ例はGitHub MCP Serverの使い方で解説しています。

なお、以前は「GordonをMCPサーバーとしてCursorなどから呼び出せる」と紹介されることがありましたが、2026年10月時点の公式ドキュメントでは、その使い方の説明は確認できませんでした。

7. シェル操作・ファイル操作・メモリ

Gordonは仕事ごとのサブエージェント、シェル、ファイルの読み書き、Dockerドキュメントの検索、Webアクセスを道具として持っています。4.68.0からは好みやプロジェクトの前提をセッションをまたいで覚えるので、毎回同じ説明をしなくて済みます。

8. Plan modeとモデル選択(GA後)

4.78.0〜4.83.0にかけて、いきなり実行せずに手順を先に立てる「Plan mode」と、使うAIモデルを選ぶ画面が加わりました。選べるモデルの名前や細かい仕様は、公式ドキュメントでは公開されていません(公式は「外部のAI提供元」とだけ説明しています)。

Docker GordonのAIエージェント機能が動作するサーバー技術環境のイメージ

Gordonでできないこと・制約

Gordonは、Docker以外のコーディング支援には向いていません。アプリのロジック実装やリファクタリングは、公式もコーディングアシスタントの役割と位置づけています。そのほか、使う前に知っておきたい制約は次のとおりです。

制約

内容

動作環境

Docker Desktop 4.74以降と、サインイン済みのDockerアカウントが必要。公式は「Gordon CLIはDocker Desktopの一部」としており、Docker Engineだけを入れたLinuxサーバーでの利用は案内されていない

sudo

明示的に許可しない限り使えない。コマンドはユーザーの権限で動く

ファイルへのアクセス範囲

作業ディレクトリは「始める場所」を決めるだけで、アクセス範囲を制限しない。作業ディレクトリの外のファイルも読める

Webアクセス

認証が必要な非公開のリソースには入れない。外部へのリクエストには回数制限がある

利用上限

プランごとに4時間・1日・1か月の上限がある。無料のBaseは1か月約180問

組織での利用

Docker Businessの組織では、Docker Supportと管理者が有効にするまで使えない

回答の正確さ

提案は必ず人が確かめる。特に削除や本番環境に関わる操作は内容を読んでから承認する

料金・プラン(2026年10月時点)

Gordonは、無料のBaseがどのDockerアカウントにも付いています。もっと使いたい人向けに、Gordon Plus・Max・Ultraという個人向けの有料プランがあります。これはDocker本体の利用プラン(Personal / Pro / Team / Business)とは別に契約するものです。

Gordonプランと質問数の上限

プラン

月額(公式表示)

利用量

4時間あたり

1日あたり

1か月あたり

公式のおすすめの対象

Base

無料

1x

約40問

約100問

約180問

Docker AIを使い始めた人

Gordon Plus

$20/月

2x

約80問

約200問

約360問

日々の作業でAIを多く使う人

Gordon Max

$50/月 ※

5x

約200問

約500問

約900問

毎日Gordonを使うチーム

Gordon Ultra

$100/月

10x

約400問

約1,000問

約1,800問

最大の容量と優先アクセスが必要な人

※ Gordon Maxは公式製品ページに$50と$150の両方の表示があります。購入前に公式ページで金額を確かめてください。

質問数は公式の目安で、ファイルを多く読ませたりDocker操作を何度も伴ったりする質問ほど多く数えられます。Docker Desktopには、上限まであとどれくらいかの表示があります。

Baseで足りるかの目安: Baseは1日100問まで使えますが、1か月の上限は180問です。1日の上限近くまで使う日が続くと、2日ほどで月の上限に届きます。週に数回エラーを聞く程度ならBaseで足ります。毎日の開発で使うなら、Plus以上を考えるのが現実的です。

上限のリセット時刻(日本時間)

上限は使った時刻からの「スライド式」ではなく、UTCの決まった時刻にリセットされます。日本時間に直すと次のとおりです。

区切り

UTC

日本時間

4時間枠

0時から4時間ごと

1時・5時・9時・13時・17時・21時

1日

0時

毎朝9時

1か月

毎月1日 0時

毎月1日 9時

朝の作業で4時間枠を使い切っても、13時にはまた使えるようになります。

請求のルール

公式ドキュメントに書かれている請求のルールです。

  • 毎月1日に請求。月の途中で買うと、残りの日数分だけ請求される
  • 上位プランへの変更はいつでもでき、支払い後すぐに反映される
  • 下位プランへの変更や自動更新の停止は翌月1日から(例: 4月15日にUltraからPlusへ変えても、4月30日まではUltraのまま)
  • 残りの日数分の返金やクレジットはない
  • 個人のDockerアカウント専用。組織のアカウントでサインインして買っても、個人のアカウントに付く
  • 管理画面は Docker Home → Billing → Active plans → Manage
  • 使わなかった分を翌月に繰り越せるかは、公式に記載がない

なお、Docker本体の有料プラン(Pro・Team・Business)でGordonの上限がどう変わるかは、公式で明らかになっていません。GAのとき、Docker本体の有料プランの契約者には移行の案内がメールで届くと告知されています。

Docker本体の利用プラン

Dockerプラン

月払い

年払い(月あたり)

Docker Personal

$0

$0

Docker Pro

$11

$9

Docker Team

$16

$15

Docker Business

営業へ問い合わせ

$24

2026年10月25日にDocker公式の料金ページで確認した金額です。料金はドル建てで、日本円での請求額や税の扱いは公式ページで確かめてください。

Hub版・ドキュメント版は別枠で無料

Docker Hubとdocs.docker.comのGordonは、Dockerアカウントがなくても無料で使えます。ただし全員で共有する上限があり、手元のコンテナを調べることはできません。

Cursor・GitHub Copilot・Claude Codeとの違い

GordonとCursor・GitHub Copilot・Claude Codeは、取り合う関係というより受け持ちが違うツールです。アプリのコードを書くのはコーディングツール、Docker環境の不具合調査や管理はGordon、という組み合わせが基本になります。

ツール比較表

比較項目

Docker Gordon

Cursor

GitHub Copilot

Claude Code

主な用途

Docker・コンテナまわり(調査・Dockerfile・compose・整理)

エディタ一体型のコード編集

コード補完・エージェント・PR支援

ターミナルで動くコーディングエージェント

コンテナの不具合調査

◎ Docker環境を直接読む

△ エラーを渡せば提案する

△ 同じくエラーを渡せば提案する

○ ターミナルでdockerコマンドを使って調べられる

Docker環境の自動把握

◎ ログ・イメージ・ボリューム・ネットワークを読む

△ 手で状況を伝える

△ 手で状況を伝える

△ コマンドの結果から読む

アプリのコード編集

△ 得意分野ではない

◎

◎

◎

無料で使える範囲

Baseが無料(月約180問)

無料プランあり

無料プランあり

Claudeの有料プランかAPI利用が前提

MCP

Docker MCP Toolkitと連携

対応

対応

対応

使う場所

Docker Desktop / CLI / Docker Hub / ドキュメント

専用エディタ

VS CodeなどのIDE・GitHub

ターミナル・IDE

各ツールの料金は変わりやすいため、契約前にそれぞれの公式ページで確かめてください。

使い分けの目安

やりたいこと

向いているツール

コンテナが動かない・エラーの原因を知りたい

Gordon

Dockerfileを書きたい・軽くしたい

Gordon

不要なイメージやボリュームを片付けたい

Gordon

アプリのロジックを書く・リファクタリングする

Cursor / Claude Code

書きながら補完がほしい

GitHub Copilot

アプリの修正とコンテナの修正が両方ある

コーディングツールでコードを直し、Gordonでコンテナを直す

コーディングツール全体の選び方はAIコーディングツールおすすめ比較、2強の違いはClaude CodeとGitHub Copilotの比較で解説しています。

Docker Agent・Docker Sandboxes・MCP Toolkitとの違い

Dockerには名前の似たAI関連の製品がいくつかあります。

製品

役割

Gordonとの関係

Gordon(docker ai)

Docker作業を手伝う組み込みのAIエージェント

この記事で解説している製品

Docker Agent(旧cagent)

自分でAIエージェントを組み立てるためのオープンソースの基盤(docker agent)

Gordonの基盤に使われているが、公式は別製品として案内

Docker Sandboxes(docker sbx)

AIエージェントを隔離した環境で動かす仕組み

別製品。4.80.0で旧 docker sandbox から移行

MCP Toolkit

MCPサーバーを探して入れ、AIツールにつなぐ機能(ベータ表記)

Gordonから外部ツールを使うときの入口

docker aiコマンドでGordonをターミナルから使うイメージ

Docker Gordonの使い方(始め方)

Docker Desktopのダウンロードページ画像

出典: Docker 公式サイト

Docker Desktopを4.74以降に更新してサインインすれば、個人のアカウントではそのまま使えます。設定で無効にしていなければ、追加のインストールは要りません。

必要なもの

  • Docker Desktop 4.74以降(2026年10月時点の最新は4.96.3)
  • Dockerアカウント(無料のPersonalで可)とDocker Desktopへのサインイン
  • 会社のDocker Businessの組織に入っている場合は、Docker Supportと管理者による有効化

方法1: Docker Desktopから使う

  1. Docker Desktopを4.74以降に更新してサインインする
  2. サイドバーの「Gordon」を開く。4.90.0以降は右側のドロワーでも開ける
  3. 質問や頼みたいことを入力する(例:「このコンテナがすぐ止まる原因を調べて」)
  4. コマンド実行やファイル変更が必要なときは承認カードが出るので、内容を読んで許可か拒否を選ぶ

コンテナ・イメージ・ボリューム・ビルドの各画面からGordonを開くと、その対象の情報を持った状態で会話が始まります。

方法2: CLI(docker ai)から使う

# 対話画面(TUI)を開く
docker ai

# 1回だけ質問する
docker ai "このディレクトリのアプリ用にDockerfileを書いて"

# 作業ディレクトリを指定して始める
docker ai -C ./my-app

# バージョンの確認/フィードバック送信
docker ai version
docker ai feedback

対話画面は /exit か Ctrl+C で終わります。ベータ期の解説で見かける docker ai chat というコマンドは、2026年10月時点の公式ドキュメントにはありません。詳しくは公式ドキュメントのCLIの使い方を確認してください。

承認の仕組み

Gordonの操作は、承認が要るものと要らないものに分かれています。

承認の要否

操作

既定で承認が必要

シェルでのコマンド実行、ファイルの作成・変更、インターネットからの取得

承認なしで動く

ファイルの読み取り・一覧、Dockerドキュメントの検索、コードの分析やエラーの説明

承認カードで「Approve for this session」(CLIでは「A」)を選ぶと、その会話の中では同じツールを聞かずに使います。Gordonの画面を閉じる、docker ai を終える、新しい会話を始める、のいずれかで元に戻ります。

ファイルの読み取りは承認なしで動く点に注意してください。作業ディレクトリの外にあるファイルも読めるため、機密ファイルのある場所で使うときは、管理者による制限を組み合わせるのが安全です。

安全モード・Custom rules・YOLO mode

4.86.0から、ツール確認の画面で安全モードを3段階から選べます。

モード

考え方(Docker Agentの資料による説明)

Strict

すべての操作で確認する

Balanced

安全な操作は通し、破壊的な操作や判断がつかない操作だけ確認する

Autonomous

すべての操作を確認なしで通す

各モードの説明はGordonの基盤であるDocker Agentの資料によるもので、Gordonの公式ドキュメントには細かい動きがまだ書かれていません。Gordonの画面での挙動が同じかは、使う前に手元で確かめてください。

4.83.0からは権限画面の「Custom rules」タブで、許可・拒否のルールを足せます。また、権限の確認を丸ごと飛ばす YOLO mode(自動承認) もあり、こちらは切り替えた時点ですべてのセッションに反映されます。業務の環境ではYOLO modeとAutonomousは使わず、使うなら捨ててもよい検証用の環境に限るのが無難です。

無効にする方法

Docker Desktopの Settings → AI で「Enable Gordon」のチェックを外し、Apply を押します。組織で一括して止めたいときは、管理者がSettings Managementで無効にします。

Docker Gordonの承認制によるセキュリティ管理のイメージ

セキュリティ・注意点

Gordonは承認制とデータを学習に使わない方針をとっていますが、「承認制だから安全」とは言い切れません。業務で使うなら、①無料と有料でデータの保存が違う、②作業ディレクトリの外も読める、③自動承認は全セッションに反映される、④メタデータ経由のプロンプトインジェクションが実際に起きた、の4点を押さえておく必要があります。

データの扱い(無料と有料で違う)

公式ドキュメントのデータの扱いのページでは、プランによって保存の仕方が分かれています。

項目

無料(Base)

有料(Docker Pro/Team/Business、Gordon Plus/Max/Ultra)

会話の保存

匿名化した会話を5日間保存(品質の維持と不正利用対策のため)

Dockerも外部のAI提供元も、入力と出力を保存しない

AIモデルの学習への利用

しない

しない

第三者への共有

しない

しない

外部のAI提供元

データを保持しない契約

データを保持しない契約

通信

暗号化

暗号化

docker ai を使うとき、Gordonはシステム上のファイルとディレクトリ、ローカルのイメージすべて、Dockerデーモンの状態にアクセスできます。基盤はSOC 2 Type 2とISO 27001の認証を受けたDockerのインフラで動いている、とGAブログは説明しています。利用条件はDocker Gordon Supplemental Termsにあります。

会社のコードを扱うなら、会話が5日間残る無料のBaseではなく、Dockerの有料プランかGordonの有料プランを前提にするのが筋です。社内規程でAIへの入力を記録に残せない場合は、この違いを情報システム部門と確認してから使い始めてください。

過去の脆弱性(どちらも4.50.0で修正済み)

ベータ期間中に、Gordonを外から操るプロンプトインジェクションが2件報告され、どちらもDocker Desktop 4.50.0(2025年11月6日)で修正されています。

1. DockerDash(Noma Labsが報告)

イメージのLABELに命令を隠しておくと、Gordonがそれを読み、MCP Gateway経由でMCPツールに実行させてしまう手口です。CLIやクラウドの環境ではリモートでのコード実行に、Docker Desktop(読み取り権限)ではデータの持ち出しや環境の偵察につながるおそれがありました。2025年9月に報告され、2026年2月に公開されています(The Hacker Newsの報道)。

2. Pillar Securityが報告したプロンプトインジェクション

Docker Hubリポジトリの説明文(メタデータ)を書き換えてGordonを操り、チャット履歴などを外部へ送らせるおそれがありました。

Dockerは4.50.0で、すべてのMCPツールの実行前に確認を求めるようにし、ユーザーが指定したURLの画像を表示しないようにしました。仕組みが変わっても、信頼できないイメージやリポジトリの情報をAIに読ませれば同じ種類の攻撃は起こりえます。AIエージェントが外部の文章に操られる問題は、Claude Code Auto Modeと間接プロンプトインジェクションでも詳しく扱っています。

業務で使うときのおすすめ設定

対策

内容

最新版を使う

Docker Desktopを常に更新する。最低でも4.74以降、できれば最新の4.96系

安全モードはStrictかBalanced

YOLO modeとAutonomousは業務の端末で使わない

信頼できないイメージを読ませない

出どころの分からないイメージのLABELやHubの説明文をGordonに調べさせない

機密ファイルの近くで使わない

作業ディレクトリは範囲の制限にならない。.env や鍵ファイルを置く場所に注意する

承認カードを読む

「Approve for this session」は便利だが、削除や外部への送信を伴う操作では毎回確かめる

組織は管理者が範囲を決める

Settings Managementで、Gordonの有効・無効、使える道具、作業ディレクトリの境界を決める

有料プランを前提にする

会社のコードを扱うなら、会話を保存しない有料プランで使う

隔離した環境でAIエージェントを動かす考え方はGitHub Copilotのローカルサンドボックス、AIツール全般のリスクと対策はAIコーディングのセキュリティリスクと対策とAIエージェントのセキュリティガイドにまとめています。

会社で導入するときの手順

Docker Businessの組織では、Gordonは最初から使える状態にはなっていません。

  1. Docker SupportにGordonの有効化を依頼する
  2. 管理者がSettings Managementで「Enable Gordon」を Enabled か Always enabled にする
  3. 使える道具と作業ディレクトリの境界を決める
  4. 有料のGordonプランを使う場合は、各自が個人のDockerアカウントで契約する(組織アカウントには付かない)

Gordonは社員の手元の開発作業を助けるツールで、自社の業務システムにAIを組み込むものではありません。新しいAIモデルや機能を自社の業務システムに組み込みたい場合は、改修・PoC・本開発のどれで進めるかで費用が大きく変わるため、AI開発の費用相場で方法ごとの価格と見積の内訳を確かめておくと判断しやすくなります。

こんな人におすすめ / おすすめしない人

Gordonが役に立つのは、Dockerを日常的に使い、エラー調査やDockerfileの手直しに時間を取られている人です。Dockerをあまり使わない人や、アプリのコードを書く支援が目的の人には向きません。

Gordonがおすすめの人

人物像

理由

日常的にDockerを使う開発者・DevOps担当者

ログや環境を自分で読んで原因を探すので、エラー調査の手間が減る

コンテナを学び始めたエンジニア

手元の環境を例に、エラーの意味と直し方を説明してくれる

ビルドや起動の失敗を毎回検索して直している人

失敗時にターミナルへヒントが出て、そのまま質問できる

composeファイルを手で書いている人

データベースなどを含む構成をまとめて書いてもらえる

まず無料でAIを試したい人

Dockerアカウントがあれば、Baseを無料で使える(月約180問)

会社の端末で使い方を管理したい管理者

組織単位で有効・無効、道具、作業ディレクトリの境界を決められる

Gordonをおすすめしない人

人物像

理由

Dockerをほとんど使わない人

出番が少ない。汎用のAIコーディングツールで足りる

アプリのロジック実装を手伝ってほしい人

公式もコーディングアシスタントの役割としている。CursorやClaude Codeを選ぶ

会社のコードを無料のBaseで扱おうとしている人

無料は匿名化した会話を5日間保存する。業務なら有料プランが前提

Docker Desktopを入れられない環境の人

Docker Engineだけのサーバーでの利用は公式に案内されていない

毎日大量に質問したいが費用はかけたくない人

Baseは月180問まで。1日数十問ずつ聞くと、月の上限に数日で届く

よくある質問(FAQ)

Q. Docker Gordonは本当に無料で使えますか?

A. 使えます。どのDockerアカウントにも無料のBaseが付いており、目安は4時間あたり約40問、1日約100問、1か月約180問です。月の上限を使い切ると、翌月1日(日本時間の9時)まで待つか、有料プランに切り替えることになります。

Q. 無料のBaseと有料プランで、機能に違いはありますか?

A. 公式の比較で違いとして示されているのは、使える量(2倍〜10倍)と、Ultraの優先アクセスです。もう一つ大きいのがデータの扱いで、無料は匿名化した会話を5日間保存し、有料は保存しません。

Q. Gordon Plusを会社の組織アカウントで買えますか?

A. 公式ドキュメントでは、Gordonプランは個人のDockerアカウント専用です。組織のアカウントでサインインして購入しても、個人のアカウントに付きます。チームで使う場合も、各自が契約する形になります。

Q. 日本語で質問できますか?

A. 日本語で質問しても答えは返ってきます。ただし、Dockerのエラー文やコマンドは英語なので、エラー文はそのまま貼り付け、質問の部分だけ日本語にすると話が通じやすくなります。

Q. ChatGPTやClaudeにエラーを貼るのと何が違いますか?

A. 汎用のAIチャットは、貼り付けたエラー文から推測して答えます。Gordonは実際のコンテナのメモリ上限、ログ、プロセス、composeファイルを自分で確かめ、許可を得れば修正のコマンドまで実行します。貼り付けた情報が足りずに推測が外れる、ということが起きにくいのが違いです。

Q. Plan modeは何に使いますか?

A. いきなり実行させず、まず手順を立てさせたいときに使います。複数のコンテナにまたがる変更や、消してよいか迷う整理作業の前に計画を見てから進めると、思わぬ削除を防げます。

Q. 使い終わったら止めておくことはできますか?

A. Docker Desktopの Settings → AI で「Enable Gordon」を外して Apply を押せば止まります。会社でまとめて止めたいときは、管理者がSettings Managementで無効にします。

まとめ

Docker Gordonは、Docker環境を自分で読んで不具合の原因を探し、許可を得てから直すDocker専用のAIエージェントです。2026年5月にGAとなり、10月時点ではPlan mode、モデル選択、安全モード3段階、右側のドロワー表示まで加わっています。

ポイント

内容

開発元

Docker, Inc.

正式リリース

2026年5月19日(Docker Desktop 4.74.0)

最新版(2026年10月25日時点)

Docker Desktop 4.96.3

使える場所

Docker Desktop / CLI(docker ai)/ Docker Hub / docs.docker.com

無料で使える範囲

Base: 4時間約40問・1日約100問・1か月約180問

有料プラン

Gordon Plus $20・Max $50(公式製品ページには$150の表示もあり)・Ultra $100(いずれも月額・個人アカウント専用)

データの扱い

無料は匿名化した会話を5日間保存。有料は保存なし。どちらも学習には使わない

業務で使うときの注意

作業ディレクトリは範囲の制限にならない。YOLO modeとAutonomousは使わない。信頼できないイメージを読ませない

使い分け

Docker・コンテナはGordon、アプリのコードはCursor・Claude Codeなど

Dockerのエラー調査やDockerfileの手直しに時間を取られているなら、まず無料のBaseで普段のエラーを1つ聞いてみるのが手軽です。月180問では足りないと感じたらPlusを検討し、会社のコードを扱うなら有料プランと安全モードの設定を決めてから広げてください。

最新の仕様はGordonの公式ドキュメントと製品ページ、更新内容はDocker Desktopのリリースノートで確認できます。

依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

この記事の著者

AI革命

AI革命

編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

AI・システム開発は、開始価格を公開しています

既存システムの改修 100万円〜・PoC 300万円〜(税別)。相談内容を送っていただくと、2営業日以内に担当者からご返信します