AIツール2026年10月更新

Microsoft Build 2026とは?自社AIモデル7本・Agent Framework・Copilot Agent Mode・Foundry+Claude発表まとめとその後

公開日: 2026/05/31
更新日: 2026/10/19
Microsoft Build 2026とは?自社AIモデル7本・Agent Framework・Copilot Agent Mode・Foundry+Claude発表まとめとその後

この記事のポイント

Microsoft Build 2026(2026年6月2〜3日)の主な発表を、MAI自社モデル7本・Microsoft Agent Framework・Windowsのエージェント実行基盤・Microsoft Foundry上のClaudeに分けて整理。Build時点の提供状況と、10月時点でGAになったもの・改称されたものを一覧で示します。

Microsoft Build 2026は、2026年6月2〜3日に米サンフランシスコで開かれたMicrosoftの年次開発者カンファレンスです。中心になった発表は、自社AIモデル「MAI」7本、組織の文脈をエージェントに渡す「Microsoft IQ」、Windows上でエージェントを隔離して動かす「Microsoft Execution Containers(MXC)」、そしてMicrosoft Foundry(旧Azure AI Foundry)でのClaude提供の拡大でした。

開催から4か月がたち、Build時点で「プレビュー」「予定」だったものの多くは状況が変わっています。Azure上で動くClaudeは6月末に、Foundryで動かすHosted Agentsは7月9日にGAとなり、MAI-Thinking-1は8月に公開プレビューへ進みました。Microsoft Scoutは9月25日に「Autopilot」へ名前が変わっています。この記事では、Buildで発表された内容と、2026年10月時点の提供状況を分けて整理します。

なお、開催前に出回った予想記事には「Windows Agent Framework v1.0」「Agent Store(収益シェア85%)」「Project Polaris」といった名前が出てきますが、Microsoftの公式発表ではこれらの製品・計画は確認できません。実際に発表されたのは、開発用SDKの「Microsoft Agent Framework」と、Windows側の実行基盤「MXC」です。

この記事でわかること

  • Microsoft Build 2026の日程・会場・発表の全体像
  • MAIモデル7本の中身と、10月時点の提供状況
  • Microsoft Agent FrameworkとWindowsのエージェント実行基盤(MXC)の違い
  • Microsoft FoundryでClaudeを使う条件と、使えるモデル(Build時点と現在)
  • Copilot Agent Mode・Microsoft Scout(現Autopilot)の位置づけ
  • 日本企業がいま試せるもの、待つべきもの

こんな方に向けた記事です: Microsoft 365やAzureを使う企業のIT担当者、クラウドエンジニア、.NET/Pythonの開発者、AIエージェントの社内導入を検討している情報システム部門の方

Microsoft Build 2026の公式キービジュアル

出典: Microsoft Build 2026 公式サイト

Microsoft Build 2026 基本情報:日程・会場・テーマ

Build 2026は、2026年6月2日(火)〜3日(水)の2日間、例年のシアトルではなくサンフランシスコで開かれました。会場の人数を絞り、オンライン配信を主にした形です。

項目

内容

開催日

2026年6月2日(火)〜3日(水)(米国時間)

会場

米サンフランシスコ Fort Mason Center(Cloud Watch報道)

参加規模

会場約2,500人、オンライン15万人超(Cloud Watch報道)

公式基調ブログの3テーマ

自分のものになる知能(intelligence that's truly yours)/自由に組めるフルスタック(the full stack built your way)/次に来るもの(what comes next)

発表の数

公式の発表一覧ページに約80件

公式URL

news.microsoft.com/build-2026

GitHubのCOOで開発者向けCMOのKyle Daigle氏による公式基調ブログは、「開発者に必要なのは、エージェントやアプリを作って動かす別の方法ではない。信頼だ」と書いています。今回の発表には、エージェントにIDを持たせる、OSのレベルで隔離する、人の承認を挟む、といった統制の仕組みが目立ちました。

Cloud Watchの整理では、発表は次の4つの層に分かれます。

層

主な発表

インフラ

Maia 200(推論アクセラレータ)、Azure Cobalt 200 VM、Fairwaterデータセンター、Azure HorizonDB

モデル・文脈・ツール

MAIモデル7本、Microsoft IQ(Work IQ/Fabric IQ/Foundry IQ/Web IQ)、Foundry上のClaude

エージェント実行

Microsoft Agent Framework、Hosted Agents、MXC、Windows 365 for Agents、Microsoft Scout

開発者ツール

GitHub Copilot app、Foundry Toolkit for VS Code、Windows開発者ツール群

AIエージェントという言葉自体の意味は、AIエージェントとは?仕組み・種類・活用例で解説しています。

【ステータス一覧】Build時点と2026年10月時点の提供状況

いま何が使えるかを決めるのは、Buildでの扱いではなく、その後のGA(一般提供)の有無です。主な発表を、Build時点と10月時点に分けて並べました。

発表

Build時点(6月2日)

2026年10月時点

日本から使えるか

Microsoft IQ

GA(GitHub Copilot/Foundry/Copilot Studio)

GA

使える

Work IQ API

6月16日GA予定

GA(6月16日)

使える(Microsoft 365の契約が前提)

MAI-Code-1-Flash

GitHub Copilot・VS Codeに統合

提供中(後継のMAI-Code-1.1-Flashがプレビュー)

使える

MAI-Thinking-1

Foundryで限定プレビュー

公開プレビュー(8月12日〜)。GAは未発表

申請すれば試せる

Foundry上のClaude(Azureで動く版)

Agent FrameworkのClaude Agent SDK統合が安定版に

GA(6月末)。Opus 5.5など最新モデルまで拡大

使える(データゾーン指定は米国のみ)

Microsoft Agent Framework 1.0

Build前の4月2日にGA。Buildで機能追加

GA

使える(OSS)

Hosted Agents(Foundry Agent Service)

プレビュー(7月初旬GA予定)

GA(7月9日)

使える

Foundryエージェントの Microsoft 365 Copilot/Teams公開

予定

GA(6月10日)

使える

MXC(Windowsのエージェント隔離)

Windows Insiderで早期プレビュー

早期プレビュー。micro-VMの隔離はロードマップ段階

試験利用のみ

Windows 365 for Agents

Agent 365内でGA

GA

使える

Microsoft Scout

Frontierプログラム向けの実験提供

9月25日に「Autopilot」へ改称し新Copilotアプリに統合

提供条件つき

GitHub Copilot app

テクニカルプレビュー

プレビュー

Copilotの有料プランで試せる

Microsoft Discovery

AzureでGA

GA

使える

Surface RTX Spark Dev Box

年内発売予定(米国のMicrosoft.com限定)

発売の確認は取れていない

米国限定

Project Solara

コンセプト発表。数か月内に非公開パイロット予定

一般販売日の発表なし

未定

Copilot Agent Mode(Word/Excel/PowerPointのエージェントモード)は、Buildの発表ではありません。Build前の2026年4月下旬にGAとなった機能です。

【最大の新発表】MAIモデルファミリー:Microsoft自社開発AIモデル7本

MAIモデル7本が発表されたMicrosoft Build 2026のキービジュアル

出典: Microsoft Official Blog

Buildでいちばん大きく扱われたのは、Microsoft AI(MAI)が開発した自社モデル7本の公開です。推論・コーディング・画像・音声認識・音声合成までをそろえ、OpenAIのモデルに頼らずに自社製品を動かせる体制を示しました。背景にあるOpenAIとの契約見直しは、OpenAIとMicrosoftの提携変更にまとめています。

MAIファミリー7本の概要

モデル

中身(公式の説明)

提供状況

MAI-Thinking-1

Microsoft初の推論モデル。有効パラメータ約35B(総パラメータ約1Tのスパース MoE)、256Kトークンのコンテキスト

Build時は限定プレビュー → 2026年8月12日に公開プレビュー

MAI-Code-1-Flash

有効パラメータ5Bの軽量なコーディング用モデル。Claude Haiku並みの性能を、より安く出すとしている

GitHub Copilot・VS Codeに統合

MAI-Image-2.5

画像の生成と編集

PowerPointで利用可能。OneDriveは順次、Foundryにも提供

MAI-Image-2.5-Flash

画像モデルの軽量版

詳細は未公表

MAI-Transcribe-1.5

43言語の文字起こし。専門用語に対応

提供中(ストリーミングは近日対応)

MAI-Voice-2

音声合成。短いサンプル音声から声を合わせられる。15言語

提供中

MAI-Voice-2-Flash

音声合成の低コスト版

近日提供

Fireworks AI・Baseten・OpenRouterといった外部の推論サービスにも配信される予定です。モデル名はBuild時点のものです。その後、microsoft.aiのサイトには後継版(MAI-Code-1.1-Flash、MAI-Transcribe-2、MAI-Image-2.6など)の名前が出ており、FoundryではMAI-Code-1.1-FlashとMAI-Image-2.6がプレビューで提供されています。

端末の中で動くAionモデル(Aion 1.0 Instruct/Plan)は、MAIの7本には含まれません。WindowsのオンデバイスAIとして別に発表されたモデルです。

MAI-Thinking-1:8月に公開プレビューへ

MAI-Thinking-1について、Microsoftは「SWE-Bench ProでClaude Opus 4.6並み」「ブラインド評価でClaude Sonnet 4.6より好まれた」と説明しています。一方で、独立した評価ではDeepSeek V3.2程度とみる見方もあり(the-decoder)、Microsoftの主張どおりかは評価が分かれます。

8月12日の公開プレビュー以降、Microsoft FoundryのGlobal Standard(従量課金)で使えます。料金はMicrosoft Tech Communityの投稿で「入力100万トークンあたり2ドル、出力8ドルから」とされていますが、プレビュー価格のため変わる可能性があります。予約容量(PTU)は使えず、新しいリソースはクォータ0からの申請です。詳しくはMAI-Thinking-1とはをご覧ください。

MAI-Code-1-Flash:GitHub Copilotに統合

MAI-Code-1-FlashはGitHub CopilotとVS Codeに組み込まれました。公式の説明は「有効パラメータ5B、Haiku並みで、より安い」までです。他社モデルとの差を示す細かなベンチマークの数値は、公式では確認できません。

GitHub CopilotやExcelでMAIモデルに切り替える動きは、GitHub Copilot・ExcelのMAIモデル切り替えで追っています。

Frontier Tuning:自社の業務に合わせてモデルを調整する

Frontier Tuningは、顧客のコンプライアンス境界の中で強化学習を行い、自社の業務に合わせてモデルを調整する仕組みです。Build時点では限定プレビューでした。Microsoftは、Excel向けにチューニングしたMAIがGPT-5.4並みの性能を最大10倍の効率で出したと説明しています。

Microsoft Agent FrameworkとWindowsのエージェント実行基盤(MXC)

検索では「Windows Agent Framework」という名前が使われることがありますが、Microsoftの公式発表にこの名前の製品はありません。中身は2つに分かれます。エージェントを作るためのSDK「Microsoft Agent Framework」と、Windows上でエージェントを隔離して動かす「Microsoft Execution Containers(MXC)」です。

比較項目

Microsoft Agent Framework

Microsoft Execution Containers(MXC)

役割

エージェントを作るSDK

Windows/WSL上でエージェントを隔離して動かす基盤

対象

.NET/Pythonの開発者

Windowsアプリ開発者、IT管理者

提供状況

1.0は2026年4月2日にGA(Build前)

Build直後から早期プレビュー(Windows Insider、SDKはGitHub)

Buildでの主な追加

Agent Harness、Hosted Agents、CodeAct(alpha)、GitHub Copilot SDK統合

プロセス分離・セッション分離、Agent 365との統合(7月にプレビュー予定と発表)

Microsoft Agent Framework:Buildで何が増えたか

Microsoft Agent FrameworkのGitHubリポジトリ

出典: Microsoft Agent Framework(GitHub)

Microsoft Agent Frameworkは、AutoGenとSemantic Kernelを1つにまとめたオープンソースのSDKです。.NETとPythonに対応し、1.0は2026年4月2日にGAとなりました。Buildで発表された主な追加は次のとおりです。

  • Agent Harness: シェル実行やファイル操作、承認フロー、長いセッションでの自動的なコンテキスト圧縮、サブエージェントなど、エージェントを動かすための周辺機能をまとめたもの
  • Hosted Agents(Foundry Agent Service): セッションごとにVMで分離したサンドボックスで動かし、使わないときはゼロまで縮退する。Build時点はプレビューで、予定どおり2026年7月9日にGAとなった
  • CodeAct(alpha): モデルが書いたPythonコードをHyperlightのmicro-VMで実行する方式。公式のベンチマークでは所要時間が52.4%、トークン量が63.9%減った
  • Claude Agent SDK/GitHub Copilot SDKとの統合: 安定版になった

ライセンスの種類は、Buildの公式ブログには書かれていません。導入前にGitHubリポジトリで確認してください。ほかのフレームワークとの比べ方はAIエージェントフレームワーク比較で整理しています。

MXC:Windows上でエージェントを閉じ込める

MXCは、エージェントがアクセスできる範囲をOS側のポリシーで制限するサンドボックスです。いま使えるのはプロセス分離とセッション分離で、micro-VMやLinuxコンテナによる強い分離はロードマップの段階です。Windowsの公式ブログは、LLMがサンドボックスから抜け出す力を持ち始めているという研究に触れ、micro-VMの境界が必要な理由を説明しています。逆にいえば、現在のプレビュー版の保護は限られているということです。

MXCの上では、OpenClawのnodeやgatewayを動かす「OpenClaw on Windows」と、NVIDIAの「OpenShell for Windows」(提供日は未定)も紹介されました。OpenClaw自体のリスクはOpenClawの危険性で確認できます。

Windows 365 for Agents と開発者向けツール

Windows 365 for AgentsはAgent 365の中でGAとなり、クラウドPC上でエージェントにアプリ操作をさせられます(MXCとの統合はこれから)。Windows開発者向けには次のものが出ました。

  • Coreutils for Windows(GA)
  • Windows Development Skills と winapp CLI(GA)
  • Windows Developer Configurations(GA)
  • Windows 365 Developer configuration(公開プレビュー)
  • Intelligent Terminal(実験版。エージェントとのやり取りにACPを使う)
  • WSL containers(公開プレビュー予定)

Copilot Agent Mode:Build前の4月下旬にGA済み

Word・Excel・PowerPointのAgent Modeは、Buildの前、2026年4月下旬にGAとなった機能です。GA日は報道によって4月22日と4月24日に分かれています。Buildで新しく発表されたものではありません。

Agent Modeは、ユーザーの指示を受けたエージェントが文書の編集や表の作成を何段階にも分けて進める機能です。Agent Mode単体の料金について、公式で確認できる具体的な金額は見当たりません。

その後、2026年9月25日には新しいCopilotアプリ(Home/Code/Autopilot)が発表されました。課金は、ユーザーごとの定額ライセンスに、Cowork・Code・Autopilot・フロンティアモデルの使用量課金を組み合わせる形です。具体的な金額は公式では確認できていません。新しいCopilotの全体像はMicrosoft Copilotの刷新(Home・Code・Autopilot)、Agent Modeを含むエージェント機能はMicrosoft 365 Copilotのエージェント機能をご覧ください。

Azure AI Foundry(現Microsoft Foundry)+ Claude:Build時点と現在の対応状況

Microsoft Foundryは、Azure AI Foundryの現在の名前です。Build当日に、Claudeの新しいモデルが発表されたわけではありません。Buildで決まったのは、Microsoft Agent FrameworkとClaude Agent SDKの統合が安定版になったことです。大きな変化はBuildの後の6月末で、Azure上で動くClaudeがFoundryでGAとなりました。

Microsoft FoundryでClaudeモデルを管理する画面

出典: Microsoft Learn - Claude models in Microsoft Foundry

2つの提供形態:Azureで動く版とAnthropicで動く版

2026年9月21日に更新されたMicrosoft Learnによると、FoundryのClaudeは2種類あります。

比較項目

Azure上で動く版(Version 2)

Anthropic基盤で動く版(Version 1)

処理する場所

Azureのインフラ

Azureの外(Anthropicのインフラ)

提供状況

すべてGA

GAとプレビューが混在

データゾーン

Global Standard と Data Zone Standard(米国のみ)

Global Standard

主なモデル

Opus 5.5/Opus 5.5 Fast(Azureのみ)/Opus 5/Opus 4.8/Sonnet 5.5/Sonnet 5/Haiku 5.5/Haiku 4.5

Opus 4.7/4.6/4.5、Sonnet 4.6/4.5、Fable 5.1/5(プレビュー)、Mythos系(審査つきの研究プレビュー)

使えるAPI

Messages API、トークン数の計測

加えてFiles API、Web fetch

データ処理者・SLA

Microsoft

Anthropic

Build時点と現在のモデルの違い

時点

使えたClaudeモデル(主なもの)

Build前後(2026年6月)

Anthropic基盤のSonnet 4.5/Haiku 4.5/Opus 4.1など。Opus 4.8は登場直後

6月末(Azure版GA)

初期モデルはOpus 4.8とHaiku 4.5(報道ベース)

2026年10月時点

Opus 5.5、Sonnet 5.5、Haiku 5.5まで拡大(Learn 9月21日更新)

コンテキスト長は、多くのモデルで100万トークン、最大出力128Kトークンです(Opus 4.5・Sonnet 4.5・Haiku 4.5は200K/64K)。各モデルの特徴はClaude Opus 5.5とは、Claude Opus 5とは、Claude Opus 4.8とはで解説しています。

利用条件と制約(日本企業向けの確認事項)

確認項目

内容

契約

Azure Marketplaceのサブスクリプションが必要

課金

Claude Consumption Units(CCU)で課金され、Azureの請求に1行でまとまる。MACC(Azure消費コミット)に充当できる

データの所在

指定できるデータゾーンは米国のみ。日本・アジアのデータゾーンは記載なし

認証

Microsoft Entra ID、Azure RBAC(Mythos系はEntra ID認証のみ)

データ保持

Azure版はゼロデータ保持のオプションあり

コンテンツフィルタ

Foundryはデプロイ時にClaude向けの組み込みフィルタを提供しない。公式はAzure AI Content Safetyを自分で設定するよう勧めている

利用規約

AnthropicのAcceptable Use Policyに従う必要がある

Azure版のGA前の情報をもとにした記事では「Enterprise/MCA-E契約のみ」「East US2とSweden Centralのみ」と書かれていることがあります。現在の契約条件・リージョンは、導入前にMicrosoft Learnで確かめてください。

開発者向けには、Claude CodeをFoundry経由で使う公式手順(Claude Code on Microsoft Foundry)もあります。Microsoft 365 Copilotの中でClaudeが使われる流れはMicrosoft 365 CopilotでClaudeが既定モデルにで解説しています。

Microsoft IQ:エージェントに「組織の文脈」を渡す仕組み

Microsoft IQは、エージェントが社内の情報と外部のWeb情報をふまえて動けるようにする層です。BuildでGitHub Copilot、Microsoft Foundry、Copilot StudioでのGAが発表されました。

構成要素

中身

提供状況

Work IQ

メール・会議・チャットなど職場の文脈

Work IQ APIは2026年6月16日にGA

Fabric IQ

業務データに共通の意味づけをする層

9月25日時点でChat/CoworkでGA

Foundry IQ

社内のナレッジと最新のWebをまたいで検索を組み立てる

ナレッジベースはGA、ほかは公開プレビュー

Web IQ

AI向けのWeb検索基盤。モデルを問わずMCPに対応。次点の約2.5倍速いと説明

Foundryでは限定アクセス

Work IQ APIがGAになったことで、メールや予定の文脈を使うエージェントを自社で作りやすくなりました。一方で、扱うのは社員のメールや会議の情報です。アクセス権限の設計と監査ログの確認は欠かせません。

Project Solara:アプリではなくエージェントを動かすデバイス

Project Solaraで示されたエージェント向けデバイスのコンセプト群

出典: Microsoft Command Line - Project Solara

Project Solaraは、エージェントを中心に動く業務用デバイスのための、チップからクラウドまでの基盤です。AOSPベースのMDEP、Agent Shell、Intune/Entraによる管理で構成されます。

コンセプト機として、首から下げる携帯型の「Badge」(Qualcomm)と、据え置き型の「Desk」(MediaTek)が示されました。パイロット候補はAccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi's、Targetです。

Microsoftは設計を提供し、製造は各メーカーが担います。Build時点で一般販売日は示されず、「数か月以内に非公開のパイロットを始める」とされました。10月時点でも日本での提供予定は確認できていません。

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Microsoft Scout(現Autopilot):常時稼働の個人用エージェント

Microsoft Scoutは、OpenClawとWork IQを基盤にした常時稼働の個人用エージェントとして、Buildで発表されました。2026年9月25日に「Autopilot」へ名前を変え、新しいCopilotアプリの1つのタブに入っています。

Build時点の設計は、権限を細かく絞る作りでした。

  • エージェントごとに独自のEntra IDを持つ
  • 資格情報はタスク単位で範囲を絞り、ログから取り除く
  • 承認された接続先以外には到達できない
  • 機密性の高い操作の前には人の承認を求める
  • 送信前にPurviewの秘密度ラベルとDLPを適用する

Build時点の利用には、Frontierプログラムへの参加とGitHub Copilotのライセンスが必要でした。9月25日以降、Autopilotは使用量課金の側に入っています。詳しくはMicrosoft Scoutとはをご覧ください。基盤のOpenClawについてはOpenClawとはが参考になります。

Microsoft Agent 365:ローカルのエージェントまで統制を広げる

Microsoft Agent 365の公式プロモーション画像

出典: Microsoft Agent 365 公式サイト

Microsoft Agent 365は、社内のAIエージェントをまとめて把握・統制・保護するための管理基盤です。Buildでは、Entra・Defender・Purviewによる統制を、PC上で動くローカルのエージェントにも広げる方針が示されました。MXCと組み合わせれば、Intune・Entraから制約を配り、エージェントの操作をエージェント固有のIDに結びつけられます(統合は7月にプレビュー予定と発表)。

機能と料金の詳細はMicrosoft Agent 365とはにまとめています。

GitHub Copilot app:エージェントを並べて動かすデスクトップアプリ

GitHub Copilot appのデスクトップ画面

出典: GitHub Blog

GitHub Copilot appは、Buildでテクニカルプレビューとして公開されたデスクトップアプリです。複数のエージェントを並列で動かし、git worktreeでセッションごとに作業場所を分けます。主な機能は次のとおりです。

  • 自分の担当作業をまとめて見る「My Work」ビュー
  • 作業内容を共有する「Canvases」
  • ローカル/クラウドのサンドボックス実行
  • CIを監視して自動でマージする「Agent Merge」

既存のCopilot Pro/Pro+/Business/Enterpriseで使え、アプリ単体の料金はありません。使用量の多い人向けの「Copilot Max」も案内されていますが、価格は書かれていません。

アプリの詳細はGitHub Copilot appとは、料金はGitHub Copilotの料金、ほかのツールとの比較はClaude CodeとGitHub Copilotの比較で解説しています。

その他の主要発表まとめ

Foundryの新機能

  • Foundry Toolkit for VS Code(GA)
  • Toolboxes:ツール・スキル・MCPを1つのエンドポイントにまとめる(Build時点は公開プレビュー、7〜8月にGA)
  • Routines:定期実行(公開プレビュー)
  • Memory(公開プレビュー)
  • Voice Live(GA)
  • Fireworks AI on Foundry(GA)
  • 評価・統制まわりのOSS:ASSERT(仕様から評価テストを作る)、Agent Control Specification(エージェントの処理の中に置く制御点の標準化)

オンデバイスAI(Windows)

  • Aion 1.0 Instruct:Edge Insiderでプレビュー。7月にHugging Faceで重みを公開予定と発表(実施は未確認)
  • Aion 1.0 Plan:対応端末に今後数か月で標準搭載予定
  • Speech Recognition API:英語のみプレビュー
  • Windows AI APIsのCPU/GPU対応の拡張(公開プレビュー)

Surface RTX Spark Dev Box

最大1 PFLOPSの演算性能と128GBの統合メモリを持ち、最大120Bパラメータのモデルを100万トークンのコンテキストでローカル実行できる開発者向けPCです。Build時点では「年内、米国のMicrosoft.com限定」とされ、10月時点で発売の確認は取れていません。価格も発表されていません。

Majorana 2(量子コンピュータ)

量子ビットの平均寿命は20秒(最大1分)で、前の世代より1,000倍信頼性が高いと発表されました。Microsoftは2029年までにスケーラブルな量子コンピュータを実現するとしています。

データ基盤・研究

  • Azure HorizonDB:フルマネージドのPostgreSQL。自前で組んだ構成の3倍超のスループットとしている(公開プレビュー)
  • Rayfin:Fabric向けのBaaS(プレビュー)
  • Azure Cobalt 200 VM:Cobalt 100より50%性能が高い(プレビュー)
  • Microsoft Discovery:科学研究向けのエージェント基盤。AzureでGA(BHP、Syensqo、GSKが事例)。ローカルアプリは無料のプレビュー
  • Mayo Clinicとの医療向けフロンティアモデルの共同開発

Build 2026のその後:2026年10月までの時系列

Buildの後、6月から9月にかけて、プレビューだったものが次々にGAとなりました。名前の変わった製品もあります。

日付

出来事

2026年4月2日

Microsoft Agent Framework 1.0がGA(Build前)

2026年4月下旬

Word/Excel/PowerPointのAgent ModeがGA(Build前)

2026年6月2〜3日

Microsoft Build 2026 開催

2026年6月10日

FoundryのエージェントをMicrosoft 365 Copilot/Teamsに公開する機能がGA

2026年6月16日

Work IQ APIがGA

2026年6月末

Azure上で動くClaudeがFoundryでGA(報道では6月29日)

2026年7月9日

Hosted Agents(Foundry Agent Service)がGA

2026年7月

Agent 365とMXCの統合プレビュー、Aion 1.0 Instructの重み公開が予定されていた(実施は未確認)

2026年8月12日

MAI-Thinking-1が公開プレビュー

2026年9月21日

Microsoft LearnのClaudeモデル一覧が更新(Opus 5.5/Sonnet 5.5/Haiku 5.5など)

2026年9月25日

新しいCopilotアプリ(Home/Code/Autopilot)を発表。ScoutはAutopilotに改称

2026年11月17〜20日

次の大型イベントMicrosoft Ignite 2026(サンフランシスコ Moscone Center、各種イベント情報による)

Build後に出たMAI関連の新しいモデル・チップは、MAI-Cyber-1-Flashとは、MAI Realtimeとは、Maia 300とはで取り上げています。

日本企業向けの注意点と制約

Buildの発表の多くはプレビューかロードマップの段階で、日本企業がそのまま本番に入れられるものは限られます。導入を考えるときは、次の点を先に確かめてください。

Microsoft FoundryのClaude利用で確かめること

確かめること

理由

どちらの提供形態を使うか

Anthropic基盤の版はAzureの外で処理され、データ処理者とSLAの提供者がAnthropicになる

データの所在の要件

指定できるデータゾーンは米国のみ。国内保管が必須の業務には合わない

コンテンツフィルタ

Foundryは自動では設定しない。Azure AI Content Safetyを自分で入れる

契約・課金

Azure Marketplaceのサブスクリプションと、CCUでの課金・MACC充当を確認する

エージェントを社内に入れる前に決めること

  1. エージェントの権限: Work IQやAutopilotはメール・予定・文書に触れます。Entra IDでエージェント専用のIDを分け、アクセスできる範囲を絞ってください
  2. 人の承認を挟む操作: 送信・削除・支払いなど、元に戻せない操作は承認を必須にしてください
  3. 隔離の強さ: MXCの強い分離(micro-VM)はまだロードマップの段階です。いまのプレビュー版だけを頼りにしないでください
  4. 使用量課金の上限: 新しいCopilotのAutopilotやフロンティアモデルは使用量課金です。管理者側で予算の上限を決めておいてください

Copilot Coworkでは、ファイルが外に持ち出される脆弱性も報告されました(Copilot Coworkのファイル流出問題)。権限設計は導入前に詰めておくのが安全です。

Microsoft Agent FrameworkやFoundryで作った試作のエージェントを、社内の実データや既存の業務システムにつないで本番で使うには、認証・権限・監視・保守の担当を決め直す必要があります。進め方はAIで作ったアプリを開発会社へ引き継ぐにはにまとめています。

いま試せるもの・待つもの

区分

対象

いま試せる

Microsoft Agent Framework 1.0、Hosted Agents(Foundry Agent Service)、FoundryのClaude(Azure版)、Work IQ API、Foundry Toolkit for VS Code、GitHub Copilot app(プレビュー)、MAI-Code-1-Flash(GitHub Copilot経由)、Windows開発者ツール群

申請・条件つきで試せる

MAI-Thinking-1(公開プレビュー)、Autopilot(旧Scout)、MXC(Windows Insider)

待つ

Project Solara、Surface RTX Spark Dev Box(米国限定)、MXCのmicro-VM分離、MAI-Thinking-1のGA

日本市場向けの価格や提供時期をまとめた公式発表は、10月時点では見当たりません。

こんな方に注目してほしい / あまり関係ない方

特に注目してほしい方

職種・状況

理由

AzureやMicrosoft 365を使う企業のIT担当者

Agent 365とMXCによるエージェント統制、Autopilotの使用量課金が直接かかわる

.NET/Pythonで開発しているエンジニア

Microsoft Agent Framework 1.0がGA済みで、Claude Agent SDKとも安定して統合された

GitHub Copilotを業務で使っているエンジニア

Copilot appとMAI-Code-1-Flashで、日々の開発のしかたが変わる

Claudeを業務で使う企業

Azureの請求にまとめ、MACCに充当できる。Entra IDで権限管理もできる

AIエージェントの社内導入を検討中の情報システム部門

権限・隔離・承認の仕組みが、導入時の判断材料になる

あまり関係ない方

状況

理由

Azureを使っておらず、AWSやGoogle Cloudが中心の企業

発表の多くはAzure・Microsoft 365・GitHubを前提にしている

データを国内に置くことが必須の業務

FoundryのClaudeで指定できるデータゾーンは米国のみ

Solaraの端末やSurface RTX Spark Dev Boxをすぐ導入したい企業

一般販売日が未定、または米国限定

MAI-Thinking-1を本番で使いたい開発者

10月時点で公開プレビューのまま。GAは未発表

よくある質問(FAQ)

Q. 「Windows Agent Framework」はどこで入手できますか?

A. Microsoftの公式発表に「Windows Agent Framework」という製品はありません。エージェントを作るSDKを探しているならGitHubの「Microsoft Agent Framework」、Windows上でエージェントを隔離して動かしたいならWindows Insiderで早期プレビュー中の「MXC」が該当します。

Q. MAI-Thinking-1は今すぐ使えますか?

A. 2026年8月12日から、Microsoft Foundryで公開プレビューとして使えます。従量課金のみで予約容量(PTU)は使えず、新しいリソースはクォータの申請から始まります。10月時点でGAは発表されていません。

Q. Azure AI FoundryとMicrosoft Foundryは違うものですか?

A. 同じサービスです。Azure AI Foundryが改称され、現在はMicrosoft Foundryという名前になっています。

Q. FoundryのClaudeで、データを日本国内に置けますか?

A. 2026年9月21日更新のMicrosoft Learnでは、データゾーンを指定できるのは米国のみで、日本やアジアの記載はありません。国内保管が条件の業務では、ほかの手段も含めて検討してください。

Q. Build 2026でClaudeの新モデルは発表されましたか?

A. Build当日にClaudeの新モデルは発表されていません。Buildでの関連発表は、Microsoft Agent FrameworkとClaude Agent SDKの統合が安定版になったことです。Azure上で動くClaudeのGAは、その後の6月末でした。

Q. Microsoft ScoutとAutopilotの関係は?

A. 同じものです。Buildで発表されたMicrosoft Scoutが、2026年9月25日に「Autopilot」へ改称され、新しいCopilotアプリの1つのタブになりました。

Q. Project Polarisは何ですか?

A. Buildの公式発表に「Project Polaris」は出てきません。公式に発表されたのは、MAI-Code-1-FlashのGitHub Copilot・VS Codeへの統合です。

まとめ:Build 2026の要点と「今すぐやること」

Microsoft Build 2026(2026年6月2〜3日)の要点は次の4つです。

  • MAIモデル7本: 推論・コード・画像・音声をそろえた自社モデル。MAI-Code-1-FlashはGitHub Copilotに統合され、MAI-Thinking-1は8月に公開プレビューへ
  • エージェントの実行と統制: Microsoft Agent Frameworkの機能追加、WindowsのMXC、Agent 365のローカル対応。エージェントにIDを持たせ、隔離し、人が承認する設計。Hosted Agentsは7月にGA
  • Microsoft IQ: Work IQ APIが6月16日にGAとなり、組織の文脈を使うエージェントを作りやすくなった
  • FoundryのClaude: Build後の6月末にAzure版がGAとなり、10月時点ではOpus 5.5まで使える

「Windows Agent Framework」「Agent Store」「Project Polaris」は公式で確認できない名前なので、社内で情報を共有するときは正しい製品名に置き換えてください。

今すぐやることは3つです。

  1. Microsoft Agent FrameworkかFoundryのClaudeで、小さな業務を1つ試作する
  2. エージェント用のID・権限・承認の流れを、Entra IDとAgent 365で先に決める
  3. データの所在(米国のデータゾーンで足りるか)と、使用量課金の上限を確認する

次の大きな発表の場は、11月のMicrosoft Ignite 2026になる見込みです。

参考公式情報

このツールを自社のシステムや業務にどう組み込むか、ご提案します

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