AIツール2026年6月更新

Microsoft Build 2026とは?自社AIモデル7本・Windows Agent Framework・Copilot Agent Mode・Azure AI Foundry+Claude発表まとめ速報【2026年6月】

公開日: 2026/05/31
更新日: 2026/06/03
Microsoft Build 2026とは?自社AIモデル7本・Windows Agent Framework・Copilot Agent Mode・Azure AI Foundry+Claude発表まとめ速報【2026年6月】

この記事のポイント

2026年6月2〜3日開催のMicrosoft Build 2026の全発表を速報まとめ。MAI-Thinking-1など自社AIモデル7本・Project Solara・Scout・Copilot Agent Mode GA・Azure AI Foundry+Claude統合を「今すぐ使える/プレビュー中/今後予定」の3段階で整理。日本企業向け注意点も解説。

Microsoft Build 2026(2026年6月2〜3日、サンフランシスコ)は、テーマ「Agents are the new apps」のもと、OpenAI依存を解消する自社AIモデル「MAIファミリー」7本の公開・Windows Agent Framework v1.0のMITオープンソース化・Copilot Agent ModeのGA・Azure AI FoundryへのClaude統合拡張・エージェントファーストデバイス「Project Solara」など、AIエージェントの本番運用に向けた全スタックの整備を宣言したカンファレンスだった。

多くのメディアがBuild 2026開幕前に記事を公開しているため、MAI自社モデルやProject Solara・Microsoft Scoutなど実際の発表内容が未掲載のまま流通している。この記事では、Build 2026で確認された発表内容を「今すぐ使える(GA済み)」「プレビュー中(申請・待機が必要)」「今後の予定(日程あり)」の3段階に分けて整理する。

この記事でわかること:

  • Build 2026の実際の発表内容(6月2〜3日確認済み)
  • MAIモデルファミリー7本の性能・用途・現在の入手可能性
  • Windows Agent Framework v1.0・Copilot Agent Mode GAの実態
  • Azure AI FoundryでClaudeを使う条件・制約(Build 2026時点最新版)
  • Project Solara・Microsoft Scout・Microsoft IQとは何か
  • 日本企業が今すぐ使えるものとそうでないものの整理

こんな方に向けた記事です: Microsoft製品を使う企業のIT担当者・クラウドエンジニア・開発者・AIエージェント導入を検討している情シス担当

Microsoft Build 2026 公式キービジュアル

出典: Microsoft Build 2026 公式サイト

Microsoft Build 2026 基本情報:日程・会場・テーマ

Microsoft Build 2026は、2016年以来10年ぶりにサンフランシスコ(Moscone Center)で開催された開発者向けカンファレンスだ。例年と比べ対面規模を縮小し、実践ラボ重視の形式に切り替えている。

項目

内容

開催日時

2026年6月2日(火)〜3日(水)

会場

Moscone Center, San Francisco(10年ぶりのSF開催)

キーノート開始

6月2日 8:00 AM PT(日本時間: 6月3日 0:00)

総合テーマ

"Agents are the new apps"

公式URL

https://news.microsoft.com/build-2026/

基調講演にはSatya Nadella CEOが登壇し、「Windowsは人間ユーザーのためだけのプラットフォームではなくなった。エージェントも一級市民として扱われる」と宣言した。

テーマの意味するところは単純で、「AI実験フェーズ(2023〜2025年)は終わった。エージェントを企業の本番業務に組み込む段階に入る」という宣言だ。Windows・Azure・GitHub・Microsoft 365の全スタックをエージェント基盤として再構築する方針が示された。

【速報ステータス一覧】今すぐ使えるか3段階で整理

Build 2026の発表群を理解するうえで最重要なのは「今何が使えるのか」の判断だ。以下で3段階に整理する。

ステータス

内容

いつ使える?

GA済み(今すぐ使える)

Copilot Agent Mode(Word/Excel/PowerPoint)

M365サブスクライバーへ6月末ロールアウト中

GA済み

Windows Agent Framework v1.0(MIT OSS)

GitHub上で今すぐ取得可能

GA済み

Microsoft Agent Framework 1.0

今すぐ(Python/.NET)

GA済み

Microsoft Agent 365

Enterprise契約があれば今すぐ

GA済み

Azure AI FoundryでのClaude統合(Sonnet 4.5/Haiku 4.5/Opus 4.1)

Enterprise/MCA-E契約限定

GA済み

MAI-Code-1-Flash(GitHub Copilot内蔵)

全GitHub Copilotプランでロールアウト中

GA済み

Coreutils for Windows v2026.5.29

WinGetでインストール可

🔶 プレビュー中

MAI-Thinking-1

プライベートプレビュー(申請要)

🔶 プレビュー中

Claude Opus 4.8(in Foundry)

早期プレビュー

🔶 プレビュー中

Microsoft Scout

Frontierプログラム経由

🔶 プレビュー中

Azure HorizonDB

パブリックプレビュー

📅 今後の予定

Work IQ API GA

2026年6月16日

📅 今後の予定

Hosted Agents GA

2026年6月末

📅 今後の予定

Project Polaris → GitHub Copilotデフォルト移行

2026年8月

📅 今後の予定

Surface RTX Spark Dev Box

2026年秋

📅 今後の予定

Project Solara(ハードウェア)

パートナー経由・時期未定

【最大の新発表】MAIモデルファミリー:Microsoft自社開発AIモデル7本

Microsoft Build 2026 公式キービジュアル(MAIファミリー発表)

出典: Microsoft Official Blog - Build 2026

Build 2026で最も注目を集めた発表の一つが、「Microsoft AI Superintelligence Team」名義で開発した7つの自社AIモデル群(MAIファミリー)だ。OpenAIへの依存を解消する戦略的な布石であり、Microsoftが自社モデルで主要製品を動かす段階に入ったことを意味する。

MAIファミリー7本の概要

モデル名

パラメータ数

用途

現在の状態

MAI-Thinking-1

35B active / 約1T total (MoE)

推論・数学・コード生成

プライベートプレビュー

MAI-Code-1-Flash

5B

コーディング・GitHub Copilot内蔵

全プランでロールアウト中

MAI-Image-2.5

未公開

画像生成・編集

利用可能

MAI-Transcribe-1.5

未公開

音声認識・文字起こし(43言語)

利用可能

MAI-Voice-2

未公開

多言語音声生成(15言語以上・感情制御)

利用可能

Aion 1.0 Instruct

約14B

オンデバイス推論(Windows内蔵SLM)

Windows搭載済み

Aion 1.0 Plan

約14B

オンデバイス計画・ツール呼び出し(32Kコンテキスト)

Windows搭載済み

MAI-Thinking-1の性能

MAI-Thinking-1はMoE(Mixture-of-Experts)アーキテクチャを採用した推論特化モデルで、以下の性能が公式・サードパーティで確認されている。

  • AIME 2025: 97.0%(数学推論の難関テスト)
  • AIME 2026: 94.5%
  • SWE-Bench Pro: Claude Opus 4.6と同等(ソフトウェアエンジニアリング)
  • Surge社ブラインド評価: Claude Sonnet 4.6より人間評価者に好まれる結果
  • コンテキスト長: 256,000トークン
  • 学習データ: OpenAIからの蒸留なし、クリーンデータでゼロから学習

現時点ではプライベートプレビュー中のため、一般利用はできない。Microsoft Foundryでの正式GA日程は未発表。

MAI-Code-1-Flashの性能と特徴

MAI-Code-1-Flashは5Bパラメータのコーディング特化軽量モデルで、すでに全GitHub Copilotプランに展開されている。

  • SWE-Bench Pro: Claude Haiku 4.5を16ポイント上回る
  • 複雑タスクのトークン使用量: Claude Haiku 4.5比60%削減
  • Rust・Haskell等の低リソース言語でも優れた性能

Project Polaris:GitHub Copilotのデフォルト移行

MAI-Code-1-Flashと関連する内製推論モデル「Project Polaris(コード名)」は、2026年8月にGitHub CopilotのデフォルトモデルとしてGPT-4 Turboと入れ替え予定。Mixture-of-Experts構造で、プログラミング言語別の専門モジュールを搭載している。

⚠️ Project PolarisとMAI-Thinking-1の関係は情報源により異なる表現がある。「Polaris = MAI-Thinking-1」と断定することは現時点では避けるべきで、別個のモデルとして扱うのが安全。

Windows Agent Framework(WAF)v1.0:ついにMIT OSSで正式公開

Build 2026でMicrosoftは、Windows Agent Framework v1.0をMITライセンスでオープンソース化した。v1.0は2026年4月2日にリリース済みで、Build 2026での発表はその公式アナウンスの位置づけだ。

Windows Agent Framework(WAF)のアーキテクチャ

出典: Microsoft Build 2026 公式サイト

WAFの主要スペック

項目

内容

ライセンス

MIT License(オープンソース)

バージョン

v1.0(2026年4月2日リリース)

対応OS

Windows 11 (22H2以降)、Windows 365 Cloud PC、Azure Arc

SDK

Python・.NET

エージェント定義

YAMLマニフェスト → ローカル〜クラウドまで同一設定で展開

モデル対応

モデル非依存(OpenAI・Anthropic・Hugging Face等を利用可能)

WAFの核心は「エージェントをアプリプロセスではなくOSの一級市民として扱う」設計にある。開発者のラップトップからWindows 365 GPUノード、さらにAzureへの段階的スケールが、同一のYAMLマニフェストで実現できる。

Windows Agent Runtime の主要機能

Microsoft Execution Containers(MXC)は、エージェントのアクセス範囲をポリシー駆動で制御するOS標準の実行レイヤー。プロセス分離からマイクロVM分離まで8段階の分離レベルを提供し、Intune統合で企業管理ポリシーの適用が可能だ。

Windows 365 for AgentsはすでにGA(一般提供済み)。Cloud PC上でAIエージェントがアプリ操作・UIナビゲーション・データ入力等のマルチステップワークフローを実行できる。

Agent Control Specification(ACS)はランタイムガバナンスのオープン標準で、8つのチェックポイントを定義。Foundry・MAF・LangChain全体で一貫したポリシー適用を実現する。

Agent Store:開発者収益シェア85%

WAFには、開発者がエージェントを販売できるAgent Storeが付随する。収益シェアは開発者が85%(既存アプリストアより高い分配率)とされている。ただし正式な条件ページの確認は現時点で未完了のため、最終条件は公式ドキュメントで確認が必要。

Copilot Agent Mode:すでにGAしていた(2026年4月22日)

Copilot Agent Modeは、Build 2026で「発表」されたわけではなく、2026年4月22日に既にGA(一般提供)を達成していた機能だ。Build 2026での発表は「M365 Copilotサブスクライバーへの6月末ロールアウト開始」の告知になる。

同期型アシスタントから「長時間タスクを実行する非同期コワーカー」への転換が、Copilot Agent Modeの本質だ。ユーザーが指示を出したあと、エージェントが自律的にタスクを実行し、完了後に報告する形に変わる。

対応アプリと実績

アプリ

機能

実績

Word

複数ファイル編集提案・長文書の深編集

Excel

複雑な財務スプレッドシート・法的文書の処理(変更前プレビュー機能あり)

Excel engagement +67%

PowerPoint

非同期コンテンツ生成・資料作成

今後(2026年内)

Outlook・Teams・OneNote

拡大予定

料金体系(消費ベース課金)

Copilot Agent Modeは消費ベース課金で、コスト管理の把握が必要だ。

  • ベースプラン: M365 Copilot Enterprise Tier($39/ユーザー/月)に上乗せ
  • Autonomous Agent Mode: 従量課金($0.01/クレジット、または事前購入パック)
  • 平均消費量: 機能リクエスト1件あたり50〜75 Copilot Compute Units(CCU)
  • 無料枠: 月2,000 CCU/チーム
  • 管理者設定: 予算上限ポリシーの事前設定が必須(消費課金のため)

⚠️ IT担当者への注意点: Autonomous Agent Modeを有効化する前に、必ず予算上限ポリシーを設定すること。CCU単価・消費量は今後変更の可能性があり、6月末ロールアウト時に正式価格が確定する見込み。

Windows 11との連携(25H2)

Windows 11 2026 Update(25H2)では、システムレベルサービス「Orchestrator」がローカル・クラウドエージェントを管理する仕組みが導入される。自然言語でテキストフィールドやタスクバー・Copilotキーからエージェントを呼び出し、Orchestratorがタスクを分割して複数エージェントに振り分けることが可能になる。

Azure AI Foundry + Claude:Build 2026での最新対応状況

Build 2026では、AnthropicとMicrosoftがAzure AI FoundryでのClaude統合を「ファーストパーティ扱い」で正式化した。Azureは現在、Claude(Anthropic)とGPT(OpenAI)の両方をワンプラットフォームで提供する世界唯一のクラウドとなっている。

Azure AI FoundryでのClaudeモデル管理画面

出典: Microsoft Docs - Foundry Models Claude

Build 2026時点で利用可能なClaudeモデル

モデル名

ステータス

用途

Claude Sonnet 4.5

パブリックプレビュー

高性能コーディング・複雑なエージェント構築

Claude Haiku 4.5

パブリックプレビュー

高速処理・Sonnetの約1/3のコスト

Claude Opus 4.1

パブリックプレビュー

複雑な多段階推論タスク

Claude Opus 4.8

早期プレビュー(2026年5月28日リリース)

最上位性能

⚠️ 「Claude Sonnet 4.6」の単独Foundry提供は現時点で未確認。公式Anthropicページでは上記4モデルが明示されている。モデルリストは今後変動する可能性がある。

利用条件と制約(日本企業向け重要事項)

条件

詳細

必須サブスクリプション

Enterprise または MCA-E のみ(無料・トライアル・一般従量課金は不可)

対応リージョン

East US2 / Sweden Central のみ(日本リージョン非対応)

インフラ

Anthropicマネージドインフラ上で稼働(OpenAIモデルのAzureネイティブとは異なる)

課金

Anthropic標準API価格を適用。MACC(Azure消費コミットメント)の充当対象

認証

Microsoft Entra ID(推奨)またはAPIキー

コンテンツフィルター

Foundryは自動フィルタリングを提供しない。利用者側でAcceptable Use Policy準拠が必要

Cloud Solution Provider

非対応(CSP経由でAzureを調達している企業は利用不可)

EU地域

対応タイムラインは未確認(2026年6月時点)

日本リージョン非対応の影響: Claude in Foundryを利用する場合、データはEast US2かSweden Centralで処理される。機密情報や個人情報を扱う場合は、社内のデータガバナンスポリシーとの整合性を事前に確認すること。

利用可能な機能(開発者向け)

コード実行・ウェブ検索・ビジョン(画像入力)・プロンプトキャッシング・ツール使用のほか、Claude Code on Microsoft Foundryにも対応している(公式ドキュメント: https://code.claude.com/docs/en/microsoft-foundry)。

ClaudeとChatGPTの違いについて詳しく知りたい方は、別記事の比較解説も参考にしてほしい。

Microsoft IQ:エージェントが「組織の文脈」を理解するための4層フレームワーク

Build 2026で発表されたMicrosoft IQは、エージェントが組織の文脈を正確に理解するための4層のインテリジェンスフレームワークだ。単純なRAG(検索拡張生成)を超えた、組織知識へのシームレスなアクセスを実現する。

レイヤー名

内容

GA状況

Work IQ

Microsoft 365データ(メール・カレンダー・ドキュメント等)へのAPIアクセス

2026年6月16日 GA予定

Foundry IQ

エンタープライズ知識ベースによるエージェントのグラウンディング

利用可能

Fabric IQ Ontology

ビジネスセマンティクス(組織のデータ意味体系)

利用可能

Web IQ

リアルタイムウェブ検索API(従来比2.5倍高速化)

Build 2026で発表

Work IQ(6月16日GA予定)が開放されると、メールのコンテキストを踏まえた上でドキュメント生成・カレンダー調整・タスク管理を自律実行するエージェントを構築できるようになる。現在のCopilot Studioエージェントの多くは組織データへのアクセスが限定的だったが、Work IQ APIによりその制約が大幅に緩和される。

Project Solara:アプリではなくエージェントを動かすデバイスプラットフォーム

Project Solaraは、Microsoftが発表したエージェントファーストの新デバイスプラットフォームだ。「チップからクラウドまで」をカバーし、従来のアプリを動かすPCではなく、エージェントを動かすための専用デバイス生態系を設計する。

2種類のリファレンスデザイン

デスクタイプ(据置型): デスク作業向けのエージェント駆動型コンピューター

バッジタイプ(ウェアラブル): 従業員IDカード型の携帯デバイス。Qualcommウェアラブルシリコンを搭載し、タッチスクリーン・指紋センサー・遠距離指向マイク・カメラ・WiFi/Bluetooth/5G/衛星通信を内蔵。ボタン1押しでエージェント起動、1タップで会議録音・書き起こしが可能。カメラでホワイトボードを撮影するとエージェントが内容を解析して提案を返す。

JIT UI(ジャストインタイムUI): エージェントがデバイス間で動的にUIを構成する仕組みで、固定のアプリ画面を持たずに状況に応じたインターフェースを生成する。

パイロット企業と展開方針

パイロット採用企業: AccuWeather・Best Buy・CVS Health・Levi's・Target

Microsoftはデバイスを直接販売しない。ハードウェアメーカーや業界パートナーが各業界・企業・シナリオ向けにリファレンスデザインをベースに実装する設計だ。一般消費者が「Project Solara製品」を直接購入できる時期は未定。

Microsoft Scout:個人向け常時稼働型自律エージェント

Microsoft Scoutは、個人向けの常時稼働型自律エージェントだ。Build 2026で実験的プレビューとして公開された。

  • 対応OS: Windows 11以降・macOS 12以降
  • 認証: 独自のEntra IDベース
  • 文脈学習: Work IQで組織文脈を取得し、個人の業務スタイルに最適化
  • 現状: Frontierプログラム経由での実験的プレビュー(一般公開未定)

Microsoft Scoutの位置づけは、Copilot(アシスタント)やCopilot Workspace(開発者向け自律タスク)とは異なり、「職場全体を横断して個人の業務を継続的に支援する常駐エージェント」だ。個人のカレンダー・メール・ドキュメントの文脈を踏まえて、先回りして提案・実行する。

Microsoft Agent Framework 1.0とMicrosoft Agent 365:既存GA確認

これらはBuild 2026前にすでにGAしており、今すぐ使える状態にある。

Microsoft Agent Framework 1.0 GitHubリポジトリ

出典: Microsoft Agent Framework GitHub

Microsoft Agent Framework 1.0(2026年4月3日 GA)は、Semantic KernelとAutoGenを統合したOSSのAIエージェント開発フレームワークで、Python・.NETに対応する。Azure OpenAI / OpenAI / Anthropic Claude / Amazon Bedrock / Google Geminiなど複数モデルへの対応、マルチエージェントオーケストレーション(5パターン)、A2A+MCP通信プロトコル対応が主な特徴。

詳細な機能・選び方については、GitHub CopilotとClaude Codeを比較した開発ツール選定記事も参考になる。

Microsoft Agent 365(2026年5月1日 GA)は、企業内の全AIエージェントを一元管理・監視・ガバナンスするエンタープライズプラットフォームだ。Observe(可視化)・Govern(統制)・Secure(セキュリティ)の3機能を提供し、AWS Bedrock・Google Cloud上のエージェントのInventory管理(パブリックプレビュー)にも対応。料金はユーザーあたり$15/月(または Microsoft 365 E7ライセンスに含む)。

機能の詳細はMicrosoft Agent 365の解説記事Microsoft 365 Copilotエージェントとの違いで解説している。

GitHub Copilot App・Copilot Workspace:新機能発表

GitHub Copilot App デスクトップネイティブインターフェース(Build 2026技術プレビュー)

出典: Microsoft Build 2026 公式サイト

GitHub Copilot App(デスクトップネイティブ)は、Build 2026で技術プレビューとして公開された「エージェント駆動型開発コックピット」。並行セッション・自動マージ・クロスデバイスハンドオフを搭載し、OpenAI・Anthropic・Googleモデルを単一GitHub Copilotサブスクリプションで利用できる点が特徴だ。

Copilot Workspaceはベータ版からGA(一般提供)へ移行した。Issueや複数ファイル編集の提案・テスト実行・結果解釈を反復実行でき、保守タスクの無人実行に対応する。

GitHub Copilotの基本機能・料金使用量ベース課金の詳細も合わせて確認してほしい。

その他の主要発表まとめ

Majorana 2(量子コンピュータ)

Build 2026で発表されたMajorana 2は、前世代比1,000倍以上の信頼性を持つ量子プロセッサ。量子ビットのコヒーレンス時間がミリ秒から平均20秒に改善し、スケーラブルな量子コンピュータの実現タイムラインが2029年に短縮された。商用利用はまだ先だが、エンタープライズ暗号・創薬シミュレーションへの応用が期待される段階に入った。

Surface RTX Spark Dev Box(2026年秋登場予定)

NVIDIA RTX Spark SoC搭載の開発者向けAIミニPC。20 CPUコア・最大128GBユニファイドメモリを搭載し、120Bパラメータモデルのローカル実行(最大1 petaflop AI計算)に対応する予定。2026年秋登場予定で、AIエージェント開発の本番環境をローカルで完結させたい開発者向けのポジショニング。

Frontier Tuning

組織データ内での強化学習でAIが「組織の仕事の進め方」を学習する機能。コンプライアンス境界内にデータを保持しながらモデルに組織知識を吸収させることが可能で、パイロット顧客でタスク完了率が13%→87%に改善した事例が報告されている。

Azure HorizonDB

PostgreSQL互換のフルマネージドクラウドDBのパブリックプレビューが開始した。エージェントワークロード向けに最適化されており、3倍高速なトランザクション処理を実現するとされている。

Microsoft Discovery(GA)

Azureベースの科学研究向けエンタープライズエージェントAIプラットフォームが一般提供を開始した。Mayo Clinicとの医療AI向け協業モデル開発も予定されている。

Windows開発者体験の刷新

  • Coreutils for Windows v2026.5.29 GA: GNU ユーティリティのRust実装(WinGetでインストール可能)
  • WSL containers: WindowsネイティブLinuxコンテナ
  • Windows Developer Configurations GA: Homebrew/zsh対応
  • Intelligent Terminal: Agent Client Protocol対応のエージェント統合型ターミナル(実験的フォーク)

Microsoftエージェント戦略の全体マップ:5つの柱

Build 2026の発表群は、Microsoftのエージェント戦略を構成する5つの柱として体系的に把握できる。

MicrosoftエージェントBuild 2026全体戦略マップ

名称

役割

対象

AIモデル

MAIファミリー(7本)

OpenAI依存を解消する自社AI基盤

全製品・全レイヤー

OS基盤

Windows Agent Framework v1.0

エージェントが動くOS基盤(MIT OSS)

Windows開発者

開発フレームワーク

Microsoft Agent Framework 1.0

エージェントを実際に作るOSSフレームワーク

バックエンド開発者

エンタープライズ統制

Microsoft Agent 365

社内全エージェントを管理・ガバナンス

IT管理者・CISO

ユーザー体験

Copilot Agent Mode

エンドユーザーが業務ワークフローをCopilotで自律実行

ビジネスユーザー

各レイヤーは以下のように積み重なって機能する。

[エンドユーザー層]
  Copilot Agent Mode(ユーザーがワークフローを指示)
          ↓
[アプリ/オーケストレーション層]
  Microsoft Agent Framework 1.0(エージェント実装)
          ↓
[インフラ/OS層]
  Windows Agent Framework v1.0(エージェントが動くOS基盤)
          ↓
[クラウド/AI基盤]
  Azure AI Foundry(モデルカタログ12,000+・評価・モニタリング)
  + MAIファミリー(自社モデル)+ Claude(Anthropic提供)
          ↓
[統制・セキュリティ層]
  Microsoft Agent 365(全社エージェントのObserve/Govern/Secure)

これにProject Solaraがデバイスレイヤーとして加わり、Microsoft Scoutが個人向けインターフェース、Microsoft IQが組織知識レイヤーを担う完全なエコシステムが整備されつつある。

この全体像を踏まえると、Build 2026は「AIエージェントを企業の日常業務に本番運用する」ための技術スタック全体を一気に整備するカンファレンスだったと理解できる。OpenAIとMicrosoftのパートナーシップ変更という背景も、MAI自社モデルの公開と合わせて見ると、Microsoftの戦略シフトがより鮮明になる。

日本企業向けの注意点と制約

Build 2026の発表を日本のビジネスシーンで活用する際に確認すべき制約点をまとめる。

Azure AI FoundryのClaude利用制約

制約事項

内容

サブスクリプション

Enterprise / MCA-E のみ(一般従量課金・無料トライアルは不可)

対応リージョン

East US2 / Sweden Central のみ(日本リージョン非対応

データ主権

日本リージョン外での処理となる(機密データの取扱い要確認)

コンテンツフィルター

Foundryは自動フィルタリング未提供。利用者側でAUP準拠が必要

Cloud Solution Provider

非対応(CSP経由のAzure調達企業は利用不可)

インフラ

Anthropicマネージドインフラ(OpenAIモデルとはSLA・運用プロファイルが異なる)

Copilot Agent Mode導入前に確認すること

  1. 予算上限ポリシーの設定: 消費課金のため、管理者が事前に予算上限を設定しないと想定外の課金が発生しうる
  2. ベースプランの確認: M365 Copilot Enterprise Tier($39/ユーザー/月)の契約が前提
  3. 承認済みエージェントの管理: 未認可エージェントを検出・ブロックするためIntune統合(6月からパブリックプレビュー)の活用を検討すること

MAI-Thinking-1利用の現実

現時点(2026年6月)ではプライベートプレビューのため、一般企業での利用は難しい。GA日程の公式発表を待つ必要がある。MAI-Code-1-Flashは全GitHub Copilotプランで展開中のため、こちらは今すぐ恩恵を受けられる。

Project Solaraは直接購入できない

MicrosoftはProject Solaraのデバイスを直接販売しない。パートナー企業が各業界向けに製品化する形になるため、日本市場への展開時期は現時点では不透明。

こんな方に注目してほしい / あまり関係ない方

特に注目してほしい方

職種・状況

注目すべき理由

AzureやM365を使う企業のIT担当者

Agent 365のガバナンス機能、Copilot Agent Modeの予算管理ポリシーが直接関係する

.NET / Pythonでバックエンド開発している開発者

Agent Framework 1.0が今すぐ使える。WAF v1.0(MIT OSS)も即時利用可能

GitHub Copilotを業務で使っているエンジニア

MAI-Code-1-Flashがすでにロールアウト中。Project Polaris(8月)への移行も把握が必要

Anthropic Claudeを業務利用している企業担当者

Azure AI Foundry経由でのClaude利用(MACC適用・統合請求)が今すぐ選択肢になる

エンタープライズAIエージェント導入を検討中の情シス

WAF・MAF・Agent 365・Copilot Agent Modeの組み合わせが自社にどう適用できるかを確認する価値がある

フィールドワーカー向けソリューションを開発するSIer

Project Solaraのバッジ型デバイスのリファレンスデザインがBtoB向けソリューション開発の参考になる

あまり関係ない方

状況

理由

個人開発者・スタートアップ(Azure Enterprise契約なし)

Claude in FoundryはEnterprise/MCA-E限定。WAF・MAF自体はOSSだが、フルスタックの恩恵は契約条件次第

AWSやGCPをメイン利用の企業

Agent 365のクロスクラウド機能はパブリックプレビュー段階で本番運用には早い

オンプレミス中心のITインフラ企業

WAF・Azure AI Foundryの恩恵を受けるにはクラウド移行が前提

MAI-Thinking-1に即アクセスしたい開発者

現時点はプライベートプレビューのみ。GA日程が出るまで待つ必要がある

Project Solaraデバイスを今すぐ導入したい企業

Microsoftは直接販売しない。パートナー経由での製品化待ち

よくある質問(FAQ)

Q. MAI-Thinking-1は今すぐ使えますか?
A. 現時点ではプライベートプレビューのみで、一般利用は不可。Microsoft Foundryでのアクセスは要申請となっており、GA日程は2026年6月時点では未発表。

Q. MAI-Code-1-FlashはGitHub Copilotで自動で使われるのですか?
A. はい。すでに全GitHub Copilotプランへのロールアウトが始まっており、ユーザー側の設定変更は不要。Project Polaris(2026年8月)移行後はデフォルトモデルが GPT-4 Turbo から置き換わる予定。

Q. Azure AI FoundryでClaudeを使うには何が必要ですか?
A. Enterprise または MCA-E サブスクリプションが必須。無料トライアルや一般的な従量課金プランでは利用できない。対応リージョンはEast US2とSweden Centralのみで、日本リージョンは現時点で非対応。

Q. Windows Agent Framework v1.0はどこで入手できますか?
A. MITライセンスでオープンソース化されており、GitHubから今すぐ取得可能。Python・.NET用のSDKが提供されており、YAMLマニフェストでエージェントを定義できる。

Q. Copilot Agent ModeはどのM365プランで使えますか?
A. ベースプランとしてM365 Copilot Enterprise Tier($39/ユーザー/月)が必要。Autonomous Agent Mode(自律実行)には追加の消費型課金(CCU)が発生する。M365サブスクライバーへのロールアウトは2026年6月末を目標としている。

Q. Project Solaraのバッジ型デバイスはいつ発売されますか?
A. Microsoftはデバイスを直接販売せず、パートナー企業によるリファレンスデザインをベースにした製品化を想定している。AccuWeatherやBest Buy等のパイロット採用企業が先行するが、一般展開時期は未定。

Q. Microsoft Agent FrameworkとWindows Agent Frameworkは別物ですか?
A. 別物。「Microsoft Agent Framework(MAF)1.0」はエージェントを開発・構築するためのOSSフレームワーク(バックエンド開発者向け)。「Windows Agent Framework(WAF)v1.0」はWindowsをAIエージェントのOS基盤として機能させるためのOS側インフラ(Windows開発者向け)。MAFで作ったエージェントをWAF上で動かすことができる。

Q. Microsoft IQのWork IQ APIはいつ使えるようになりますか?
A. 2026年6月16日にGA予定。M365データ(メール・カレンダー・ドキュメント等)へのAPIアクセスが開放されると、組織文脈を踏まえた高度なエージェントが構築できるようになる。

まとめ:Build 2026の要点と「今すぐやること」

Microsoft Build 2026(2026年6月2〜3日)の最重要発表を整理すると次のとおりだ。

Build 2026の最大のニュース:

  • MAIファミリー7本公開 → OpenAI依存解消の戦略的布石。MAI-Code-1-Flashは今すぐGitHub Copilotで利用中
  • Windows Agent Framework v1.0のMIT OSS化 → Windowsがエージェントのプラットフォームに本格移行
  • Copilot Agent Mode GA → Word/Excelが非同期の自律実行モードへ
  • Azure AI Foundry + Claude正式化 → GPT + ClaudeをAzure一本で利用可能に

今すぐ使えること(GA済み):

  • MAI-Code-1-Flash(全GitHub Copilotプランで自動ロールアウト中)
  • Windows Agent Framework v1.0(MITライセンス、GitHubで取得可)
  • Microsoft Agent Framework 1.0(Python/.NET、MIT OSS)
  • Microsoft Agent 365(Enterprise契約 $15/ユーザー/月)
  • Claude Sonnet 4.5 / Haiku 4.5 / Opus 4.1 in Foundry(Enterprise/MCA-E限定)
  • Copilot Agent Mode(M365サブスクライバーへ6月末ロールアウト中)

2026年夏以降に待つこと:

  • MAI-Thinking-1 GA(日程未発表)
  • Work IQ API GA(6月16日)
  • Hosted Agents GA(6月末)
  • Project Polaris → GitHub Copilotデフォルト移行(8月)
  • Surface RTX Spark Dev Box(秋)

Microsoftは、MAI自社AIモデルの投入・WAFによるOS基盤整備・Copilot Agent Modeの本番運用という3つの軸で「AIエージェントを企業のITインフラに組み込む」段階に移行した。Azure上でClaude(Anthropic)とGPT(OpenAI)の両方を使い分けられる環境が整ったことも、エンタープライズ向けには重要な選択肢の広がりを意味する。

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