地域支援体制加算を達成するための実践対策|在宅24回を確保する仕組みづくりとは【2026年改定対応】

この記事のポイント
2026年6月施行の「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に完全対応。在宅24回の要件・カウント方法・加算1〜5の点数を整理し、小規模薬局が毎年24回を再現するための仕組みづくりを解説します。
在宅24回とは、調剤報酬の加算を届け出るために必要な「単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理を年24回以上行う」実績要件のことです。2026年6月1日施行の改定で「地域支援体制加算」は地域支援・医薬品供給対応体制加算へ再編されましたが、在宅24回の考え方はほぼ引き継がれ、多くの薬局にとって最大のボトルネックであり続けています。
この記事でわかること:
- 2026年6月改定で加算の名称・点数・区分がどう変わったか
- 在宅24回が「どの区分で必須になるのか」と正確なカウント方法
- 常勤1名の小規模薬局が外来を止めずに24回を積み上げる仕組み
- 24回を一度きりでなく毎年再現するための運用・記録設計
想定読者は、調剤基本料1(あるいはそれ以外)を算定する中小・個人薬局の管理薬剤師・経営者で、「加算を取りたいが在宅の人手が足りない」「制度が変わって何が正しいのか分からない」という方です。制度は公式告示・通知の解釈が前提になるため、最終的な届出判断は必ず一次資料と地方厚生局の窓口で確認してください。
本記事は薬局(調剤)の加算を扱います。病院向けの「後発医薬品使用体制加算」とは別制度です。薬局全体のAI・DX活用の全体像は薬局のAI活用事例|調剤・在庫管理・接客への導入ガイド、医療機関側の動向は医療AIの活用事例|導入メリット・課題・おすすめツールも参考になります。

在宅24回は「加算2〜5」を届け出るための実績要件の1つ
在宅24回(実績要件⑥)は、加算の土台となる加算1では問われません。地域貢献の実績を評価する加算2〜5を届け出るときに、選択肢の1つ、あるいは必須項目として登場します。
- 調剤基本料1の薬局(加算2・3): 在宅24回は「選べる実績の1つ」。ただし上位の加算3(7つ以上必要)では実質的に外せない。
- 調剤基本料1以外の薬局(加算4・5): 加算4は「④かかりつけ薬剤師機能と⑥在宅を含む3つ以上」が要件で、在宅24回が必須項目になっています。
つまり「どの区分を狙うか」で在宅24回の重みは変わります。多くの薬局にとって在宅は積み上げに時間がかかるため、早い段階で仕組みを作っておくことが加算取得の分かれ目になります。
2026年6月改定で「地域支援体制加算」はどう変わったか
2026年6月1日施行の令和8年度調剤報酬改定で、従来の「地域支援体制加算」は「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へと名称・構造が刷新されました。あわせて「後発医薬品調剤体制加算」が統合・廃止され、医薬品の安定供給と地域医療への貢献(対人業務・在宅など)を一体で評価する体制に変わっています。
主な変更点は次のとおりです。
- 名称変更: 地域支援体制加算 → 地域支援・医薬品供給対応体制加算
- 後発医薬品調剤体制加算の統合廃止: 後発品の使用促進要件が本加算の土台(加算1)に組み込まれた
- 二層構造の明確化: 全区分共通の土台「加算1」の上に、実績に応じて加算2〜5を重ねる形へ
- 区分が2つ→5つに: 従来の加算1・2中心から、調剤基本料の区分と実績数に応じた5区分へ
- 実績項目名の更新: 「重複投薬・相互作用等防止加算」→「調剤時残薬調整加算及び薬学的有害事象等防止加算」、「かかりつけ薬剤師指導料」相当→「服薬管理指導料1のイ及び2のイ」などに整理
改定前の解説記事に残る「加算1=32点/加算2=40点」「10項目中3項目/8項目」といった数値は旧制度(令和6年度)のもので、現行では当てはまりません。届出を検討する際は、現行の点数・要件で判断してください。
加算1〜5の点数と算定要件(比較表)
現行の点数体系は、処方箋の受付1回ごとに調剤基本料へ加算する形です。区分ごとの点数と要件を整理します。
区分 | 対象薬局 | 点数 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
加算1(新設・土台) | 全薬局共通 | 27点 | 医薬品の安定供給体制+後発医薬品の数量シェア85%以上 |
加算2 | 調剤基本料1 | 59点 | 加算1+実績「④を含む3つ以上」 |
加算3 | 調剤基本料1 | 67点 | 加算1+実績「①〜⑨のうち7つ以上」 |
加算4 | 調剤基本料1以外 | 37点 | 加算1+実績「④・⑥を含む3つ以上」 |
加算5 | 調剤基本料1以外 | 59点 | 加算1+実績「①〜⑨のうち7つ以上」 |
ポイントは、加算1(27点)は後発品85%以上と安定供給体制さえ満たせば地域貢献の実績なしで届出できる一方、点数の高い加算2〜5に進むには在宅などの実績が必要になることです。加算1だけでは地域医療への貢献が評価されない設計になっています。
なお点数は改定直後で各解説サイト間に表記のゆれがあります。届出の可否や増収額を試算する際は、厚生労働省の告示・通知および調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)といった一次資料で最終確認してください。

在宅24回とは何か:実績要件①〜⑨での位置づけ
在宅24回は、加算2〜5の判定に使う実績要件①〜⑨のうちの⑥にあたります。実績は処方箋1万回あたりの年間回数で評価され、調剤基本料1と1以外で基準回数が異なります。
No | 実績項目 | 調剤基本料1 | 調剤基本料1以外 |
|---|---|---|---|
① | 夜間・休日等対応(時間外等・夜間休日等加算) | 40回以上 | 400回以上 |
② | 麻薬調剤 | 1回以上 | 10回以上 |
③ | 調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算 | 20回以上 | 40回以上 |
④ | 服薬管理指導料1のイ及び2のイ(かかりつけ相当) | 20回以上 | 40回以上 |
⑤ | 外来服薬支援料1 | 1回以上 | 12回以上 |
⑥ | 在宅薬剤管理(単一建物診療患者が1人)=在宅24回 | 24回以上 | 24回以上 |
⑦ | 服薬情報等提供料相当 | 30回以上 | 60回以上 |
⑧ | 小児特定加算 | 1回以上 | 1回以上 |
⑨ | 研修認定薬剤師の多職種連携会議出席 | 1回以上/年 | 5回以上/年 |
在宅24回は、他の実績と違い調剤基本料の区分にかかわらず「24回以上」で一律という特徴があります。夜間・休日対応(①)が調剤基本料1以外だと400回まで跳ね上がるのに対し、在宅は24回のまま。そのため、処方箋枚数の多い薬局ほど「①より⑥(在宅)のほうが現実的」という判断になりやすいのが実情です。加算4で在宅が必須項目に位置づけられているのも、この達成しやすさと地域医療上の重要性の両面が背景にあります。
在宅24回のカウント方法(ここを間違えると届出できない)
在宅24回は数え方を誤ると届出のやり直しにつながります。現行の考え方(令和6年度から継続)を正確に押さえておきましょう。
カウント対象になる算定(合算)
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 居宅療養管理指導費
- 介護予防居宅療養管理指導費
カウントの重要ルール
- 「単一建物診療患者が1人の場合」の算定に限る。同一建物に複数の対象患者がいるケースは在宅24回にはカウントされません。
- 情報通信機器(オンライン)による算定は除外。対面の訪問実績が必要です。
- 在宅協力薬局として連携した訪問実績は算入可。ただし同一グループ薬局への業務は除外されます。
- 患者1人あたり同一月の訪問上限を超えて行った訪問薬剤管理指導など「同等の業務」も回数に含められます。
- カウントは薬局あたり年間24回。処方箋の受付回数に比例せず、一律24回です。
とくに見落としやすいのが「単一建物1人」と「オンライン除外」です。施設向けにまとめて訪問しているケースは対象外になりやすく、実績を積んだつもりが要件を満たしていなかった、という取り違えが起きます。届出前に、直近1年間の算定内訳を1件ずつ棚卸ししておくことをおすすめします。解釈に迷う点は疑義解釈(Q&A)や地方厚生局で確認するのが確実です。

なぜ小規模薬局で在宅24回が達成できないのか
年24回は月平均2回。数字だけ見れば軽く思えますが、常勤薬剤師が1名の薬局では構造的に達成が難しくなります。理由は大きく3つです。
外来を止めないと訪問に出られない
常勤が1名だと、在宅訪問に出た瞬間に外来調剤が止まります。来局した患者を待たせることになり、機会損失が生じます。訪問は移動を含めて1件1時間以上かかることも多く、「月2回を1年間ずっと続ける」ことが体力・時間の両面で重くのしかかります。急な体調不良や休暇も重なると、計画的な積み上げは簡単に崩れます。
突発的な訪問依頼に応えられない
在宅の現場では、容態変化や医師の緊急指示による予定外の依頼が頻繁に発生します。人員に余裕がないと即日訪問に応えられず、断り続けることで医療機関や訪問看護ステーションとの連携が細り、新規紹介も減る——という悪循環に陥りがちです。
正社員採用は固定費リスクが大きい
在宅のために正社員薬剤師を1名増やすと、社会保険料込みで年間500万円超の固定費増になり得ます。在宅実績が安定するまで、この投資を回収できる保証はありません。処方箋枚数が少ない薬局では、加算による増収より人件費負担が上回る可能性があり、採用に踏み切れないのが現実です。
在宅24回を確保する仕組みづくり
在宅24回は「気合いで訪問回数を増やす」問題ではなく、外来を止めずに、毎年再現できる体制を設計する問題として捉えると解けます。柱は「必要なときだけ人を確保する」「業務を標準化する」「実績を記録・届出まで管理する」の3つです。
固定費を変動費化して人手を確保する
正社員の代わりに、必要な日・必要な時間だけ薬剤師を確保する選択肢があります。スポット(スキマバイト)マッチングを使えば、在宅訪問のみのスポット依頼が可能で、月2回の訪問なら1回2〜3万円程度・月6万円前後、年70万円程度に収まる設計もできます。実績が少ない初期段階でも経営を圧迫せず、段階的に在宅体制を立ち上げられるのが利点です。ただし報酬相場は地域・時期で変動するため、最新の相場で試算してください。
突発依頼に「断らない」体制をつくる
急な依頼が来たときに、その日対応できる薬剤師を素早く探せる状態にしておくと、依頼を断らずに済みます。訪問依頼を断らないことは、医師・訪問看護師との信頼、そして新規患者の紹介増に直結します。容態変化時の緊急訪問や医療用麻薬の管理など、専門性の高い場面で確実に動けることが、かかりつけ薬局としての評価を押し上げます。
業務を標準化して属人化を防ぐ
スポット人材を入れても、患者情報の共有・薬歴の書き方・訪問後報告・緊急時の連絡フローが担当者ごとにバラバラだと、かえって現場負担が増えます。訪問前に共有する基本情報、服薬状況、注意点のフォーマットを決め、訪問後の報告テンプレートと薬歴記載ルールを統一しておくと、誰が訪問しても同じ品質で回せます。
実績カウントと届出を管理する
24回を「一度達成して終わり」にしないためには、月次で訪問回数と算定内訳(単一建物1人か、オンラインでないか)を可視化し、届出に必要な調剤録・薬歴の記録を整えておくことが欠かせません。ここは薬歴システムや在宅管理の仕組みが効く領域です。薬局全体の記録・入力効率化の打ち手は薬局のAI活用事例でも整理しているので、記録の負担を下げたい場合は合わせて検討してください。

在宅24回を達成するまでの実践ステップ
仕組みづくりを具体的な行動に落とすと、次の4ステップになります。
ステップ1:現状分析と目標区分の設定
直近1年間の処方箋受付回数、各種加算の算定実績、在宅訪問回数を集計し、狙う区分(加算2〜5)とのギャップを洗い出します。在宅実績が現在ゼロなら、まず月2回のペースで訪問を開始して年24回を目指すのが現実的です。
ステップ2:スポット人材+訪問日の固定
毎月第1・第3水曜など定期の訪問日を先に決め、その日に動ける薬剤師を事前に確保します。初回は経験のある薬剤師に同行してもらい、訪問の流れや患者対応を引き継ぐと立ち上がりが早くなります。情報共有と報告のフォーマットもこの段階で用意します。
ステップ3:地域の医療機関・在宅協力薬局との連携強化
在宅対応が可能であること、対応できる曜日・時間帯・医療用麻薬の種類などを地域の医療機関や訪問看護ステーションに具体的に伝えます。多職種連携会議への出席は実績要件⑨も兼ねられます。自薬局だけで回りきらない部分は、在宅協力薬局との連携でカウントを補完します。
ステップ4:実績の記録と月次の進捗確認
訪問実績を調剤録・薬歴に詳細に記録し、月ごとに集計して年24回への進捗を確認します。遅れが見えたら訪問頻度や新規受け入れ、連携を早めに調整します。届出は要件を満たした時点で速やかに出せるよう、必要書類を先回りで準備しておきます。
体制要件で見落としやすいポイントとリスク
実績要件に目が行きがちですが、届出には体制要件も満たす必要があります。現行で押さえておきたいのは次の点です。
- 開局時間: 週30時間以上、かつ週4日以上。緊急時に開局時間外でも在宅に対応できる体制が必要ですが、在宅協力薬局との連携で対応する形も認められています。
- 後発医薬品の数量シェア85%以上(直近3か月): 加算1(土台)の必須要件。ここを満たせないと加算2〜5にも進めません。
- 令和8年度で追加・強化された体制要件(要公式確認): 調剤室面積16㎡以上(2026年6月以降に開設・改築・増築する薬局が対象)、セルフメディケーション関連機器の設置、緊急避妊薬への対応、要指導医薬品・一般用医薬品等の販売体制、敷地内禁煙・たばこ販売禁止など。
とくに注意したいのが経過措置です。令和8年3月末時点で後発医薬品調剤体制加算を届け出ていた薬局は、後発品要件が未達でも一定期間はみなしで算定できるとされていますが、期限を過ぎると届出できなくなるリスクがあります。正確な期限は区分によって異なるため、公式告示で必ず確認してください。また、実績は直近1年間の記録で判定されるため、調剤録・薬歴の整備は監査対応の前提になります。記録不備は「実績はあるのに届出できない」という事態を招きます。
こんな薬局は在宅24回に取り組むべき/慎重に判断すべき
在宅24回の仕組みづくりに向いている薬局
- 調剤基本料1で、加算2・3を狙って収益基盤を強化したい薬局
- 調剤基本料1以外で、在宅(⑥)が必須になる加算4・5を目指す薬局
- 地域の医療機関・訪問看護との連携を広げ、在宅の紹介を増やしたい薬局
- 常勤採用の固定費は避けたいが、スポット人材や連携で在宅を積みたい薬局
- 後発品85%をすでに満たしている、または達成の見込みがある薬局
取り組みを慎重に判断すべき薬局
- 後発医薬品の数量シェアが85%に届かず、当面改善の見通しも立たない薬局(土台の加算1が取れない)
- 在宅の需要が乏しい立地で、連携先も確保しづらい薬局
- 記録・薬歴の管理体制が整っておらず、届出・監査に耐える実績記録を残せない薬局
- 処方箋枚数が極端に少なく、加算による増収が体制整備コストを下回る薬局
自薬局がどの区分を狙えるか、後発品シェアと在宅需要の2軸で切り分けると判断しやすくなります。加算1の土台が固まっていない段階では、まず後発品シェアの改善から着手するのが順序です。
よくある質問(FAQ)
Q. 在宅24回はオンライン服薬指導でも数えられますか?
現時点では、情報通信機器(オンライン)による算定は在宅24回のカウントから除外されます。対面の訪問実績が必要です。
Q. 自薬局だけで24回に届きません。他薬局と協力してもよいですか?
在宅協力薬局として連携した訪問実績は算入できます。ただし同一グループ薬局への業務は除外されます。グループ外の薬局と連携することで、単独で届かない分を補える可能性があります。
Q. 加算1だけを届け出ることはできますか?
できます。加算1(27点)は後発医薬品85%以上と安定供給体制を満たせば、在宅などの地域貢献実績がなくても届出できる土台の区分です。点数の高い加算2〜5に進む場合に、在宅を含む実績が必要になります。
Q. 旧「地域支援体制加算」の32点・40点で試算しても大丈夫ですか?
それらは令和6年度(旧制度)の点数です。2026年6月改定で加算1〜5(27/59/67/37/59点)へ再編されたため、現行の点数で試算し直す必要があります。
Q. 施設にまとめて訪問している実績は24回に入りますか?
在宅24回は「単一建物診療患者が1人の場合」の算定に限られます。同一建物に対象患者が複数いるケースは対象外になるため、算定内訳を確認してください。
まとめ:在宅24回は「運」ではなく「再現性」で取りにいく
在宅24回は、2026年6月に再編された地域支援・医薬品供給対応体制加算の加算2〜5を届け出るうえで、多くの薬局にとって最大の壁になります。とくに調剤基本料1以外の薬局が狙う加算4では必須項目です。まずは狙う区分と後発品85%の土台を確認し、在宅24回のカウント方法(単一建物1人・オンライン除外・在宅協力薬局連携)を正確に押さえることが出発点になります。
そのうえで、常勤1名の体制でも回すために、①必要なときだけ人を確保して固定費を変動費化する、②業務を標準化して属人化を防ぐ、③実績カウントと届出を月次で管理する——この3つを仕組みとして組み込むことが、24回を毎年再現するための現実解です。人材の確保と、確保した後に迷わず回る運用・記録の整備をセットで設計できれば、加算取得は一度きりの達成ではなく、安定した収益基盤になります。
制度の点数・要件・経過措置の期限は、必ず厚生労働省の告示・通知および調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)などの一次資料と、地方厚生局の窓口で最終確認してください。薬局の記録・入力業務の負担を下げる打ち手は薬局のAI活用事例、医療機関側のAI活用の動向は医療AIの活用事例も参考にしながら、無理なく続けられる在宅体制を整えていきましょう。
この記事の著者

AI革命
編集部
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