AIツール2026年4月更新

Gemini Enterprise Agent Platform とは?Vertex AI後継の機能・料金・Agent Studio/A2A/Registry/Gateway徹底解説

公開日: 2026/04/27
Gemini Enterprise Agent Platform とは?Vertex AI後継の機能・料金・Agent Studio/A2A/Registry/Gateway徹底解説

この記事のポイント

Google CloudがVertex AIを統合した後継プラットフォーム「Gemini Enterprise Agent Platform」を、4つの柱(Build/Scale/Govern/Optimize)と料金・GA/Previewステータス・移行ポイントまで実務目線で整理します。

Gemini Enterprise Agent Platform は、Google Cloud が 2026年4月22日に発表した、企業向け AI エージェントの「構築・拡張・ガバナンス・最適化」を1つに統合した開発プラットフォームです。 公式表記でも Gemini Enterprise Agent Platform (formerly Vertex AI) と記され、Vertex AI のすべての機能とロードマップを引き継ぐ実質的な後継基盤に位置づけられています。

この記事では、以下の点を整理します。

  • Vertex AI からどう変わったのか(後継としての位置づけ)
  • 4つの柱(Build / Scale / Govern / Optimize)と主要コンポーネント
  • Agent Studio / ADK / Agent Registry / Agent Gateway / A2A の関係
  • 料金体系と GA / Preview の現状
  • 他社プラットフォーム(OpenAI Agents SDK / AWS Bedrock Agents / Microsoft Copilot Studio)との比較
  • 向いている企業 / 向いていない企業

対象読者は、Vertex AI を既に使っている開発者・SRE・PdM社内で AI エージェントの本格導入を検討する情報システム部門・DX 推進担当Google Cloud で生成 AI のガバナンス基盤を選定中の方です。

出典は公式ドキュメント(docs.cloud.google.com/gemini-enterprise-agent-platform)と Google Cloud 公式ブログの 2026年4月22日発表分を中心に整理しています。Preview 機能は今後変更の可能性があるため、本番採用時は最新の料金・GA ステータスを公式ページで確認してください。

Gemini Enterprise Agent Platform とは何か(一文で)

Google Cloud が提供する Gemini Enterprise Agent Platform の公式ロゴ

出典: Google Cloud 公式サイト

Gemini Enterprise Agent Platform は、Google Cloud が提供する企業向け AI エージェントの統合開発プラットフォームで、Vertex AI を統合・進化させた後継基盤です。 モデル選択・モデル構築・エージェント構築・ランタイム実行・ID 管理・ガバナンス・観測・最適化までを 1 つのコンソールで一貫して扱える点が、従来の Vertex AI との最大の違いです。

基本情報

項目

内容

提供元

Google Cloud

発表

2026年4月22日(Google Cloud Next '26)

旧称

Vertex AI(公式表記: formerly Vertex AI

提供形態

Google Cloud の SaaS(コンソール / API / SDK)

主要言語 SDK

Python / Java / JavaScript / Go(Google Gen AI SDK)

アクセス先

console.cloud.google.com/agent-platform/overview

主要モデル

Gemini 3.1 Pro / Flash / Flash-Lite、Gemma 4、Lyria 3、Claude(Opus/Sonnet/Haiku)、Mistral、Llama、DeepSeek 他

推奨リージョン

global(東京=asia-northeast1 は allowlist GA)

「Gemini Enterprise」の3層を最初に整理する

検索ノイズで最も混乱しやすいのが、似た名前の3つの違いです。冒頭で必ず押さえてください。

  • Gemini Enterprise(ブランド全体) — Google Cloud の企業向け AI スイート全体の名称
  • Gemini Enterprise アプリ — エンドユーザー向けアプリ(旧 Agentspace)。Standard / Plus / Frontline といったユーザーライセンス課金
  • Gemini Enterprise Agent Platform — 開発者・基盤レイヤ。本記事の対象。Vertex AI の後継

ユーザーが日常的にチャットで使うのが「Gemini Enterprise アプリ」、それを動かすエンジン側が「Agent Platform」と理解すると整理しやすいです。

Vertex AI からどう変わったか(後継としての位置づけ)

結論: Vertex AI のサービス・ロードマップは Gemini Enterprise Agent Platform にそのまま引き継がれます。 新規に「Vertex AI」コンソールから入る代わりに、Agent Platform コンソールがエントリーポイントとなり、エージェント統合・DevOps・オーケストレーション・セキュリティ機能が新規追加されました。

旧 Vertex AI 機能と新プラットフォームでの提供場所

旧 Vertex AI の機能

Gemini Enterprise Agent Platform での提供場所

モデル選択(Model Garden)

Build > Model Garden(200+モデル、Claude/Gemma 4 含む)

モデル構築・チューニング

Build(Vertex AI からの機能を継承)

Agent Builder / Agent Engine

Scale > Agent Runtime に進化(コールドスタート1秒未満、Long-running Agents Preview)

評価・モニタリング

Optimize > Agent Evaluation / Observability(OpenTelemetry 準拠)

Vertex AI SDK の生成 AI モジュール

2026/6/24 廃止予定 → Google Gen AI SDK(google-genai)へ移行必須

Vertex AI ユーザーが今やるべき2つのこと

  • SDK 移行の計画を立てる — Python なら vertexai.generative_models から google-genai への置き換え。2026/6/24 を期限として影響箇所を棚卸しします
  • コンソールの導線を確認する — Agent Platform コンソール(/agent-platform/overview)からのアクセスに切り替え、既存 Vertex AI プロジェクトの可視性を確認します

公式は「Vertex AI のすべてのサービスとロードマップは、今後 Gemini Enterprise Agent Platform を通じて提供される」と明示しており、Vertex AI 名義のページは順次 Agent Platform 配下に再構成されています。

4つの柱(Build / Scale / Govern / Optimize)— 1分でわかる早見表

エンタープライズ向け AI エージェントの構築・拡張・ガバナンス・最適化を表すアーキテクチャ図のイメージ

Agent Platform の機能群は、公式が定義する 4つの柱 に整理されています。まずこの全体像を頭に入れてから個別機能を読むのが最短です。

目的

主要コンポーネント

Build(構築)

エージェントとモデルを作る

Agent Studio / ADK / Agent Garden / Model Garden

Scale(拡張)

本番運用・スケール・状態管理

Agent Runtime / Agent Memory Bank / Agent Sessions / Agent Sandbox

Govern(ガバナンス)

ID・認証・カタログ・脅威検知

Agent Identity / Agent Registry / Agent Gateway / Model Armor / Audit Logs

Optimize(最適化)

評価・観測・自動改善

Agent Simulation / Agent Evaluation / Agent Observability / Agent Optimizer

「Vertex AI に 結合組織(connective tissue) が追加された」と評する記事もあり、個別機能が点在していた状態から、ID・ゲートウェイ・観測で横串が通った形になっています。

Build:エージェントとモデルを作る

Build はエージェント構築の入口です。ローコード(Agent Studio)とコードファースト(ADK)の二段構えで、初期検証から本番グレードまで段階的にスケールできるのが設計思想です。

Agent Studio(ローコード)

  • 直感的な GUI のビジュアルキャンバスで、プロンプト作成からマルチエージェント構成まで対応
  • 検証が固まったら ADK へエクスポートしてコードファースト開発に移行できる
  • 非エンジニア(業務部門)が PoC を組むのに向いている

Agent Development Kit(ADK)— コードファースト

  • グラフベースフレームワークでサブエージェントネットワークを定義し、複雑な問題を分解して解く設計
  • セキュリティ・バイ・デザインで、bash 実行・ファイル管理を強化サンドボックスで隔離
  • Python / Java / JavaScript / Go の Google Gen AI SDK で扱える
  • 公式ブログによれば、月間処理トークン数は 6 兆超

Agent Garden(テンプレート集)

  • 厳選された業務テンプレートが揃う
  • 例: コードのモダナイゼーション、財務分析、経済調査、請求書処理、マルチエージェントシステム
  • ゼロから書くより、テンプレートをフォークして調整するほうが立ち上がりが速い

Model Garden(200+モデル)

  • ファーストパーティ: Gemini 3.1 Pro / 3.1 Flash / 3.1 Flash Image / Lyria 3(音声)/ Gemma 4(オープン)
  • サードパーティ: Anthropic Claude(Opus / Sonnet / Haiku)/ Mistral / Llama / DeepSeek 等
  • 用途・コスト・規制でモデルを切り替えやすいのが Agent Platform 採用の大きな理由になります

「コーディングや高難度推論は Claude Opus、社内ドキュメント大量処理は Gemini 3.1 Pro、軽量タスクは Flash-Lite」のように、用途別にモデルをルーティングする設計がやりやすくなりました。

Scale:本番運用・スケール・状態管理

Scale は、検証済みエージェントを本番に乗せて落ちないようにするためのレイヤです。

Agent Runtime(旧 Agent Engine の進化)

  • コールドスタート 1 秒未満、新規エージェントのプロビジョニングは数秒
  • Long-running Agents(Preview): 数日〜週単位の自律実行に対応。長時間バッチ・調査系エージェントが現実的になる
  • 双方向 WebSocket でリアルタイム音声・映像処理も可能

Agent Memory Bank(長期記憶)

  • 会話から長期記憶を動的に生成・管理
  • Memory Profiles で低レイテンシ・高精度の想起
  • ぐるなびのレストラン推薦エージェント「UMAME!」では、利用者満足度 30% 以上の向上が報告されています

Agent Sessions(会話履歴)

  • 履歴の保存・管理を担当
  • Custom Session IDs で社内 DB / CRM レコードに直接マッピングでき、業務システム側のキーで会話を引ける

Agent Sandbox(GA)

  • モデルが生成したコードをホストから隔離して実行する安全環境
  • ブラウザベース自動化(コンピュータユース)にも対応
  • AI による未知のコード実行を業務に取り込むハードルを下げる

Memory Bank(記憶)と Sessions(履歴)は混同されやすいですが、Sessions が「会話のログ」、Memory Bank が「ユーザー像・関係性などの抽象化された記憶」と整理すると分かりやすいです。

Govern:ID・認証・カタログ・脅威検知

エージェント運用におけるアイデンティティとアクセス管理のセキュリティイメージ

Govern は、エージェントを企業基盤として運用する上で最も差がつく層です。Agent Platform はここに新コンポーネントを多く投入しています。

Agent Identity(GA)

  • すべてのエージェントに SPIFFE 標準ベースの暗号化 ID を自動付与
  • MCP サーバー、クラウドリソース、エンドポイント、他エージェントとの認証に使う
  • IAM ベースのアクセス管理と監査可能なトレースが標準で揃う

Agent Registry(統合カタログ)

  • 社内のエージェント / ツール / スキル / MCP サーバー / エンドポイントを一元カタログ化
  • キーワード・接頭辞検索でリソースを発見でき、A2A エージェントや MCP サーバーの登録もここから
  • 承認済みリソースのみを利用可能にするガバナンス窓口として機能

Agent Gateway(Preview)— エージェントの管制塔

  • エージェント通信の「Air Traffic Control(管制塔)」として、対応プロトコルは MCP / A2A / REST / gRPC
  • 動作モードは2つ
    • Client-to-Agent(Ingress): 外部クライアント → エージェント
    • Agent-to-Anywhere(Egress): エージェント → 外部 API / ツール / MCP サーバー
  • mTLS の自動ハンドシェイク・終端を引き受け、開発者は通信暗号化の実装から解放される
  • DPoP(Demonstration of Proof-of-Possession) + Context-Aware Access に対応
  • 認可は IAM / IAP / Semantic Governance Policies / Service Extensions で多段に構成

Model Armor(GA)

  • プロンプトインジェクション、ツールポイズニング、機密データ漏洩からの保護レイヤ
  • Agent Gateway と統合して、エージェント↔ツール間トラフィックも検査できる

Agent Anomaly Detection / Threat Detection / Audit Logs

  • Anomaly Detection: 統計モデル + LLM-as-a-judge で異常推論を検知
  • Threat Detection: リバースシェル・悪意ある IP 接続を可視化
  • Audit Logs(GA): すべての呼び出し・クエリ・応答を記録し、コンプライアンス対応に使える

A2A × Agent Registry × Agent Gateway の関係

3つのコンポーネントは、「誰が・どのエージェント・どこに通信するか」を分担しています。

役割

担当コンポーネント

誰がアクセスするか(ID)

Agent Identity(SPIFFE)

どのエージェントがあるか(カタログ)

Agent Registry

通信そのものをどう守るか(経路)

Agent Gateway(mTLS / DPoP / Model Armor 統合)

異ベンダー間の連携プロトコル

A2A(Linux Foundation 寄贈)

A2A は Google が開発し、Linux Foundation に寄贈したオープンプロトコルです。OpenAI / Anthropic / 他クラウドのエージェントとも、A2A に準拠していれば Agent Platform から呼び出せます。

Optimize:評価・観測・自動改善

Agent Observability によるエージェントの可視化・モニタリングダッシュボードのイメージ

Optimize は、運用後に精度・コスト・安全性を継続改善するためのレイヤです。

Agent Simulation

  • 合成ユーザー × 仮想ツール環境で多段階会話のストレステスト
  • 成功率・安全性で自動スコアリング
  • 本番投入前のリグレッションを抑える用途に使える

Agent Evaluation

  • 単一応答ではなく会話全体(マルチターン)を自動評価
  • ライブトラフィックに対する継続的スコアリング
  • 推論プロセスをトレースで可視化

Agent Observability

  • OpenTelemetry 準拠のテレメトリ
  • 完全な実行トレース、リアルタイム可視化、トポロジー可視化に対応
  • 既存の SRE / オブザーバビリティスタックに乗せやすい

Agent Optimizer

  • ログを自動分析し、失敗を自動クラスタリング
  • システム指示(System Prompt)の自動改善提案まで踏み込む

料金体系(モデル料金とプラットフォーム料金は別系統)

結論: Gemini Enterprise Agent Platform の料金は「モデル料金 + Grounding 料金 + プラットフォーム機能の従量料金」の3階層で構成されます。 モデル料金は公式に整理されていますが、プラットフォーム機能(Agent Engine / Memory Bank / Sandbox 等)の単価は本記事執筆時点で一部未公開です。本番試算時は必ず公式料金ページを参照してください。

モデル料金(Standard、2026年4月時点)

モデル

入力(≤200K)

入力(>200K)

テキスト出力(≤200K)

テキスト出力(>200K)

Gemini 3.1 Pro Preview

$2 / 1M tokens

$4 / 1M tokens

$12 / 1M tokens

$18 / 1M tokens

Gemini 3 Flash Preview

$0.5 / 1M tokens(テキスト/動画), $1(音声)

$3 / 1M tokens

Gemini 3.1 Flash-Lite Preview

$0.25 / 1M(テキスト/動画), $0.50(音声)

$1.50 / 1M tokens

Gemini 2.5 Pro

$1.25 / 1M tokens

$10 / 1M tokens

Gemini 2.5 Flash

$0.30 / 1M tokens

$2.50 / 1M tokens

Gemini 2.5 Flash Lite

$0.10 / 1M tokens

$0.40 / 1M tokens

  • Priority Pricing(優先処理)と Flex / Batch Pricing(バッチ・割安、Batch API は 50% 割引)の3階層
  • HTTP 200 レスポンスのみ課金。4xx / 5xx エラーは課金されません
  • 入力が 200K tokens を超えると、全トークンが long context レートで課金される点に注意

Grounding(グラウンディング)料金

サービス

料金(Gemini 3 系)

無料枠

Google Web Search

$14 / 1,000 クエリ

5,000 クエリ/月

Google Maps

$14 / 1,000 クエリ

5,000 クエリ/月

Grounding with your data

$2.50 / 1,000 プロンプト

サードパーティモデル

  • Anthropic Claude(Opus / Sonnet / Haiku)等は Model Garden 経由で利用可能
  • 料金は各モデルベンダーの価格に準拠するため、運用試算時は公式ページで都度確認します

無料枠・トライアル

  • Google Cloud 新規ユーザー向け $300 分の無料クレジット
  • まずはここでマルチモデル切り替えと Agent Studio の感触をつかむのが現実的です

料金の落とし穴(実務で詰まりやすい3点)

  • 200K tokens 超え — 全トークンが long context レートになる。長文 RAG では入力長を分割設計する
  • Priority と Flex の使い分け — 対話 UI は Priority、夜間バッチや評価ジョブは Flex / Batch で 50% 割引を取りに行く
  • Grounding の無料枠超過 — 5,000 クエリ/月の無料枠を超えると即課金。検索系エージェントはクエリ数の上限監視を入れる

GA / Preview ステータス一覧(2026年4月時点)

エージェント基盤は更新が速いため、本番投入前にステータスを必ず確認してください。

機能

ステータス(2026/4 時点)

備考

Agent Identity

GA

SPIFFE ベース ID 自動付与

Model Armor

GA

プロンプトインジェクション/データ漏洩防御

Audit Logs

GA

全呼び出しログ記録

Agent Sandbox

GA

隔離コード実行環境

Agent Gateway

Preview

管制塔。mTLS/DPoP 対応

Long-running Agents

Preview

数日〜週単位の長時間実行

Gemini 3.1 Pro / Flash / Flash-Lite

Preview

モデル料金ページ表記時点

東京リージョン(asia-northeast1)

Allowlist GA

Google 承認制。デフォルトは global 推奨

Preview 機能の取り扱い: SLA・後方互換性・料金が変更される可能性があります。本番ワークロードはまず GA 機能で組み、Preview は PoC・試験運用で押さえるのが安全です。

他社プラットフォームとの比較

結論: Agent Platform の独自性は「ID・カタログ・ゲートウェイ・モデル選択肢の広さ」を1つの GCP 内で完結させた点です。 一方で、ベンダーロックインや Google Cloud 前提のコストはトレードオフになります。

主要プラットフォーム比較(実務目線)

項目

Gemini Enterprise Agent Platform

OpenAI Agents SDK

AWS Bedrock Agents

Microsoft Copilot Studio + Foundry

主要モデル

Gemini / Gemma / Claude / Mistral / Llama / DeepSeek 他

OpenAI 系中心

Claude / Llama / Titan 他

OpenAI / 他

ID 基盤

Agent Identity(SPIFFE)

API キー中心

IAM 連携

Entra ID 連携

エージェントカタログ

Agent Registry(統合)

なし(自前管理)

Bedrock Agents

Copilot Studio

ゲートウェイ層

Agent Gateway(mTLS/DPoP/MCP/A2A/REST/gRPC)

個別実装

API Gateway 等の組合せ

Azure API Management

ローコード

Agent Studio

提供なし

Agent Builder

Copilot Studio

コードファースト

ADK

Agents SDK

Bedrock SDK

Foundry

A2A プロトコル

ネイティブ対応

個別

個別

個別

観測

Agent Observability(OpenTelemetry)

自前

CloudWatch 連携

Application Insights

選び分けの目安

  • 既に Google Cloud 中心 / マルチモデルを活かしたい → Agent Platform
  • OpenAI モデルが必須かつ軽量に始めたい → OpenAI Agents SDK
  • AWS 中心の基盤資産が大きい → Bedrock Agents
  • Microsoft 365 / Entra ID 連携が要件 → Copilot Studio + Foundry

使い方の流れ(はじめての3ステップ)

PoC から本番までの最短コースを示します。

  1. Agent Studio で叩き台を作る — Google Cloud コンソール(/agent-platform/overview)→ Agent Studio で、ビジュアルキャンバスから1つのエージェントを構築。Model Garden で Gemini 3.1 Flash / Claude Sonnet など複数モデルを差し替えて応答品質を比較します
  2. ADK にエクスポートしてコード化 — Agent Studio の構成を ADK にエクスポートし、Python / Java / JS / Go から拡張。Agent Memory Bank と Agent Sessions を有効化して状態管理を整理します
  3. Govern と Optimize を入れて本番化 — Agent Identity を発行し、Agent Registry にツール / MCP を登録。Agent Gateway 越しに通信させ、Model Armor / Audit Logs を有効化。Agent Evaluation と Observability で継続改善ループに入ります

PoC 段階の注意: いきなり Long-running Agents や Agent Gateway(Preview)を本番要件に入れると、SLA や料金変更の影響を受けやすくなります。最初は GA 機能で組み、Preview は限定範囲で評価するのが安全です。

Gemini Enterprise アプリと Agent Platform の違い

混同されやすいので、最後に1表で整理します。

観点

Gemini Enterprise アプリ

Gemini Enterprise Agent Platform

対象

エンドユーザー

開発者・基盤チーム

提供形態

チャット/業務アシスタントのアプリ

プラットフォーム(コンソール / API / SDK)

課金

ユーザー単位ライセンス(Standard / Plus / Frontline 等)

モデル従量+プラットフォーム従量

役割

業務に AI を「使わせる」

業務に合わせた AI エージェントを「作って動かす」

旧称

Agentspace

Vertex AI

業務部門の生産性を上げたいだけなら Enterprise アプリ、自社の業務プロセスに合わせたエージェントを作って組み込みたいなら Agent Platform、というのが基本の選び分けです。

向いている企業 / 向いていない企業

こんな企業におすすめ

  • すでに Google Cloud をメインに使っている企業 — IAM / VPC / BigQuery / Cloud Logging との統合が自然で、ガバナンス基盤を流用しやすい
  • マルチモデルでエージェントを組みたい企業 — Gemini と Claude を業務別に使い分けたい、特に「コーディング系は Claude、ドキュメント大量処理は Gemini Pro」といった分担が前提のケース
  • エージェントを社内基盤として横展開したい企業 — Agent Registry × Identity × Gateway で「誰が・どのエージェントを・どこに使えるか」をガバナンスしたいケース
  • 規制業界・監査対応が必須の企業 — Audit Logs / Model Armor / SPIFFE ID で証跡とセキュリティを最初から組み込みたい場合

こんな企業にはおすすめしない

  • 個人開発者・小規模スタートアップで素早く試したい場合 — Google Cloud アカウント前提で、軽量に試すなら OpenAI Agents SDK や Dify、ローカル ADK 単体運用の方がコストが軽い
  • Microsoft 365 / Entra ID が業務基盤の企業 — Copilot Studio + Foundry の方が ID/SSO/Office 連携で素直
  • AWS で完結している企業 — 既存の IAM / VPC / セキュリティ基盤と二重管理になりやすい
  • モデルを 1 つに固定したい企業 — マルチモデル前提の設計が活かしにくく、過剰機能になりがち

注意点・落とし穴

実務で詰まりやすいポイントをまとめます。

  • Vertex AI SDK の生成 AI モジュールは 2026/6/24 廃止。Python は vertexai.generative_models から google-genai へ移行が必要
  • Preview 機能は SLA・料金・後方互換に注意。Agent Gateway / Long-running Agents / Gemini 3.1 系は Preview 段階
  • 東京リージョン(asia-northeast1)は allowlist GA。原則は global リージョンが推奨
  • Agent Engine / Memory Bank / Sandbox の単価は本記事執筆時点で公式ページに完全整理されていない部分がある。本番試算は最新ページを参照
  • マルチモデル運用時のキー管理 — Model Garden 経由の Anthropic Claude などは別ベンダー料金に従うため、コスト計算とログの粒度を最初から分けておく

よくある質問(FAQ)

Q1. 既存の Vertex AI プロジェクトはそのまま動きますか?
公式は「Vertex AI のサービスとロードマップは Agent Platform を通じて提供される」としており、コンソール導線とブランドが切り替わる形です。ただし Vertex AI SDK の生成 AI モジュールは 2026/6/24 廃止のため、SDK 移行計画は別途必要です。

Q2. Anthropic Claude を使えますか?
使えます。Model Garden 経由で Claude Opus / Sonnet / Haiku が提供されています。料金は Anthropic ベンダー料金準拠のため、最新は公式ページで確認します。

Q3. A2A プロトコルとは何ですか?
A2A(Agent2Agent)は Google が開発し Linux Foundation に寄贈したオープンプロトコルで、異なるベンダー・プラットフォーム間でエージェントが相互に呼び出すための共通仕様です。Agent Platform はネイティブ対応しています。

Q4. MCP(Model Context Protocol)にも対応していますか?
対応しています。Agent Registry で MCP サーバーを登録でき、Agent Gateway は MCP / A2A / REST / gRPC をプロトコルとしてサポートします。

Q5. オンプレミス環境でも動きますか?
基本的には Google Cloud SaaS 提供で、オンプレ単独運用は対象外です。データレジデンシ要件は対応リージョン(global / 各リージョン)と、東京リージョン allowlist GA で個別調整します。

Q6. 個人での試用はできますか?
Google Cloud の新規ユーザー向け $300 無料クレジットで Agent Studio・Model Garden の挙動は試せます。ただし「個人ベースで素早く試す」用途には機能過多なので、軽い検証なら OpenAI Agents SDK や Dify、ローカルの ADK 単体起動の方が向きます。

Q7. ぐるなび「UMAME!」のような事例はありますか?
はい。ぐるなびのレストラン推薦エージェントで Agent Memory Bank を活用し、利用者満足度 30% 以上の向上が報告されています。Payhawk / Comcast / L'Oréal / Color Health なども企業ユースケースとして公開されています。

まとめ:Gemini Enterprise Agent Platform を一言で

Gemini Enterprise Agent Platform は、Vertex AI を統合・進化させた「企業向け AI エージェント基盤の標準セット」です。 Build(Agent Studio / ADK)、Scale(Agent Runtime / Memory Bank)、Govern(Identity / Registry / Gateway / Model Armor)、Optimize(Simulation / Evaluation / Observability)の4つの柱で、点在していた Vertex AI 機能に ID・カタログ・ゲートウェイの結合組織が通ったのがポイントです。

意思決定の目安:

  • すでに Google Cloud + マルチモデル運用 → 最有力候補
  • AWS / Microsoft 中心の基盤 → 二重管理コストを慎重に評価
  • 個人 / 小規模スタートアップ → まずは軽量 SDK or Dify で十分

Preview 機能の本番採用は慎重に。SDK は 2026/6/24 までに google-genai へ移行する点だけは早めに着手することを推奨します。

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本記事は Google Cloud 公式ドキュメント・公式ブログ(2026年4月22日発表分)と、Publickey / クラスメソッド DevelopersIO / G-gen Tech Blog 等の信頼ソースを基に整理しています。Preview 機能の GA 化や料金改定が頻繁に起きるため、本番採用時は必ず公式の最新情報(cloud.google.com/products/gemini-enterprise-agent-platform)をご確認ください。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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