Gemini Enterprise Agent Platformとは?Vertex AI後継の全機能・料金・A2A/Registry/Gateway徹底解説【2026年最新】

この記事のポイント
Gemini Enterprise Agent PlatformはGoogle CloudがVertex AIを統合発展させたエンタープライズ向けAIエージェント基盤。Agent Studio・ADK・A2Aプロトコル・Registry・Gatewayの全機能、料金表、AWS/Azure競合比較、向き不向きまで完全解説。
Gemini Enterprise Agent Platformは、Google CloudがVertex AIを統合・発展させた、企業が数百〜数千の自律型AIエージェントを構築・実行・管理・最適化するためのエンドツーエンドPaaS(Platform as a Service)です。2026年4月22日のGoogle Cloud Next '26でGAが発表され、以後すべてのVertex AI機能・ロードマップがこのプラットフォームに集約されます。
この記事では、Agent Studio・ADK・Agent Runtime・Agent Identity・Agent Registry・Agent Gateway・A2Aプロトコルなど全コンポーネントの機能詳細、料金の実際の数値、AWS/Azure競合との違い、Vertex AIからの移行注意点まで整理します。「Vertex AIと何が違うのか」「自社に合うか」を判断したい技術担当者・導入検討者に向けた内容です。

Gemini Enterprise Agent Platformとは
Gemini Enterprise Agent Platformは、Google Cloudが2026年4月22日に発表したエンタープライズ向けAIエージェント統合プラットフォームです。
Vertex AIの「モデル選択・構築・エージェント構築」機能をすべて継承しつつ、エージェントのライフサイクル全体(構築・スケール・ガバナンス・最適化)をカバーする新機能群を追加しています。Googleの公式発表によれば、独立したサービスとしてのVertex AIは廃止方向にあり、今後すべての機能・ロードマップはGemini Enterprise Agent Platform経由でのみ提供されます。
なぜ今このタイミングか: Googleは単一のLLMを使うチャット型AIから、複数のエージェントが協調して複雑なビジネスタスクを自律実行する「マルチエージェント時代」への移行が本格化していると判断しています。Gemini Enterprise Agent Platformはこの転換に対応した設計で、エンタープライズが求めるセキュリティ・監査・コスト管理・大規模運用の要件を一元対応するために設計されています。
Vertex AI時代からの名称変更一覧
2026年4月時点で、以下の名称変更が行われています。既存のVertex AIドキュメントや古い記事との混在に注意が必要です。
旧名称(Vertex AI時代) | 新名称(Gemini Enterprise Agent Platform) |
|---|---|
Vertex AI Studio | Agent Studio |
Vertex AI API | Agent Platform API |
Vertex AI Agent Engine | Agent Runtime |
Vertex AI Search | Agent Search |
Vertex AI Pipelines | Agent Platform Pipelines |
Vertex AI Training | Agent Platform Managed Training |
Gemini Enterprise(Web) | Gemini Enterprise app |
プラットフォームの全体像:Build / Scale / Govern / Optimize
Gemini Enterprise Agent Platformは、エージェントのライフサイクルに対応した4つの柱で構成されます。
柱 | 目的 | 主なコンポーネント |
|---|---|---|
Build(構築) | エージェントを設計・開発する | Agent Studio、ADK、Agent Garden、Model Garden |
Scale(スケール) | 本番環境で大規模実行する | Agent Runtime、Agent Memory Bank、Agent Sessions、Agent Sandbox |
Govern(ガバナンス) | 安全に制御・監査する | Agent Identity、Agent Registry、Agent Gateway |
Optimize(最適化) | 品質を継続的に改善する | Agent Simulation、Agent Evaluation、Agent Observability、Agent Optimizer |
この4柱の設計により、「プロトタイプを作れるが本番運用できない」という問題と、「運用できるが複数チームや複数エージェントのガバナンスが機能しない」という問題を同時に解決することを目指しています。

Build(構築):Agent Studio・ADK・Agent Gardenの全機能

Agent Studio(旧Vertex AI Studio)
Agent Studioは、エンジニアでなくてもエージェントをプロトタイピングできるローコード・ビジュアルインターフェースです。主な機能は以下の通りです。
- ノーコードでのプロンプト設計・エージェントプロトタイピング: ビジュアルエディターでエージェントの動作を定義
- ADKへのPythonエクスポート: GUIで設計した内容を、コードファーストの開発環境(ADK)に書き出せる
- Agent Designer: 複雑なマルチエージェントワークフローの視覚的な設計ツール
- Skillsの管理: 再利用可能なスキルをYAMLメタデータ+Markdownで定義・共有
ローコード vs コードファーストの選び方: 機能を素早く試したい場合・非エンジニアがフローを設計する場合はAgent Studioが適しています。複雑な条件分岐・エラーハンドリング・テスト自動化が必要な本番グレードのシステムはADKに移行するのが推奨されています。
Agent Development Kit(ADK)v1.0
ADK(Agent Development Kit)は、GoogleがOSSで提供するコードファーストのエージェント開発フレームワークです。2026年5月時点でv1.0(安定版)がリリース済みです。
対応言語: Python・Go・Java・TypeScript(2025年時点のPythonのみから大幅拡大)
主な特徴は以下の通りです。
- グラフベースのフレームワーク: サブエージェントをネットワーク構成で組み合わせるマルチエージェントシステムを構築可能
- セキュリティバイデザインのワークスペース: bashコマンド実行・ファイル管理を安全な環境で実行できる設計
- マルチモーダルストリーミング: ライブ音声・映像の入力に対応
- ネイティブA2Aサポート: 後述のA2Aプロトコルをネイティブサポートし、LangGraph・CrewAI・LlamaIndex・Semantic Kernel・AutoGenなど主要フレームワークとの相互運用も可能
- 実績: 月間6兆トークン以上の処理実績あり(公式発表ベース)
Agent Garden・Model Garden
Agent Gardenは、事前構築済みのエージェントテンプレート集です。コード現代化・財務分析・経済調査・請求書処理などの一般的なユースケースをすぐに使えるパーツとして提供しています。ゼロからエージェントを構築する必要がなく、既存テンプレートをカスタマイズするアプローチを取れます。
Model Gardenでは、200以上のモデルへのアクセスを一元管理しています。Google製(Gemini 3.1 Pro・Gemini 3.1 Flash Image・Lyria 3・Gemma 4)だけでなく、Anthropic製(Claude Opus・Sonnet・Haiku)、Meta製(Llama)、Mistral製の各モデルを同一プラットフォームから利用できます。特に2026年4月からClaude系モデルが「ファーストクラス対応」となり、使い勝手が向上しています。
Scale(スケール):Agent Runtime・Memory Bank・Sessionsの実力

Agent Runtime(旧Vertex AI Agent Engine)
Agent Runtimeは、開発したエージェントを本番環境で大規模実行するためのマネージドインフラです。2026年4月22日にGAが発表されました。
主な仕様(公式ドキュメントベース):
- コールドスタート: サブセコンド(1秒未満)
- プロビジョニング: 秒単位で自動スケール
- 長時間実行: 最大7日間にわたる自律エージェントの連続実行(Multi-day Workflow)に対応
- デプロイ時間: Agent Runtimeへのデプロイは約4〜5分
エージェントのコードを書いてAgent Runtimeにデプロイするだけで、インフラ管理なしに本番グレードのスケールを得られます。
Agent Memory Bank(GA済み)
Agent Memory Bankは、エージェントが「長期記憶」を持つための仕組みです。
- 会話から長期的な記憶情報を動的生成・管理
- Memory Profiles: 低レイテンシかつ高精度な情報想起に最適化されたデータ構造
- ユーザーの過去の行動・嗜好・選択履歴を記憶し、次回以降の対話に活用
導入は技術的に簡単で、既存のエージェントコードにクラスを追加するだけで自動有効化されます。例えばぐるなびの「UMAME!」は、Memory Bankを使いユーザーの食の好みや過去の訪問店舗を記憶して最適な飲食店提案を行っています。
Agent Sessions(GA済み)・Agent Sandbox
Agent Sessionsは、エージェントとユーザーの会話セッションを管理する機能です。
- 双方向ストリーミング(WebSocket)対応
- カスタムセッションID: 社内DBやCRMのレコードIDに直接マッピングできるため、顧客IDとセッションを紐づけるなどの実装が容易
Agent Sandboxは、モデルが生成したコードを安全に実行するための隔離環境です。コードをホストシステムに直接実行させることなく、ブラウザ自動化(コンピュータユース)タスクに対応します。
Govern(ガバナンス):Agent Identity・Registry・Gatewayの詳細

ガバナンス機能はGemini Enterprise Agent Platformの最大の差別化要素です。エンタープライズがマルチエージェントシステムを安全に運用するための仕組みが集約されています。
Agent Identity:各エージェントに暗号化IDを付与
エンタープライズにおける最大の懸念の一つが「このエージェントは誰で、何を実行する権限があるのか」という識別と認証の問題です。Agent Identityはこの問題に対応します。
現時点での公式仕様(Agent Identityドキュメントベース):
- SPIFFE標準の暗号化ID: 各エージェントに対し、業界標準のSPIFFE(Secure Production Identity Framework for Everyone)に準拠したIDが自動付与されます。フォーマット例:
spiffe://TRUST_DOMAIN/resources/SERVICE/RESOURCE_PATH - X.509証明書: 有効期限24時間の証明書が自動発行・更新。アクセストークンはこの証明書に暗号バインドされるため、トークン盗難による不正アクセスを防止
- 完全なIAM統合: Google CloudのIAM・Principal Access Boundary(PAB)・VPC Service Controlsと統合し、エージェントごとのアクセス権限を細粒度で制御
- 完全監査証跡: すべてのエージェント行動がログに記録される
- 認証マネージャー: エージェントからツールへのOAuth 2.0・APIキー認証を管理
「エージェントにIDを持たせる」ことの実務的意義は大きく、エージェントが誤って過剰な権限で実行することや、エージェントがなりすまし攻撃に悪用されることへの対策になります。
Agent Registry:エンタープライズ全体のエージェント管理台帳
Agent Registryは、組織全体のエージェント・MCPサーバー・ツール・スキルを一元管理するライブラリです。
- 承認済みアセットのみへのアクセス制御(未承認のエージェントやツールは使用不可)
- キーワード・プレフィックスによる検索
- Agent Runtimeにデプロイすると自動的にRegistryに登録
- インターネットオブエージェントの「DNS」: 大規模なマルチエージェントシステムで「このエージェントはどこにある?何ができる?」を解決する仕組み
数十〜数百のエージェントが動く組織では、どのエージェントが何をしているかを把握できなくなることが現実的な課題です。Agent Registryはこのガバナンスギャップを埋めます。
Agent Gateway:エージェントトラフィックの制御点
Agent Gatewayは、エージェントへの入出力トラフィックを一元管理するセキュリティレイヤーです。公式ドキュメントでは2つのモードが定義されています。
イングレスモード(Client → Agent):
クライアントからエージェントへのリクエストを受け付け、IAMポリシー・Semantic Governance Policiesを適用します。
エグレスモード(Agent → 外部):
エージェントから外部サービス(API・データベース等)への接続を制御します。承認されていない外部APIへの接続をブロックできます。
主な技術仕様:
- mTLSハンドシェイク: エージェント間通信の暗号化
- 対応プロトコル: MCP・A2A・REST・gRPC(フレームワーク非依存)
- Model Armor統合: プロンプトインジェクション攻撃・間接プロンプトインジェクション・データ漏洩を検出・防御
- ポリシー反映時間: 約5分
セキュリティ機能(Agent Gateway経由):
機能 | 内容 |
|---|---|
Agent Anomaly Detection | 統計モデル+LLM-as-a-judgeによる異常行動の自動検出 |
Agent Threat Detection | リバースシェル・悪意あるIPへの接続を検出 |
Agent Security Dashboard | Security Command Centerと統合した可視化 |
Model Armor | プロンプトインジェクション・データ漏洩防御 |
Optimize(最適化):本番稼働後の継続的品質改善
Agent Simulation・Agent Evaluation
Agent Simulationは、本番環境にリリースする前にエージェントの動作を検証するテスト環境です。
- 合成ユーザーインタラクションと仮想化ツール環境での事前テスト
- 多段階会話のタスク成功率・安全性を自動スコアリング
Agent Evaluationは、本番稼働中のエージェントを継続的に評価します。
- マルチターン自動評価機能
- ライブトラフィックへの継続的スコアリング
Agent Observability・Agent Optimizer
Agent Observability: 複雑な推論の過程を視覚的にトレースするデバッグ機能。特にマルチエージェントシステムでどのエージェントがどの判断をしたかを追跡できます。
Agent Optimizer: 失敗したインタラクションを自動クラスタリングし、システム指示(System Prompt)の改善案を自動提案します。エンジニアが手動でログを解析するコストを削減できます。
A2Aプロトコル(Agent2Agent)完全解説
A2A(Agent2Agent)プロトコルは、異なるフレームワーク・異なるベンダーのAIエージェント同士が通信・協調するためのオープン標準です。「AIエージェント間のHTTP」と表現されることもあります。

バージョン履歴と現在の状態
バージョン | リリース | 主な変更点 |
|---|---|---|
v0.3 | 2025年8月1日 | gRPCサポート、Security Card Signing(暗号署名)、Python SDK拡張 |
v1.0 | 2026年初頭 | 安定版リリース、Linux Foundationに寄贈 |
v1.2 | 2026年3月 | Signed Agent Cards(ドメイン検証付き)、マルチテナント対応 |
2026年5月時点の最新バージョンはv1.2です。v1.0はLinux Foundation傘下の「Linux Foundation Agentic AI Foundation」が管理しており、特定ベンダーに依存しないオープン標準として位置づけられています。
v1.2の主な技術仕様
- Signed Agent Cards: 暗号署名によるエージェントのドメイン検証。なりすましエージェントとの通信を防止
- マルチテナント対応: 1つのエンドポイントに複数のエージェントを収容できるため、エンドポイント管理コストを削減
- マルチプロトコルバインディング: JSON-RPCとgRPCの両対応。既存システムとの統合に柔軟性がある
- バージョンネゴシエーション: v0.3からv1.0への後方互換マイグレーションパスを提供
採用状況
2026年5月時点で150以上の組織がA2Aを本番稼働中です。Microsoft・AWS・Salesforce・SAP・ServiceNowなど主要エンタープライズベンダーが採用しており、Google専用の技術ではなく業界標準として広がりつつあります。
A2UIプロトコル(Agent-to-User Interface)
A2Aの関連技術として、A2UI(Agent-to-User Interface)が発表されています。エージェントが動的にUIコンポーネントを生成・組み立てるためのオープン標準で、FlutterのGenUI SDKと連携します。エージェントが状況に応じてフォームやボタンなどのUIを自律的に構築できるため、固定的なUIに縛られないインタラクションを実現します。日本語の解説はまだほとんどない新しい技術領域です。
料金・コスト構造の全貌
Gemini Enterprise Agent Platformの料金は従量課金制です。フラットな月額料金はなく、利用したコンポーネント・リソース量に応じて課金されます。主要コンポーネントの料金を整理します(2026年5月時点の公式料金ページベース)。
Agent Runtime料金(2025年12月16日〜)
リソース | 料金 |
|---|---|
vCPU | $0.0864 / vCPU時間 |
メモリ | $0.0090 / GB時間 |
秒単位での課金で、エージェントが実行していない時間は課金されません。
Agent Memory Bank・Sessionsの料金(2026年1月28日〜)
機能 | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
セッションイベント・メモリ保存 | $0.25 / 1,000件 | – |
メモリ取得 | $0.50 / 1,000件 | 月初1,000件は無料 |
モデル料金(Agent Platform経由)
モデル | 入力(/Mトークン) | 出力(/Mトークン) |
|---|---|---|
Gemini 3.1 Pro | $2.00 | $12.00 |
Gemini 3.1 Flash-Lite | $0.25 | $1.50 |
Gemini 3 Flash | $0.50 | $3.00 |
Gemini 2.5 Pro | $1.25 | $10.00 |
Gemini 2.5 Flash | $0.30 | $2.50 |
Gemini 2.5 Flash Lite | $0.10 | $0.40 |
Gemini 2.0 Flash | $0.15 | $0.60 |
グラウンディング機能料金
機能 | 無料枠 | 超過料金 |
|---|---|---|
Google検索グラウンディング | 月5,000クエリ | $14 / 1,000クエリ |
独自データグラウンディング | なし | $2.50 / 1,000プロンプト |
優先・割引オプション
オプション | 特徴 | 料金倍率の目安 |
|---|---|---|
Priority(優先) | レスポンス速度を優先 | 標準の約1.8倍(例: Gemini 2.5 Pro入力: $2.25/Mトークン) |
Flex/Batch(一括処理) | 処理速度よりコスト削減を優先 | 最大50%割引(例: Gemini 2.5 Pro入力: $0.625/Mトークン) |
コスト管理の重要ポイント
現時点では、Agent Gateway・Agent Registry・Agent Identityといったガバナンス系コンポーネント自体の個別料金は公式料金ページで明示されていません(他サービスに包含されている可能性がありますが、公式確認が必要です)。
コスト爆発リスク: マルチエージェントシステムでは、LLM呼び出し・メモリ操作・外部API呼び出しが複合的に発生するため、想定外のコスト増加が起きやすいです。Agent Gatewayで予算上限を設定することで管理は可能ですが、事前の見積もりは困難です。実稼働前にGoogle Cloud料金計算ツールで概算を確認することを推奨します。
Vertex AIから何が変わったか?移行の注意点
SDK移行:2026年6月24日が期限
最も注意が必要なのはSDKの移行です。
対象: vertexai.generative_models モジュールを使用しているコード
期限: 2026年6月24日(非推奨化)
移行先: google-genai パッケージ
# 旧(2026年6月24日以降は非推奨)
from vertexai.generative_models import GenerativeModel
# 新(移行後)
from google import genai2026年6月24日以降は vertexai.generative_models が正式に非推奨化され、将来的には廃止されます。現在Vertex AIのSDKを使って本番稼働中のシステムがある場合は、移行スケジュールの確認と対応が必要です。
名称の混在に注意
2026年4月の発表以降も、Google公式ドキュメント・技術ブログ・社内文書の一部では「Vertex AI」という旧名称が混在しています。「Vertex AI」で書かれているドキュメントが2026年4月以前のものかどうかを確認してから参照することを推奨します。
3大エンタープライズAIプラットフォーム比較
エンタープライズAIエージェント基盤の主要3プラットフォームを比較します(2026年5月時点の公開情報ベース)。
比較軸 | Gemini Enterprise Agent Platform | AWS Bedrock AgentCore | Azure AI Foundry |
|---|---|---|---|
ベンダー | Google Cloud | Amazon Web Services | Microsoft |
モデル多様性 | Gemini系+Claude・Llama・Mistralなど200以上 | Claude・Llama・Mistral等(Bedrock経由) | GPT系+Llama・Phi等 |
ガバナンス機能 | Agent Identity(SPIFFE ID)・Registry・Gateway | IAM統合・CloudWatch | Microsoft Entra・Azure Policy |
エージェント間通信 | A2A(Linux Foundation標準) | 独自実装 | 独自実装 |
長時間実行 | 最大7日間のMulti-day Workflow | Lambda実行時間制限あり | 制限あり |
Google Workspace統合 | ネイティブ(Gmail・Docs・Sheets等) | 限定的 | 限定的 |
Microsoft 365統合 | 限定的 | 限定的 | ネイティブ |
既存AWS統合 | 限定的 | ネイティブ(S3・Lambda等) | 限定的 |
日本リージョン | asia-northeast1(東京)対応(一部機能はallowlistGA) | 東京リージョンあり | 東京リージョンあり |
コスト予測しやすさ | △(複合課金で見積もり難) | △ | △ |
SMB向け導入難易度 | 高い(技術リソース必須) | 中〜高 | 中 |
用途別おすすめの選び方
こんな企業・チームには | おすすめ |
|---|---|
Google Cloudを主要インフラとして使っている | Gemini Enterprise Agent Platform |
Google Workspace(Gmail・Docs・Sheets)を社員が日常的に使っている | Gemini Enterprise Agent Platform |
オープン標準のA2Aプロトコルでマルチベンダー統合したい | Gemini Enterprise Agent Platform |
AWS Lambda・S3など既存AWSリソースとエージェントを統合したい | AWS Bedrock AgentCore |
Microsoft 365・Teams・SharePointと深く統合したい | Azure AI Foundry |
GitHub Copilotや既存のAzureサービスと連携したい | Azure AI Foundry |
主要導入事例
以下は公式発表・プレスリリースに基づく導入事例です(2026年5月時点)。
企業名 | 国・業界 | 活用内容 | 主要機能 |
|---|---|---|---|
ぐるなび | 日本・飲食 | AI飲食店探索アプリ「UMAME!」。ユーザーの好みや過去行動を記憶して最適提案 | Agent Memory Bank |
Comcast(Xfinity) | 米国・通信 | カスタマーサポートの会話型AI化、デジタル封じ込め率を向上 | ADK、Agent Runtime |
Payhawk | 欧州・フィンテック | 財務アシスタント。経費自動提出を50%削減 | Agent Memory Bank |
PayPal | 米国・決済 | Agent Payment Protocol(AP2)による自律エージェント間決済 | ADK |
L'Oréal | 仏・消費財 | Beauty Tech Platform。決定論的ワークフローから自律エージェントへ転換 | ADK、MCP |
Burns & McDonnell | 米国・エンジニアリング | 組織知識の企業全体適用 | ADK |
Color Health | 米国・医療 | 乳がん検診支援 | ADK、Agent Runtime |
ぐるなびの事例は日本企業の先行事例として特に注目されます。「UMAME!」は、単なる検索ではなく、ユーザーが「先週行ったあの店みたいな雰囲気で、予算は少し上げてもいい」という文脈を理解した提案ができることを目指しています。
こんな企業におすすめ / おすすめしない企業
こんな企業におすすめ
以下の条件に当てはまる企業・チームには、Gemini Enterprise Agent Platformは特に適しています。
技術環境・インフラ面:
- Google Cloudをメインのインフラとして使っている、または移行を検討中
- Google Workspace(Gmail・Docs・Sheets・Drive・Meet)が業務の中心にある
- Kubernetes・BigQuery・CloudSQL等のGCPサービスとエージェントを統合したい
開発・運用体制面:
- Python・Go・Java・TypeScriptいずれかを扱えるエンジニアが社内にいる
- マルチエージェントシステムの本番運用を視野に入れている
- エージェントのガバナンス(誰がどのエージェントに何をさせていいか)を組織として管理したい
ビジネス要件面:
- エンタープライズグレードのセキュリティ・監査ログが求められる業種・業務
- 複数の異なるAIフレームワーク・ベンダーのエージェントを相互連携させたい
- 長期間(数時間〜数日)にわたる自律タスクを実行させたい
おすすめしない企業
以下のケースでは、現時点では採用に慎重になることを推奨します。
技術環境面:
- Microsoft 365・Teams・SharePointが業務の中心で、MicrosoftのAI機能と深く統合したい(Azure AI Foundryが優位)
- AWS中心のインフラで、Lambda・S3・DynamoDBとエージェントを緊密に統合したい(AWS Bedrock AgentCoreが優位)
- ハイブリッド・マルチクラウド環境でGoogle Cloud比率が低い
規模・体制面:
- 専任の技術者を用意できない中小企業(オンボーディングに最大6週間の報告あり)
- 非エンジニアのみでエージェント開発・運用を完結させたい(Agent Studioのローコードだけでは限界がある)
- 短期(3〜6ヶ月以内)でROIを示す必要がある
コスト・リスク面:
- コスト管理を厳格に行う必要があり、従量課金の変動リスクを許容できない
- 相互依存するエージェント群のカスケード障害リスクを組織で管理できない体制
- 完全な「サーキットブレーカー」機能が必要(2026年5月時点でGA未達・開発中)
よくある質問(FAQ)
Q. Vertex AIは廃止されますか?
Googleの公式発表によれば、独立したサービスとしてのVertex AIは廃止方向にあり、すべての機能・ロードマップはGemini Enterprise Agent Platformに統合されます。ただし、具体的な廃止日程は2026年5月時点で発表されていません。まず確認が必要なのはSDKの vertexai.generative_models モジュールで、2026年6月24日に非推奨化されます。
Q. Gemini Enterprise Agent PlatformとGemini Advanced(個人向け)は何が違いますか?
Gemini Advanced(個人・Google One AI Premium向け)はエンドユーザーがChatのようにGeminiを使うためのサービスです。Gemini Enterprise Agent Platformは、企業がエージェントを開発・デプロイ・管理するためのPaaSです。対象ユーザー・目的・機能すべてが異なります。
Q. A2Aプロトコルはオープン標準ですか?Googleに依存しますか?
A2A v1.0はLinux Foundation傘下の「Linux Foundation Agentic AI Foundation」に寄贈されており、オープン標準として管理されています。Microsoft・AWS・Salesforce・SAPなど他ベンダーも採用しており、Google依存のプロトコルではありません。GitHubリポジトリ(https://github.com/a2aproject/A2A)で仕様を確認できます。
Q. Agent GatewayとAgent Registryの個別料金はいくらですか?
2026年5月時点の公式料金ページでは、モデル料金・Agent Runtime料金・Memory Bank/Sessions料金が明示されていますが、Agent Gateway・Agent Registry・Agent Identity単体の料金は明示されていません。他のサービスに包含されている可能性がありますが、公式に確認することを推奨します。
Q. 日本(東京リージョン)で全機能は使えますか?
公式ドキュメントでは東京リージョン(asia-northeast1)が「allowlist GA」として言及されていますが、すべてのコンポーネントが東京で利用可能かは各コンポーネントごとの個別確認が必要です。特に新機能(Agent Identity・Agent Gateway・Agent Registry)については、東京リージョンでの可用性をGoogle Cloudコンソールで確認することを推奨します。
Q. ADKとLangGraphはどちらを使うべきですか?
ADK v1.0はLangGraph・CrewAI・LlamaIndex・Semantic Kernel・AutoGenとのネイティブA2Aサポートを持ち、それぞれのフレームワークから呼び出すことも、ADKから各フレームワークのエージェントを呼び出すことも可能です。「Google Cloudに最適化したい・Agent Runtimeにデプロイしたい」場合はADKが適しています。「既存のLangGraphコードベースがある」場合はそのままLangGraphを維持しつつ、A2A経由でADKのエージェントと連携することが推奨されています。
まとめ:Gemini Enterprise Agent Platformの要点
Gemini Enterprise Agent Platformは、Vertex AIの後継として2026年4月にGAが発表された、エンタープライズ向けAIエージェント基盤です。
特に注目すべき点を整理します。
- ガバナンス機能の充実: Agent Identity(SPIFFE ID)・Agent Registry・Agent Gatewayにより、数百のエージェントが動く組織でも「誰がどのエージェントに何をさせているか」を一元管理できる
- A2Aプロトコルの普及: Linux Foundation管理のオープン標準として150以上の組織が本番採用。Googleだけでなく業界全体の共通基盤になりつつある
- SDK移行の期限:
vertexai.generative_modelsは2026年6月24日に非推奨化。既存コードのある組織は早急な対応が必要 - Google Workspace統合の強さ: Gmail・Docs・Sheets・Drive・Meet全体にまたがる自動化がノーコードで設計できるWorkspace Studioは、Google Workspace中心の企業にとって大きな強み
- コスト管理の難しさ: 複合課金体系のため、マルチエージェントシステムでのコスト予測は難しく、予算上限設定とコスト監視の体制整備が不可欠
次のステップ: エンタープライズAIエージェントの全体像を把握したい方は、AIエージェントとは?仕組み・活用事例・選び方をわかりやすく解説も参照してください。Google Cloudと並ぶ競合プラットフォームについては、エンタープライズAIツール比較で選び方を整理しています。
この記事の著者

AI革命
編集部
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