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Stable Audio 3.0とは?4モデルの仕様・6分20秒生成・ライセンスと商用利用条件・Sunoとの違い【2026年5月リリース】

公開日: 2026/06/08
更新日: 2026/10/11
Stable Audio 3.0とは?4モデルの仕様・6分20秒生成・ライセンスと商用利用条件・Sunoとの違い【2026年5月リリース】

この記事のポイント

Stable Audio 3.0はStability AIが2026年5月20日に公開した音楽・効果音生成AIで、4モデル中3つがオープンウェイトです。モデルごとの違い、歌えない・英語前提などの制約、売上100万ドル基準の商用利用条件、Sunoとの違いを2026年10月時点の情報で整理します。

Stable Audio 3.0は、Stability AIが2026年5月20日に公開した音楽・効果音生成AIのモデルファミリーです。 4モデルのうち3つは重みが公開されたオープンウェイトで、上位2モデルは最大6分20秒のステレオ音源を作れます。ただし、意味の通る歌声や歌詞は出せず、プロンプトは英語が前提です。歌もの中心のSunoとは役割がはっきり分かれます。

この記事では、次の内容を2026年10月時点の公式情報をもとに整理します。

  • 4つのモデルの仕様と用途別の選び方
  • できること・できないこと(歌声・日本語・動作環境の制約)
  • 商用利用のライセンス条件(売上100万ドルの基準、登録、表示義務、Gemma規約)とケース別の早見表
  • Webアプリ・DAWプラグイン・ローカル実行・ComfyUI・APIの違いと料金の考え方
  • 2026年8月以降のアップデート(DAWプラグイン、Webアプリ刷新、資金調達)と訴訟の状況
  • Suno・Udio・Google Lyriaとの違い

この記事が役立つ人: BGMや効果音をAIで作りたい音楽・映像・ゲーム制作者、ローカルで動く音楽生成モデルを探している開発者、商用利用の条件を確かめたい事業者

Stability AIのStable Audio 3.0公式ページ

出典: Stability AI 公式サイト


Stable Audio 3.0とは?4モデルで構成される音楽生成AIファミリー

Stable Audio 3.0は、英語のテキスト指示から音楽・効果音を作る潜在拡散モデルのシリーズです。Small SFX・Small・Medium・Largeの4モデルで構成され、効果音か音楽か、手元のPCで動かすかAPIで使うかによって選び分けます。

前世代との一番の違いは長さと公開範囲です。Stable Audio 2.0(2024年)は最大約3分、2025年9月のStable Audio 2.5もAPI専用のクローズドモデルでした。3.0では最大長が6分20秒(380秒)に延び、Small SFX・Small・MediumがHugging Faceで公開されています。オープン版の前身であるStable Audio Open 1.0の最大長は47秒だったので、ローカルで作れる長さは大きく伸びました。

Stable Audio 3.0の基本情報

項目

内容

開発元

Stability AI(英国)

公開日

2026年5月20日(技術レポートは5月18日)

出力形式

44.1kHz ステレオ(32bit float)

提供形態

オープンウェイト(Hugging Face)/Webアプリ(stableaudio.com)+DAWプラグイン(ベータ)/Stability AI API/企業向けセルフホスト

学習データ

AudioSparx(806,284件)とFreesoundのCCライセンス音源、計1,278,902件(公式モデルカード)

歌声

意味の通る歌声・歌詞は出ない(器楽・効果音向け)

対応言語

英語のプロンプトを前提に学習

技術文書

arXiv:2605.17991

2026年8月以降のおもなアップデート

公開後も製品まわりの更新が続いています。2026年10月時点で確認できたおもな動きは次のとおりです。

時期

内容

2026年5月〜

ComfyUIの公式ドキュメントにStable Audio 3のワークフロー(Medium/Medium Base)が掲載。日本語版の解説もある

2026年8月18日

DAWプラグイン(ベータ)とWebアプリの刷新を発表。プラグインはDAW内の音源として動き、macOSのAU/VST3(Apple Silicon・Intel)でLogic Pro・Ableton Liveに対応。BPM同期や複数テイクの保存ができる。Webアプリには対話形式の追加指示、audio-to-audio、トラックごとのミックスが入った

2026年8月

Series Bで7,600万ドルを調達したと報じられた。EA、Sony Music、Universal Music、Warner Musicなどが出資

DAWプラグインは公式に「初期ベータで一部機能は実験的」とされています。Windows版の有無と料金は、現時点で公式に確認できていません。


4つのモデルの仕様と選び方

用途で選ぶなら、効果音はSmall SFX、手元のPCで短いBGMはSmall、長い曲をローカルで作るならMedium、品質最優先ならAPIでLargeです。

Stable Audio 3.0の4モデルの仕様比較

出典: Hugging Face — stabilityai/stable-audio-3-medium

4モデルの仕様一覧

モデル

パラメータ数

最大長

重み

動作環境

用途

Small SFX

433M

120秒

公開

CPUで動作

効果音専用

Small(GitHub上はSmall-Music)

433M

120秒

公開

CPUで動作

音楽・軽量

Medium

1.4B

380秒(6分20秒)

公開

CUDA対応GPU(Flash Attention 2が必要)

長尺の楽曲

Large

2.7B

380秒

非公開

APIのみ(企業は契約でセルフホスト可)

最高品質

パラメータ数は公式GitHubの表記です。TechCrunchはSmall系を459Mと報じ、Hugging Faceの表示(Small SFX 0.6B、Medium 2B)はテキストエンコーダなどを含めた値とみられます。資料によって数字が違うのはこのためです。

生成速度とVRAMの目安(公式GitHubの計測値)

モデル・長さ

H200

H200+TensorRT

Mac CPU

Mac CoreML

ピークVRAM

Small・120秒

0.45秒

0.044秒

5.92秒

3.09秒

2.40GB

Medium・120秒

0.78秒

0.13秒

–

–

6.49GB

Medium・380秒

1.31秒

0.43秒

–

–

6.52GB

計測はデータセンター向けGPUのH200で行われていますが、Mediumで6分超を作ってもVRAMのピークは約6.5GBです。8GB以上のNVIDIA製GPUがひとつの目安になります。一般向けGPUでの公式計測値はありません。

Small SFX:効果音専用の軽量モデル

Small SFXは、足音・環境音・UI音などの効果音に特化した軽量モデルです。CPUで動き、Macなら120秒の音を数秒で生成できます。ゲームや映像の効果音をオフラインで量産したい場合の第一候補です。

Small:ノートPCで動く音楽向けモデル

SmallはSmall SFXと同じ規模の音楽向けモデルです。公式ブログは「当社の知る限り、オンデバイスで本格的な楽曲制作ができる唯一のモデル」と説明しています(Stability AI自身の主張)。最大2分なので、短いBGMやループ素材に向きます。Armと提携してモバイル向けの最適化も進めています。

Medium:6分20秒まで作れるオープンウェイトの上位モデル

Mediumは1.4Bパラメータで、公開モデルの中で唯一、6分超の楽曲を作れます。動かすにはCUDA対応のNVIDIA製GPUとFlash Attention 2が必要です。Flash Attentionが入っていない、または正しく動かない状態だと、ノイズのような音が出ることがGitHubで報告されています。

最大長の表記について: 公式README・プロンプトガイドは380秒としていますが、同じリポジトリのモデル解説(model-overview.md)は「Medium約4.75分、Large約6.3分」と書いており、公式資料の中で記述が食い違っています。なお、プロンプトガイドは「内容に合った長さを指定したほうが結果が良い」としています。

Large:最高品質・API中心の提供

Largeは2.7Bパラメータの最上位モデルです。重みは公開されておらず、手元のPCでは動かせません。個人や小規模チームはStability AI APIやパートナー経由で使い、自社サーバーで動かしたい企業はEnterprise契約でセルフホストする形になります。


Stable Audio 3.0でできること

Stable Audioの公式ロゴビジュアル

出典: Stable Audio 公式サイト

できることは「英語の指示から音楽・効果音を作る」「既存の音を変形・部分修正・延長する」「LoRAで自分の音に寄せる」「手元の端末で動かす」の4つに大別できます。

1. テキストプロンプトから音楽・効果音を生成

ジャンル・BPM・楽器・ムード・キーなどを英語で指定して生成します。長さは秒単位で指定でき、短い音に余計な計算を使わない仕組みになっています。

公式プロンプトガイドでは、楽曲・単一楽器のステム・効果音・既存音源の加工といったカテゴリごとに書き方の例が示されています。楽曲なら、ガイドが推奨する「TrackType: Music」「VocalType: Instrumental」といったタグを入れると品質が安定しやすいとされています。

TrackType: Music, VocalType: Instrumental, cinematic orchestral, epic, 120 BPM, D minor, strings and brass, building tension

日本語で使う場合: 公式ドキュメントは「英語の説明文で学習しており、他の言語では性能が落ちる」と明記しています。日本語でイメージを書き出してから英訳し、ジャンル・BPM・楽器を単語で並べると扱いやすくなります。ComfyUI版のMediumでは、短い指示を詳しいプロンプトに広げる「reprompt」機能(Qwen3.5 2Bを使用)も使えます。

2. 既存音源の変形・部分修正・延長

テキストからの生成に加えて、2つの編集モードがあります。

  • audio-to-audio: 手持ちの音源を初期値にして、雰囲気や楽器を変える。どこまで元の音を残すかは数値で調整する
  • インペインティング・続きの生成: 1区間または複数区間だけを作り直す。末尾から続きを生成して曲を延ばす

audio-to-audioはAPI(Large)とWebアプリでも使えます。

3. LoRAで自分の音に寄せる

SmallとMediumはLoRA(少ない計算で追加学習する手法)に対応しています。自社の音源ライブラリや自作の素材で学習させ、音色や作風を寄せられます。複数のLoRAを重ねたり、強さを実行時に変えたりもできます。Apple SiliconではMLXを使ってLoRAの学習まで手元で完結します。

4. 手元の端末で動かす(Small系)

Small SFXとSmallはCPUで動き、ネットに接続しなくても生成できます。実行環境はPythonのAPI、stable-audioコマンド、Gradioの画面が用意されていて、CPU向けのTFLite、Apple Silicon向けのMLX・CoreML、NVIDIA向けのTensorRTといった高速化の手段も公式にそろっています。プロンプトや音源を外部に送らずに済むのは、オープンウェイトならではの利点です。


できないこと・制約(導入前に必ず確認)

導入前に押さえておきたい制約は、歌えない・英語前提・MediumはNVIDIA製GPUが必要の3点です。この3点が用途に合わないなら、ほかのツールを選んだほうが早く済みます。

意味の通る歌声・歌詞は出ない(最重要)

公式プロンプトガイドは「当社のモデルは意味の通る歌声を出力しない」と明記しています。声のような質感の音が混じることはありますが、歌詞を歌わせることはできません。歌ものを作りたいならSunoや、日本語の歌声に対応したGoogle Lyria 3.5が候補になります。

日本語プロンプトでは品質が落ちる

学習に使われた説明文は英語で、Hugging Faceのモデルカードでも対応言語はEnglishです。日本語のまま入力すると意図どおりの音になりにくくなります。

Largeモデルは手元で動かせない

Largeの重みは非公開です。個人がローカルで動かす方法はなく、APIか企業向け契約が必要です。

MediumはNVIDIA製GPUとFlash Attention 2が必要

MediumはCUDA対応GPUが前提で、MacのCPU/CoreMLでの計測値は公式に載っていません。Flash Attentionのインストールでつまずく例も多いため、まず試すだけならWebアプリかComfyUIのほうが手軽です。

ナレーション・音声合成は対象外

公式ドキュメントに「会話や音声の生成向けではない」とあります。ナレーションや読み上げが必要なら、ElevenLabs Voice Design v3のような音声合成AIを使います。


3通りのアクセス方法と料金の目安

使い方は大きく、Webアプリ(DAWプラグインを含む)、オープンウェイトのローカル実行(ComfyUIを含む)、APIの3通りです。手軽さを取るならWebアプリ、費用を抑えてデータを外に出したくないならローカル、アプリに組み込むならAPIが向きます。

Stable AudioのWebアプリ(stableaudio.com)の画面

出典: Stable Audio 公式 Web アプリ

使い方別の比較

使い方

必要なスキル

費用

使えるモデル

データの送信先

Webアプリ(stableaudio.com)

不要

プラン制(金額は公式で確認)

Stability AIが提供するモデル

Stability AIのサーバー

DAWプラグイン(ベータ)

DAWの基本操作

未確認

同上

Stability AIのサーバー

Hugging Faceからローカル実行

Python・GPU環境の構築

重みは無料(PC・電気代は自己負担)

Small SFX・Small・Medium

外部に出ない

ComfyUI

ComfyUIの操作

同上

Medium(公式テンプレート)

外部に出ない(ローカル版の場合)

Stability AI API

APIを呼ぶプログラム

生成1回ごとのクレジット課金

Largeなど

Stability AIのサーバー

方法①:stableaudio.comをブラウザとDAWで使う

インストールせずに試すならWebアプリが最も手軽です。2026年8月の刷新で、対話形式で「もっと明るく」のような追加指示を出したり、トラックごとにミックスしたりできるようになりました。Logic ProやAbleton Liveで作業している人は、DAWプラグイン(ベータ)を使えば制作画面から出ずに素材を作れます。

料金について: 3.0以前の「Pro月11.99ドル」は旧料金です。刷新後のプランは、8月末に「一時的に購入できない」とする情報と、新しいプラン名・金額を挙げる情報があり、二次情報の内容が割れています。公式料金ページの内容を確認できなかったため、この記事では金額を載せていません。契約前に公式サイトで確認してください。

方法②:Hugging Faceのオープンウェイトをローカルで動かす

重みはHugging Faceから無料でダウンロードできます。ただし、ログインして連絡先を共有し、利用条件に同意する「ゲート付き」の公開です。

  1. Hugging Faceで対象モデル(small-sfx/small/medium)の利用条件に同意する
  2. GitHubリポジトリを取得し、uv sync で環境を作る(画面を使うなら --extra ui、LoRA学習なら --extra lora)
  3. Mediumを使う場合はFlash Attention 2を入れる(依存関係の定義に含まれていないため、uv sync --inexact で消されないようにする)
  4. CLIかGradioの画面から生成する

ComfyUIで使う場合は、公式ドキュメントにMedium/Medium Baseのテンプレートがあります。stable_audio_3_medium.safetensors(checkpoints)とt5gemma_b_b_ul2.safetensors(text_encoders)、repromptを使うならqwen3.5_2b_bf16.safetensorsを配置すれば動きます。

非公式サイトに注意: 「stableaudio3.com」「stableaudio3.org」など、Stability AIとは別の運営者が独自のクレジットを販売しているとみられるサイトがあります。重みは公式のHugging Face(stabilityai/)から、Webアプリはstableaudio.comから利用してください。

方法③:APIでアプリに組み込む・量産する

自社アプリやゲームに組み込む場合や、大量に生成する場合はStability AI APIを使います。Largeとaudio-to-audioはAPIで提供されています。

  • 料金の仕組み: クレジット制(1クレジット=0.01ドル)。二次情報では、Largeは長さに関係なく生成1回26クレジット(約0.26ドル)、失敗時は課金なしとされています。8クレジットとする情報もあり、公式料金ページでは確認できていません
  • パートナー: 公式ページにはArm・Comfy・fal・WPP・Replicateが提携先として載っています。各社での提供状況と料金は、それぞれのサイトで確認が必要です

自社の制作ツールや業務システムに音声生成を組み込む場合は、API呼び出しのほかに、生成物の管理、ライセンス条件の確認、LoRAで作った自社用モデルの運用まで考える必要があります。進め方と費用の目安は既存システムにAIを組み込む方法で解説しています。


ライセンスと商用利用条件

Stable Audio 3.0は、年間売上100万ドル未満なら無料で商用利用できます。 ただし「オープンウェイトだから何でも自由」ではありません。登録、表示義務、Gemma規約への同意、禁止事項があり、法的補償が付くのは有料のEnterprise Licenseだけです。

Stable Audio 3.0のライセンス体系(Community LicenseとEnterprise License)

出典: GitHub — Stability-AI/stable-audio-3

Community License(無料)

項目

内容

対象

年間売上100万ドル(約1.4億〜1.5億円、為替で変動)未満の個人・組織。売上は収益源を問わず、関連会社を含む組織全体の額で判断

費用

無料

商用利用

可。ただしStability AIへの登録が必要

生成物の権利

利用者のもの(適用される法律と利用ポリシーの範囲内)

改変・再配布

可。モデルや派生物を配布する場合、またはそれを使った製品を提供する場合は、「Powered by Stability AI」の表示とライセンス文の同梱が必要

禁止事項

出力や素材を使って別の基盤となる生成AIモデルを作る・改善すること(LoRAなどの追加学習は可)

終了条件

Stability AIを知的財産権の侵害で訴えると、ライセンスは終了

準拠法

米国およびカリフォルニア州法

Enterprise License(有料)

項目

内容

対象

年間売上100万ドル以上の組織、または法的補償が必要な組織

費用

有料(金額は問い合わせ)

内容

商用利用のカバー、法的補償、実装サポート、カスタム学習、Largeのセルフホスト

申込

Stability AIのライセンスページから問い合わせ

二重ライセンス条件:Gemma Terms of Use

Stable Audio 3.0は、テキストの理解にGoogleのT5Gemmaを使っています。そのため、Hugging Faceの利用条件に同意すると、GoogleのGemma利用規約(利用制限を含む)にも同意したことになります。

また、GitHubリポジトリの欄には「MIT」と表示されていますが、READMEは重みについてStability AI Community Licenseを参照するよう案内しています。コードと重みのライセンスは別のものとして扱ってください。

商用利用判断の整理

よくある使い方ごとに、条件をまとめました(年間売上100万ドル未満の前提)。

使い方

可否

必要な対応

YouTube動画・SNS投稿のBGMに使う

○

商用ならStability AIへの登録

音楽配信サービスで楽曲として販売する

○

登録。配信サービスごとのAI生成物の規約も確認

ゲームや映像作品に効果音・BGMとして同梱する

○

登録。生成物だけを使うなら表示義務の対象外とみられるが、条文で確認

受託制作で納品する

○

登録。発注元にAI生成である旨と条件を共有しておくと安全

自社アプリに重みを組み込んで提供する

○

登録、「Powered by Stability AI」表示、ライセンス文の同梱

生成音源を学習データにして別の音楽生成モデルを作る

×

Community Licenseでは禁止

年間売上100万ドル以上の企業が使う

要契約

Enterprise License

権利トラブル時の補償がほしい

要契約

Enterprise License(Community Licenseに補償はない)

日本国内では、人の創作的な関与がないAI生成物は著作物と認められにくいとされています(文化庁「AIと著作権に関する考え方について」)。生成した曲を自分の作品として権利主張したい場合は、編曲や演奏など人の手をどこまで加えたかも記録しておくと安心です。この表は一般的な整理で、最終判断はライセンス原文と専門家の確認で行ってください。


依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

初回相談は無料・30分(オンライン)。要件が決まっていなくても大丈夫です。改修100万円〜・PoC300万円〜(税別)

Suno・Udio・Google Lyriaとの比較

音楽制作に使うミキシングコンソールのつまみ

歌のない音源を自前の環境で作るならStable Audio 3.0、歌ものならSunoかLyria 3.5という分かれ方です。Udioは2025年10月以降ダウンロードを止めているため、素材として書き出したい用途では選びにくくなっています。

比較項目

Stable Audio 3.0

Suno

Udio

Google Lyria 3.5

歌声・歌詞

× 器楽・効果音のみ

○

○

○(日本語ボーカル対応)

最大長

6分20秒(Medium・Large)

公式で確認

公式で確認

約3分

オープンウェイト

○(3モデル)

×

×

×

ローカル実行

○

×

×

×

LoRA追加学習

○

×

×

×

学習データの開示

AudioSparx+Freesoundの件数を公開

非公開

非公開

非公開

書き出し

○

○(商用は有料プラン)

× 停止中

提供形態による

料金の目安

重みは無料/Web・APIは公式で確認

Pro 月10ドル、Premier 月30ドル(二次情報)

公式で確認

提供形態による

日本語プロンプト

△ 品質が落ちる

対応

対応

対応

※ 2026年10月時点の公開情報をもとにした目安です。料金・モデルの版は変わりやすいため、利用前に各社の公式ページで確認してください。各ツールの詳細はSunoとは、Google Lyria 3.5とは、ElevenLabs Music v2とはで解説しています。

Stable Audio 3.0が優位な領域

  • 自前の環境で動かせる: 比較した中で重みが公開されているのはStable Audio 3.0だけ。データを社外に出したくない場合や、オフラインで使いたい場合の選択肢になる
  • LoRAで自分の音に寄せられる: 自社の音源ライブラリに合わせた追加学習ができる
  • 効果音に強い: 効果音専用のSmall SFXがある
  • 学習データの内訳が公開されている: AudioSparxとFreesoundの件数がモデルカードに載っている

競合が優位な領域

  • 歌もの: SunoやLyria 3.5は歌詞付きの曲を作れる。Stable Audio 3.0にはできない
  • 日本語での操作: 日本語で指示を出すなら、SunoやLyria 3.5のほうが扱いやすい
  • 導入の手軽さ: Sunoはブラウザだけで完結する。Stable Audio 3.0のローカル実行は環境構築が必要

なお、Stability AIは2025年にUniversal Music GroupやWarner Music Groupと提携していますが、公式モデルカードに載っている学習データはAudioSparxとFreesoundだけです。「メジャーレーベルの音源で学習した」わけではない点に注意してください。


こんな人におすすめ/おすすめしない人

こんな人・用途におすすめ

ゲーム・アプリの開発者、サウンドデザイナー

Small SFXで効果音を手元で量産でき、LoRAで作品の音色に寄せられます。ローカルで動くので、開発パイプラインに組み込んでもデータが外に出ません。

映像クリエイター・動画編集者

BGMや環境音を、長さを秒単位で指定して作れます。Mediumなら6分前後の通しのBGMも生成できます。

DAWで曲を作る音楽制作者

DAWプラグイン(ベータ)を使えば、Logic ProやAbleton Liveの中でテンポに合わせた素材を作れます。歌のないステムやループの素材集めに向きます。

開発者・研究者

重み、技術レポート、LoRA学習の手順が公開されていて、検証や組み込みの土台にしやすいモデルです。オープンウェイトの意味や各社の方針についてはAnthropicのオープンウェイトに対する立場も参考になります。

こんな人・用途にはおすすめしない

歌詞付きの曲を作りたい人

歌声は出せません。SunoやGoogle Lyria 3.5を選んでください。

日本語だけで手軽に使いたい人

英語のプロンプトが前提です。英語でのジャンル指定に抵抗がある場合は、日本語で指示できるツールのほうが早く結果が出ます。

NVIDIA製GPUがなく、長い曲をローカルで作りたい人

6分超を作れるMediumはCUDA対応GPUが必要です。Macだけの環境なら、SmallかWebアプリ・APIを使うことになります。

法的補償付きで大規模に使いたい企業

補償はEnterprise License限定で、金額は個別見積もりです。契約交渉と社内の法務確認の時間を見込んでおく必要があります。


技術アーキテクチャの詳細

Stable Audio 3.0は、音声を圧縮する自前のオートエンコーダ「SAME」と、拡散トランスフォーマーの組み合わせでできています。詳細は技術レポート(arXiv:2605.17991)とSAMEの論文(arXiv:2605.18613)で公開されています。

SAME(Semantic-Acoustic Music Encoder)

SAMEは44.1kHzのステレオ音声を、ごく短い連続した潜在表現に圧縮するオートエンコーダです。時間方向に大きく圧縮することで、6分超の音でも計算量を抑えて扱えます。生成した潜在表現をSAMEで音に戻す仕組みです。

拡散トランスフォーマー

  • テキストは凍結したT5Gemmaエンコーダで処理し、クロスアテンションで生成に反映する
  • 生成する長さを条件として与え、指定した長さぶんだけ計算する(可変長生成)
  • 上位モデルにはノイズを抑えるための注意機構の工夫が入っている

少ないステップで生成する学習手順

Flow Matchingによる事前学習のあと、蒸留と敵対的な後学習を重ねて、少ないステップで生成できるようにしています。H200で6分超の音を約1.3秒で作れる速さは、この学習手順によるものです。


著作権・法的リスクの現状(2026年10月時点)

Stable Audio 3.0は学習データの内訳を公開しているぶん、出どころが不透明なツールより判断しやすいモデルです。ただし「ライセンス済みだから絶対に安全」とまでは言えません。 補償が付くのはEnterprise Licenseだけで、学習データの契約をめぐる訴訟も起きています。

AI音楽生成ツールの著作権リスクの比較

学習データの中身

公式モデルカードによると、学習データは計1,278,902件です。

  • AudioSparx: 806,284件(ライセンス契約を結んだ音楽ライブラリ)
  • Freesound: CC-0・CC-BY・CC-Sampling+のライセンスで公開された音源

Stability AIはこれを「商業的に安全なモデル」と説明しています。一方、2025年に提携したUniversal Music GroupやWarner Music Groupの音源が学習に含まれるとは、公式には書かれていません。

Anders Manga氏による訴訟

2025年12月29日、ミュージシャンのAnders Manga氏がStability AIとAudioSparxの運営会社を米ノースカロライナ州の連邦地裁に訴えました。「2015年のAudioSparxとの契約はAI学習への利用を認めていない」という主張です。

訴訟を追っているサイトの報道では、地裁は原告の請求を退け、2026年5月ごろには判決の見直しを求める申立ても却下されたとされています。控訴の有無は確認できていません。学習データの契約範囲が裁判で争われた例として、今後も動きを確認しておく価値があります。

主な音楽生成AIの権利面の状況

ツール

状況(2026年10月時点の報道ベース)

Stable Audio 3.0

学習データの内訳を公開。Anders氏の訴訟は地裁で請求が退けられたと報じられている

Suno

Warner Music Groupと2025年11月に提携。そのほかの訴訟・交渉の状況は各社の発表で確認が必要

Udio

Universal Music Groupと2025年10月に和解し、ライセンス型へ移行。ダウンロードは停止中

Google Lyria 3.5

生成物に電子透かし(SynthID)を入れる方式

音楽業界とAI企業の権利をめぐる動きは、ソニー・ワーナーがAnthropicを提訴や音楽・レコード業界のAI活用事例でも取り上げています。商用で継続的に使う場合は、利用条件と訴訟の状況を定期的に見直してください。


よくある質問(FAQ)

Q. Stable Audio 3.0は無料で使えますか?

Hugging Faceで公開されているSmall SFX・Small・Mediumの重みは無料でダウンロードできます。GPUや電気代は自己負担です。WebアプリとAPIは有料の仕組みで、現行の金額は公式ページで確認してください。

Q. WindowsのPCでも動きますか?

NVIDIA製GPUを積んだPCなら、Flash Attention 2を入れたうえでMediumを動かせます。GPUがない場合もSmall系はCPUで動作します。手順に不安があれば、ComfyUIのテンプレートを使うと環境構築の手間を減らせます。DAWプラグインのWindows対応は公式に確認できていません。

Q. MediumモデルをMacで動かせますか?

Mediumの公式の動作環境はCUDA対応GPUで、Macでの計測値は公開されていません。Macで手元生成をしたいならSmall系を使います。SmallはCoreMLで120秒の音を約3秒で作れます。

Q. 個人が収益化していないYouTubeで使う場合も登録が必要ですか?

登録が求められるのは商用利用の場合です。収益化の予定がある、仕事として使うといった場合は、最初に登録しておくと後から慌てずに済みます。

Q. 生成した曲に自分の著作権は発生しますか?

ライセンス上、生成物は利用者のものとされています。ただし、日本でその曲が著作物として保護されるかは、人がどれだけ創作的に関わったかで判断されます。AIの出力をそのまま使っただけでは保護されにくいと考えておくのが無難です。

Q. Stable Audio Open 1.0から乗り換えるべきですか?

長さと品質を重視するなら乗り換える価値があります。Open 1.0の最大長は47秒でしたが、3.0のSmallは120秒、Mediumは380秒まで作れます。ライセンスはどちらもStability AI Community Licenseです。

Q. 今後、歌声に対応する予定はありますか?

公式発表はありません。報道ベースでは、鼻歌やビートボックスで曲を誘導できる機能の追加が予告されたとされていますが、内容と時期は未確認です。


まとめ:Stable Audio 3.0はどんな人に選ばれるか

Stable Audio 3.0は、歌のないBGM・効果音を、自分の環境で、条件を確認しながら商用利用したい人向けの音楽生成AIです。重みの公開、ローカル実行、LoRAによる追加学習は、比較したSuno・Udio・Lyriaにはない特徴です。

選ぶべき人

理由

ゲーム・映像の制作者

効果音専用モデルがあり、長さを秒単位で指定できる

DAWで曲を作る人

DAWプラグイン(ベータ)で制作画面の中から使える

開発者・研究者

重み・技術レポート・LoRA手順が公開されている

年間売上100万ドル未満の事業者

登録すれば無料で商用利用できる

一方で、歌もの、日本語だけでの操作、補償付きの大規模利用が必要なら、他のツールやEnterprise Licenseを検討してください。

音楽以外も含めた生成AIの全体像は生成AIとは、ツール選びは生成AIおすすめツール比較で整理しています。


公式リソース

依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

この記事の著者

AI革命

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